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2006年02月02日
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カテゴリ: 露野
 京へ戻ったのは、もう夜半過ぎであった。

 淡い朧月が春の夜空に掛かり、そのぼんやりとした光が、人通りの消えた大路を白く照らしていた。大路にそった立派な築地の向こうからは、歌会でもしているのか、よく通る声で和歌を吟ずるのが聞こえてくる。

 私はその声を聞いて、姫君と初めて会った五条の屋敷の歌合せの夜を思い出した。初めて見た時の、息を飲むほど美しかった姫君の姿も。

 私はふとあの五条の屋敷に行ってみたくなった。五条の屋敷には今は誰も住んでいないと聞いている。私は供の者を先に家へかえし、一人で五条へ向かった。

 暗い木立に囲まれた懐かしい築地の破れ目から中に入ると、美しかった屋敷の庭は荒れ果て、一面に丈の長い草に覆われていた。館の棟々もしんと静まり返り、明かり一つ見えない。私は夜露に濡れながら、庭の名も知れぬ草の葉を掻き分けて、思い出深いあの西の対を目指した。

 姫君がここを出て以来、手入れをすることもなくほおって置かれたらしい西の対は、今はすっかり荒れ果てていた。格子や御簾も外され、がらんとした板の間が剥き出しになっている。ただ、庭に植えられた一本の梅の木だけが、白い花を無数につけて満開に咲き誇り、昔の華やかさを伝えていた。その木に近づいて見ると、優雅で濃厚な薫りがする。その薫りは、いつも姫君の部屋で焚かれていた梅花香を思い出させた。

 私は板敷きの簀子に上がり、そこに横になって、朧月に照らされた満開の白梅を長い間見つめていた。


↓満開の白梅の花。(真昼間ですが…汗)家の近所のちっちゃな神社で去年撮影。
 梅の花って、ほんと良い匂いがしますね。





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最終更新日  2006年02月02日 13時52分06秒
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