佐遊李葉  -さゆりば-

佐遊李葉 -さゆりば-

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

vyゆりyv

vyゆりyv

カレンダー

カテゴリ

カテゴリ未分類

(0)

露野

(129)

心あひの風

(63)

孤舟

(59)

かるかや

(68)

蒼鬼

(253)

光明遍照

(53)

山吹の井戸

(52)

きりぎりす

(217)

遠き波音

(50)

羅刹

(193)

コメント新着

vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -193-(10/05) 千菊丸2151さん いつもお読みいただいて…
千菊丸2151 @ Re:羅刹 -193-(10/05) 是非このブログを残してください。 ゆり様…
vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -192-(09/14) 千菊丸2151さん だらだら更新に最後まで…
千菊丸2151 @ Re:羅刹 -192-(09/14) 漸く完結しましたね。 ちょっと後味が悪い…
vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -190-(09/08) 千菊丸2151さん 花山院皇女は惚れた弱み(…

サイド自由欄

QLOOKアクセス解析
2006年02月21日
XML
カテゴリ: 露野
 後は言葉にならず、少年はまた泣き伏した。私はそれ以上少年を責めることは出来なかった。そして、少年が帰ると言って席を立った頃には、気持ちが幾分軽くなっていた。

 結局、昨夜のことももうどうでも良いではないか。済んだことだし、この少年を喜ばせてやれたのなら、それはそれで良い。そう思うと、私は少年のことが何となく愛しくなり、山荘の門まで見送りに出た。

 門の脇には小奇麗な網代車が一台留まっていた。この間は騎馬だったのに、今日は車で来たのかと私が見守っていると、少年は車の簾のところへ駈け寄り、何やら中へ囁いた。

 すると、その簾の脇が僅かにかき寄せられた。中は暗くて誰がいるのかまるで見えない。だが、その隙間から、白髪の一束が零れ落ちた。

 あの老婆だった。

 私が驚いていると、少年はすまなそうな顔で私の耳に囁いた。

「母がどうしてももう一度あなたに会いたいと言って聞きませんので。つい、垣根の間からでもそっとあなたの姿を見せてやれるかと、一緒に連れてきてしまいました」

 私はふと歌を思い付いて、側の者に筆を持ってこさせると、手に持っていた扇にさっと走り書いた。


百年に一年たらぬつくも髪 われを恋ふらしおもかげに見ゆ




 そして、それを網代車の簾の隙間に投げ入れると、私はそのまま山荘の中に戻って行った。





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年02月21日 17時18分37秒
コメントを書く
[露野] カテゴリの最新記事


■コメント

お名前
タイトル
メッセージ
画像認証
上の画像で表示されている数字を入力して下さい。


利用規約 に同意してコメントを
※コメントに関するよくある質問は、 こちら をご確認ください。


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: