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2006年04月02日
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カテゴリ: 露野
 後ろの方で、ごそごそと音がする。振返って見ると、小さなみずら頭が一つ、御簾の端をもごもごと持ち上げてこちらを覗いていた。下の孫息子の方だった。

「どうしたのだ。眠っていたのではないのか。」

 私がそう言うと、孫息子は私を見ながらしばらくもじもじしていたが、やがて言った。

「おじじさま、芥川の男は、姫君が鬼に食べられちゃった後、どうなったの?」

「何だ、まだそのお話か? 続きはまた明日してあげよう。今夜はもう遅いから、早くお休み」

 それでも孫息子はもじもじしながら私を見つめ、しばらくすると小さな声で呟いた。

「でも、続きが気になって、眠れない」

 その姿は小さな犬の仔のようで、実に可愛らしかった。私は思わず微笑みながら、孫息子に聞いてみた。

「そうか。では、芥川の男は、姫君を失った後、どうしたと思う?」



「わからない」

 私は孫息子の愛らしい丸い瞳を見つめながら、微笑んで答えた。

「歌を詠んだのさ」

「どんな歌?」

 私は静かな声で吟じた。


白玉かなにぞと人の問ひし時 露と答へて消なましものを

(真珠でしょうか、あれは何なのですか、とあの人が私に尋ねた時、あれは露ですよと答えて、自分も露のようにそのまま共に消えてしまえれば良かったのに)


 孫息子はきょとんとした顔をした。まだ、幼い者だ。歌の意味も、芥川の男の心もわかろうはずがない。だが、物語の結末を聞いて安心したのか、孫息子はにっこりと笑って頷くと、またもごもごと御簾の中に戻って行った。





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最終更新日  2006年04月02日 11時19分15秒
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