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2006年09月20日
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カテゴリ: 孤舟
 藤太は不意に口篭もった。知らぬ間に、あの髑髏が引っかかっている薄の一叢の側に、初老の女が立っていたのだ。

 でっぷりと太った身体に、若い女が着るような派手な唐織の袿をまとって壷折りにしている。厚く白粉を塗った顔の中から、抜け目のない細い目だけが眼光鋭くこちらを睨んでいた。

 黙り込んで俯いた二人の男に近づくと、女は手に持っていた扇で藤太の額を容赦なくぴしゃりと打ち据えて言った。

「まだ、こんなところにいたのかえ? 棺を鴨川の河原へ置いたらすぐに戻ってくるよう言っただろうが。油を売っている暇はないよ。さっさと家へお戻り」

「はい、禅師殿」

 二人の男はそそくさと辺りに取り散らかっていた荒縄と担い棒を片付け、女に頭を下げる間ももどかしいように急いで河原を出て行った。

 女はしばらくそれを見送っていたが、二人の姿が薄の向こうへ消えると、棺の傍らにしゃがみこんで、懐から何かを取り出した。それは粗末な木の椀と、麻の袋に入った米だった。女は袋の口をあけてさらさらと椀の中に米を入れると、棺の枕上に供えた。そして、しばらくじっと棺の中の嫗を見つめていた。

 今やすっかり日が昇り、辺りを漂っていた朝の川霧も姿を消している。どこからか飛んできた雀が一羽、薄の穂先に引っかかった髑髏の上に留まって、小首をかしげながら角張った女の背を見守っていた。





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最終更新日  2006年09月20日 09時18分44秒
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