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2006年10月05日
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カテゴリ: 孤舟
 だが、そんなささやかな幸せというものは、長くは続かないものだ。

 ある日、左衛門尉は殿に呼ばれ、難題を押しつけられた。さきくさの生んだ子を連れてこいと言うのだ。

 実は、つい先頃殿の娘の一人が病で死んだ。高位の貴族にとって娘は、内裏の後宮に入れる大事な持ち駒の一つである。殿は同じ年頃の胡蝶をその娘の身代わりに仕立てようと考えたのだ。

 殿の身勝手さに、左衛門尉は身体中が怒りで震えるような気がした。だが、主君の命に背く訳にも行かない。左衛門尉は重い心を抱えながら鹿ケ谷の山荘へ行き、さきくさにその話をした。そして、気が進まないなら、自分が何とでも言いつくろうから断っても良いとまで言った。

 ところが、さきくさは長い間じっと庭を眺めながら考えた後、何も言わずにこっくりと頷いた。そして、次の日胡蝶を山荘へ残したまま、六条の元の家に戻ってしまったのである。

 あれほどかわいがっていた胡蝶を、さきくさがなぜあんなにあっさりと手放す気になったのか、左衛門尉にはわからない。だが、さきくさはそれからは一切左衛門尉とは縁を切り、誰にも胡蝶のことを話さなかった。だから、仲間の遊女の中にはさきくさが子を産んだことを知らない者も多かったほどだ。

 左衛門尉は主君の命通り、胡蝶を屋敷へ連れて帰った。そして、こう考えて無理に自分を納得させていた。遊女の母親の元で育てばいずれは遊女になるしかない。恐れ多くも源氏、ひいては帝の血を引く娘だ。こんな立派な屋敷で姫君として育てられる方がどれほど良いか、と。





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最終更新日  2006年10月05日 10時29分48秒
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