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2006年11月11日
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カテゴリ: 孤舟
 延寿は頷くと、夜具の衾でも掛けるように優しく、さきくさの死骸を筵で覆ってやった。乙前は延寿を促して、共に棺の前で手を合わせた。延寿はしばらく祈った後、棺に向って小さな声で囁いた。

「嫗、いつも可愛がってくれてありがとう。嫗のことはきっと忘れませぬ」

 そして、また新たな涙をこぼしながら、やがて誰に言うともなく呟いた。

「どうして、さきくさの嫗はずっとわたしに優しくしてくれたのだろう。時々わざわざ顔を見に来てくれた。それに、会いに来る時には、必ず菓子や人形まで持ってきてくれて。嫗はあの禅師殿の家で厄介になっていたのだから、きっと無理をしてお土産を買ってくれたのであろうに。何の縁もないわたしに、どうして……」

 延寿は言葉に詰まり、とうとうわっと泣き伏してしまった。乙前はそんな延寿の姿を見ながら思い出していた。忙しい禅師の家の仕事の合間を縫うようにして時々おとどの家へやって来ては、延寿を膝に抱いてあやしたり小さい声で今様の子守歌を歌ったりしていたさきくさの姿を。

 どれほどこの幼い者をさきくさが愛していたか、乙前には痛い程良くわかっている。だが、さきくさは決して延寿に自分が誰か明かそうとはせず、乙前にも固く口止めしていた。

 乙前はさきくさの亡骸に向って、心の中で呟く。

 もういいだろう? 少しだけ、延寿に本当のことを明かしても。そうでなければ、あまりにそなたが哀れじゃ。それに、何も知らずに、自分は身よりのない孤児(みなしご)だとずっと思っている延寿もな。





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最終更新日  2006年11月11日 11時25分23秒
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