佐遊李葉  -さゆりば-

佐遊李葉 -さゆりば-

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

vyゆりyv

vyゆりyv

カレンダー

カテゴリ

カテゴリ未分類

(0)

露野

(129)

心あひの風

(63)

孤舟

(59)

かるかや

(68)

蒼鬼

(253)

光明遍照

(53)

山吹の井戸

(52)

きりぎりす

(217)

遠き波音

(50)

羅刹

(193)

コメント新着

vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -193-(10/05) 千菊丸2151さん いつもお読みいただいて…
千菊丸2151 @ Re:羅刹 -193-(10/05) 是非このブログを残してください。 ゆり様…
vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -192-(09/14) 千菊丸2151さん だらだら更新に最後まで…
千菊丸2151 @ Re:羅刹 -192-(09/14) 漸く完結しましたね。 ちょっと後味が悪い…
vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -190-(09/08) 千菊丸2151さん 花山院皇女は惚れた弱み(…

サイド自由欄

QLOOKアクセス解析
2006年11月27日
XML
カテゴリ: 孤舟
 その時、どこからか延寿の声に合わせる笛の音が聞こえて来た。

 乙前が驚いて辺りを見まわすと、鴨川の堤の上にいつの間にか網代車が一台止まっている。女車のようにやつしてはいるが、笛の音が聞こえて来るところを見ると、乗っているのはどうやら男らしい。

 延寿が歌い終わると、笛の音はふっと止んだ。牛車の御簾が動いて、誰かが出て来るようだ。

 豪華な車の様子からしてどんな立派な殿上人が乗っているのだろうと乙前が見ていると、案に反して車を飛び降りて来たのは延寿と同じ年頃の少年だった。艶やかな髪を後ろで束ね、品の良い香染めの童水干を着ている。良家の子弟なのは一目瞭然だが、下がり気味の眉に愛嬌があり、鼻が少しつんと上を向いている辺りなどなかなか利かん気そうだ。

 少年は牛車に付き従っていた従者が止めるのも聞かず、さっさと堤を下りて乙前たちに近づいて来ると言った。

「綺麗な声だな。興が乗って、思わず笛など合わせてしまった。それにしても、なぜこんな河原で今様など歌っているのだ」

 乙前は傍らのさきくさの棺を指差して言った。

「縁者の者をここで葬っていたのでございます。我らのような下々の者は、尊い経文など知りませぬ。その代わりに、いつも今様を歌って死者を送るのです。我らは傀儡子でございますれば」





お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2006年11月27日 11時01分55秒
コメントを書く
[孤舟] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: