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2007年03月20日
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カテゴリ: かるかや
 新発意は驚いてすぐには言葉も出なかった。

 高野聖も向こうを向いたまま黙っている。新発意はしばらく無精髭に覆われた高野聖の横顔を眺めていたが、ようやく勇気を振り絞って聞いた。

「誰に?」

 高野聖は顔中に疲れと苦渋を滲ませて、ゆっくりと振り返った。そして、一度溜め息をつきながら夕空を見上げた後、静かに語り始めた。

「わしもずっと奥方の行方が気がかりだった。二人で旅をしている間中、何度もお前の父に訊ねたが、江戸に行ったらしいと言うだけで何も答えてはくれなかった。だが、昨年死の病に伏した時、もう長くはないことがわかったのであろうな。ある夜、枕元で看病するわしに、何もかも話してくれた」

 高野聖は、遠くに沈み行く夕日を見つめながら言った。

「奥方を殺したのは、お前の父だ。奥方は、表向きは平静な態度を崩さなかったが、心の中はほとんど狂わんばかりに乱れていた。今まで愛情を尽くして仕えてきた夫に裏切られた苦しみと、愛しい男を他の女に奪われた哀しみでな。それでも、武家に生まれた女の嗜みと正妻としての高い誇りで、何とかこらえていた。だが、お前の父の人目も弁えぬ振る舞いは、奥方の心を踏みにじり、その辛抱の限界を超えさせてしまった。それで、あの日奥方は夫を屋敷裏の蔵の中へ呼び出し、今まで聞いたこともないような激しい口調で、その情けない振る舞いと不実を責めた。そして、最後にこう言ったのだそうだ。元々身体の調子がすぐれぬお前の母が以前から飲んでおった薬には、この屋敷に来てからずっと石見銀山の毒を少しずつ混ぜてある。あの女ももうすぐ死ぬであろうと」





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最終更新日  2007年03月20日 12時47分22秒
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