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2007年10月13日
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カテゴリ: 蒼鬼
 良房はいとおしげに惟仁親王の柔らかい頬を突ついて言った。だが、明子の方は桧扇の陰で父の視線から逃れるように、小さな声で言った。

「わたくしは、この若宮が幸せに過ごしていければ、それで良いのです。それに、主上のお考えにあくまで逆らうのは……」

「何を言う!」

 良房は、明子の細い声を掻き消すような大声で言った。

「この惟仁親王を東宮に立ててこそ、今までの我らの苦労が報われるというものだ。そなたがそれを一番身に染みて感じているのではないのか。私は何が何でもこの若宮を立太子させて見せる。それを阻むものは何人たりとも許さぬ。たとえそれが主上であろうともな」

 自分の前では普段滅多に声を荒げることのない父の激昂に、明子は恐れて几帳の陰に身を隠してしまった。良房はばつが悪くなり、しばらく口の中で何かぶつぶつ言っていたが、手に持っていた扇をぴしりと鳴らすと席を立ち、几帳に向かって言った。

「これより、競馬の仕度にかかる。そなたも覚悟しておけ」

 廊の簀子を鳴らしながら去って行く父の足音を聞きながら、明子は几帳の陰で哀しげに顔を振った。そして、乳母の手から惟仁親王を抱き取って、自分の胸に抱きしめた。

 惟仁親王は、小さな拳を振り上げ、明子の滑らかな髪の一房に触れると、それを握り締めて引っ張った。明子は優しくその指をほころばせて髪をほどくと、桃のような幼子の頬に自分の冷たい頬を押し当てた。そして、文徳帝に良く似た一重目蓋の我が子の瞳を、いつまでも見つめ続けていた。









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最終更新日  2007年10月13日 11時17分11秒
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