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2007年11月15日
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カテゴリ: 蒼鬼
 だが、その時だ。

 突然、それまで晴天だった空が俄かに掻き曇り、急に物凄い大風が吹き始めたのである。

 その風は見る間にぐるぐると渦を巻くようにして立ちのぼった。そして、竜巻のような形になると、疾走する名虎の馬の前に立ちふさがったのである。

 名虎は馬を励ましてその竜巻をつきぬけようとした。だが、あっという間に竜巻の中に巻き込まれ、名虎は馬と共に宙に舞い上がった。そして、空高く跳ね上げられたかと思うと、恐れ多くも帝の幕屋の真ん前に叩きつけられたのである。

 赤兎に乗っていた能雄は、軽い身のこなしを生かして、巧みに竜巻をよけた。そして、もはや遮るもののない馬場を悠然と疾走し、とうとう馬場の末端を駈け抜けた。

 怒号のような歓声が、右近の馬場を揺るがすように響き渡った。

 緊張と興奮のあまり、思わず立ち上がって幕屋から身を乗り出していた良房は、おのれの目が信じられないのか、袍の袖で目蓋を拭った。そして、左方の勝利を見て取ると、急にへなへなとその場にしゃがみこんでしまった。

 良房の隣に座していた基経は、ふと不審な面持ちをしながら席を立って出て行った。

 左の幕屋に詰めていた貴族たちは、もう大喜びである。互いに、泣き笑いしながら、手を握り肩を叩き合っている。





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最終更新日  2007年11月15日 12時42分50秒
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