佐遊李葉  -さゆりば-

佐遊李葉 -さゆりば-

PR

×

キーワードサーチ

▼キーワード検索

プロフィール

vyゆりyv

vyゆりyv

カレンダー

カテゴリ

カテゴリ未分類

(0)

露野

(129)

心あひの風

(63)

孤舟

(59)

かるかや

(68)

蒼鬼

(253)

光明遍照

(53)

山吹の井戸

(52)

きりぎりす

(217)

遠き波音

(50)

羅刹

(193)

コメント新着

vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -193-(10/05) 千菊丸2151さん いつもお読みいただいて…
千菊丸2151 @ Re:羅刹 -193-(10/05) 是非このブログを残してください。 ゆり様…
vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -192-(09/14) 千菊丸2151さん だらだら更新に最後まで…
千菊丸2151 @ Re:羅刹 -192-(09/14) 漸く完結しましたね。 ちょっと後味が悪い…
vyゆりyv @ Re[1]:羅刹 -190-(09/08) 千菊丸2151さん 花山院皇女は惚れた弱み(…

サイド自由欄

QLOOKアクセス解析
2013年01月11日
XML
カテゴリ: きりぎりす
 資通はまた涙ぐんだ。堀河は獅子王が話してくれたことを思い出しながら訊ねた。

「そなたは獅子王と共に、ずっと旅をしていたと聞いたが」

「はい。わしは若殿を連れてすぐに京を出ました。もし見つかれば、若殿とわしもただでは済みますまい。それで、身分がわからぬように髪を剃り、旅の僧に姿を変えて、越後へ下ったのでございます。越後には、わしの古くからの知人である平永基がおりましたから。わしが思った通り、永基は親切にわし等を迎えてくれ、暮らしの面倒を見てくれました。わしらは念のため僧の姿を変えぬまま、永基の与えてくれた廃寺の建物で暮らすことになったのです」

 資通は懐かしげに目を細めて語り続けた。

「何しろ、若殿はすっかり子供に戻られておりましての。わしはまた一から、全てのことをお教えせねばなりませんでした。まあ、以前完全に習得しておられたことばかりですから、若殿はすぐに武芸の技も多少の学問も覚えられましたが。しかし、記憶の方は全く戻らず、人柄もすっかり変わってしまったようでした」

「そう、わたくしも正盛殿に聞いて驚いた。義親という男は、気性の激しい荒武者であったというではないか。でも、わたくしの知っている獅子王は、男なのか女なのか、子供なのか大人なのか、よくわからないところがあった」

「はい、わしもそれが不思議でした。いつも、子供の遊びや裁縫などをしたがり、以前はあれほど得意であった乗馬もさほど興味はない様子。でも、わしにはそれがまたなぜかいじらしくて。まるで、自分の子供でも育てているような気になってしまったのでございますよ。それで、このまま越後で若殿と二人、ひっそりと暮らせればそれで良いとまで思っておりました」

「それが、なぜ越後を出ねばならなくなってしまったのかえ?」

「越後に来て九年ほど経った頃のことでございます。突然、越後の国府から若殿を捕えよとの命令が下されたのです。どうやら、越後の豪族の中に若殿の顔を見知っていた者がいたようで、それがいつしか風聞となって、京辺りにまで流れ届いてしまったらしいのです。永基は我らをかばって、そのような者はおらぬと言ってくれました。でも、京から検非違使の役人まで派遣されてくると、ついに再三の追求から逃れられず、結局は我らを越後から逃がすことにしたのでございます。後で聞いた話では、永基はたまたま河原で行き倒れていた死人の首を刎ねて持って行き、これがその義親らしき僧の首であると検非違使に申し出たとか。長らく養ってもらった上、えらい迷惑までかけてしもうて。永基には今でも申し訳なく思っております」


にほんブログ村 小説ブログ 歴史・時代小説へ






お気に入りの記事を「いいね!」で応援しよう

最終更新日  2013年01月11日 16時07分33秒
コメントを書く
[きりぎりす] カテゴリの最新記事


【毎日開催】
15記事にいいね!で1ポイント
10秒滞在
いいね! -- / --
おめでとうございます!
ミッションを達成しました。
※「ポイントを獲得する」ボタンを押すと広告が表示されます。
x
X

© Rakuten Group, Inc.
X
Design a Mobile Website
スマートフォン版を閲覧 | PC版を閲覧
Share by: