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2013年01月24日
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カテゴリ: きりぎりす
 三条西殿の寝殿の簀子(すのこ)で、堀河は月を見ていた。

 三条西殿の南庭には、このような京の大邸宅に付きものの池がない。そのかわり、庭の中央には蓬莱(ほうらい)山を模った奇岩と銘木が巧みに配置され、それを取り巻くように清らかな白砂がたっぷりと撒かれている。月光に照らされた庭は、まるで白銀の海の情景を映したかのようだ。

 煌々と輝く月を眺めながら、堀河はふっと溜め息をついた。

 獅子王を助けたあの夜も、今宵のように月がたいそう明るかった。鴨院にいる獅子王も、今、この月を眺めているのだろうか。

 獅子王が連れ去られてから、もう二十日ほどにもなる。

 実能からはまだ何も言って来ない。桜子ももう冷泉殿の元にはいないようだ。

 堀河の局は、元のようにがらんと静まり返り、薄暗く寒々としていた。獅子王の残していった物と言えば、あの鬼切部という銘のついた太刀だけだったが、それも今は従者の資通の手に渡してしまっている。

 獅子王と共に過ごした日々を偲ぶものは、今や何一つない。

 堀河には、獅子王がだんだん遠くなっていくような気がした。このまま、もう二度と逢うこともないのだろうか。




  忘れにし人は名残もみえねども面影のみぞ立ちも離れぬ 


(もう忘れたかのように遠くなってしまった人は、その存在の名残一つ残していないけれど、その人の面影だけはいつまでも側に寄り添うようにして離れないのは、一体なぜなのでしょう)


「良い歌じゃの」

 背後の御簾の内から声がした。

 いつの間にか、庇の間の几帳の陰に、人の姿がある。

 あでやかな葡萄染(えびぞめ)の袿とその細く可憐な声音は、まぎれもなく待賢門院のものだった。


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最終更新日  2013年01月24日 15時31分31秒
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