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2013年07月02日
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カテゴリ: きりぎりす
 堀河はずっと西行の本心が知りたいと思っていた。それで、待賢門院拝領の瓶をぼんやりと眺めている西行に、そっと小声で聞いてみた。

「そなた、なぜ突然出家などしてしまったのかえ?」

 西行は目を上げて堀河の方を見たが、片頬に奇妙な微笑を浮かべたまま黙っていた。堀河はそれを無視して続けた。

「そなたが出家してから、もう三十年以上経つかのう? あの頃まだ二十歳をいくつか過ぎたばかりで、前途も約束された者が、なぜ急に出家などと、あの時ずいぶん騒がれたものだったが。中には、ある高貴な方への叶わぬ想いが募って、などと言う者もいた」

 西行はすっと簀子から立ち上がると、堀河に背を向けて言った。

「さあ、何ででしょうな……」

 そして、そのまま堀河には顔を見せずに、先程の桜の木の下へ行って、長い間その梢を埋める満開の花を見上げていた。


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最終更新日  2013年07月02日 15時32分09秒
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