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2013年08月16日
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カテゴリ: きりぎりす
 しかし、世の中というものは皮肉なものだ。

 そのように妹さえ捨てて見事に政界を泳ぎきった実能も、翌年あっけなく死んだ。朝廷を牛耳ってこれから権力を振おうとした矢先のことだった。

 堀河は色白で目許の涼やかだった実能の顔を思い出す。

 あの温和な美貌のどこに、このような変わり身の早い冷酷さがあったのだろうか。

 獅子王の一件の時、摂関家との争いを徹底して避けようとしたのも、正盛の言いなりになるふりをしてその動向を逐一把握していたのも、世の乱れを憂う清廉さではなく、権謀術数に長けた政治家としての老獪さの現れだったのかもしれない。

 堀河は心の中に浮かぶ実能の面影に向って、小声で念仏を唱えていた。西行はしばらく庭の桜の方を見やっていたが、やがて低い声で言った。

「私は子供の頃から桜が好きでしてね。あの桜子という名前も、私が桜好きなのを知っておられた実能様が、とっさに付けてくださった名前だったのですよ。そう言えば、実能様とはじめてお会いしたのも桜が縁でした。父にくっついて実能様のお屋敷へうかがった時、私はお庭の桜があまりにも見事に咲いていたので、その満開の花に包まれてみたいと、その梢にこっそり攀(よ)じ登ったのです。ところが、立派な枝を一本へし折ってしまって。下に落ちて腰は打つし、父にはこっぴどく叱られるし。実能様にもきついお叱りを受けるだろうと覚悟して、お詫びの歌を一つ詠んで差し上げると、それを実能様はいたく気に入ってくださいましてな。なかなか風流で面白い小童だと、それからは何かにつけて目をかけて可愛がってくれました。私が出家したのを最後まで惜しがってくださったのも、実能様でしたよ」


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最終更新日  2013年08月16日 14時50分55秒
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