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2014年02月28日
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カテゴリ: 遠き波音
「そなたは、そんな言いつけに従ったのか」

「わたくしも哀しくはございましたが、それ以外にどんな術(すべ)がありましたでしょうか。わたくしにできるのは、せめて少しでも裕福そうで見目の良い殿方に声をかけることくらい。そんなことをしたって、吉祥様のお心が休まるとは思えませなんだが。でも、男など皆同じでございました。あんなに美しい吉祥様にだって、何度か通えば飽きてしまう。ある旅の商人などは、わたくしに向かってこう言いましたよ。どんなに美女でも、まるで人形を抱いているようで、何の面白みもない。あれなら、淀辺りの遊女屋にでも上がった方がよほどましだと。わたくしは悔しくて、足摺(あしずり)したい思いでございましたが、他にどうしようもありませぬ。そういう風にして、わたくしどもは何とか長い月日を過ごしてまいったのです」

「でも、どうして近江へ」

 そう問う近江守に、老尼は頭巾の陰で俯きながら小声で答えた。

「あなた様方が播磨へおいでになった後、わたくしのところへ文が参りましてな。それは、わたくしの孫息子からでした」

「そなたの孫?」

「はい。わたくしには一人娘がおりましたが、近江郡司に嫁いで一男を産んだ後に亡くなりました」

「その忘れ形見か」

「ええ。何でも、京での長宿直(ながとのい…注)の役に当たったとかで、しばらくの間中務大輔様のお屋敷に逗留させてはもらえないかとのことでした。わたくしにはやはり可愛い孫でございますしね。それに、相応の礼や日々の費えも払うということでしたので、これで吉祥様が客をとらずとも何とか暮らしていけると喜んで孫息子を迎えたのですが」



「吉祥様のあのお美しさ。それに、何とか人が住めるのは狭い寝殿の一角だけでしたから。あんな風に一緒に暮らしていれば、仕方のないことでございましょう。わたくしも、道端で見も知らない男を捉まえて引き込むよりは良いだろうと、孫息子とのことを吉祥様におすすめしたのですよ。でも、その頃の孫息子は大そう吉祥様を大事にしてくれ、やがて長宿直が終わった時も近江へ連れて帰って一生面倒をみると申しました。このまま京にいても困窮するばかり。それで、わたくしどもは孫息子を信じて、共に近江へ下ったのでございます」


注「長宿直」……地方の荘園の運営を任されている豪族の子弟などが、京の領主の屋敷へ、長期にわたって侍として宿直当番を勤めること。


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最終更新日  2014年02月28日 16時57分17秒
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