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2014年08月09日
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カテゴリ: 羅刹
 父はさらに深い溜め息をつきながら続けた。

「そのうち、とうとう伊周殿も亡くなられてね。その頃まだ道雅殿は十八歳。官位も従四位下左近少将で、同じ年頃には既に権中納言の要職にあった伊周殿とは雲泥の差だ。伊周殿は道雅殿の行く末を、亡くなる寸前まで大そう気に病まれてな。この程度の官位では、私が死んだら一体どうなることか。だが、中関白家の嫡流たる者が、官位を得るために人に媚び諂(へつら)ったり、他家に臣下の礼を取ったりしてくれるな。そんなことをするくらいなら、いっそ出家して山奥へ入り、世捨て人となって欲しい。伊周殿は道雅殿の手を取って、泣く泣くそうおっしゃったのだそうだよ」

 いまわの際に見せた伊周の誇り高さと無念さ。

 それはきっと、そのまま道雅へ乗り移ったのではないか。

 道雅という人物の輪郭が、能季の中におぼろげながら浮かんできた。


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最終更新日  2014年08月09日 16時00分51秒
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