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2014年12月24日
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カテゴリ: 羅刹
「わたくしの知っていることなど、お役に立ちますかどうか」

「そなたは小一条院の妹宮である当子内親王の乳母だったそうだな。それでは、当子様について聞かせてくれ」

 老尼は顔を上げて能季を見た。

 白い顔一面を覆う皺に埋もれるような小さな目が、少し疑(いぶか)るような光を帯びてこちらに向けられている。

 老尼は手に持った数珠をまさぐりながら言った。

「もう当の昔に亡くなられた方でございます。それでもよろしいので?」

「ああ。大そう美しくて優しい方だったというではないか。私の書く書物にも、きっと花を添えてくれると思う」

「書物に。あのお方のことを覚えているのは、もうそうたくさんはおりますまい」

「そなたがいなくなれば、その思い出も失われてしまうだろう。それならば、私が書物に残して、それを後世に伝えよう」



 能季は老尼の細い肩に手を乗せて、優しく宥(なだ)めるように撫でさすった。

 老尼はしばらくの間声を殺してすすり泣いていたが、やがて落ち着いてきたのか、ぽつりぽつりと語りだした。


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最終更新日  2014年12月24日 16時24分04秒
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