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2015年02月27日
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カテゴリ: 羅刹
 ところが、昨年の秋のこと、能季は思いがけず斉子女王に再会したのである。

 三年前の正月に小一条院が亡くなり、能季の姉の院の上も瑠璃女御も出家して、忌日の法要も大方済んでしまうと、御所の様子は大そう寂しくなった。

 父の頼宗は院の上の無聊(ぶりょう)を慰めるため、時折小一条院を訪れるようになった。その折に、瑠璃女御の話し相手にでもなってやれと、能季もよく共に連れて行くようになったのである。

 ある日、能季は例のごとく瑠璃女御の御前に行き、いつものようにその昔語りに耳を傾けていた。

 斉子女王は御簾内にはいなかった。

 以前は時々同席してほんの少し声を聞かせてくれることもあったけれど、近頃は滅多にお出ましになることはない。

 能季は失望に唇を噛みながら瑠璃女御の相手をしていたのだが、その時ちょっとした騒ぎが持ち上がった。

 瑠璃女御が飼っている狆(ちん)の子犬が、首につけていた紐を噛み切って庭に出てしまったのだ。

 すぐそこの草叢(くさむら)で遊んでいるのだが、庭には時折野犬が入っていることもあるので心配だという。



 ところが、子犬は意外とすばしっこく、遊んでもらっていると勘違いしたのか、そこら中を跳び回ってなかなか捕まらない。そのうちぱっと駆け出して、御所の奥へ逃げ込んでしまった。

 乗りかかった舟なので、能季は庭を通って子犬を探しに行った。

 すると、透垣(すいがい)の向こうから微かな声がした。

「まあ、小麻呂、どこから来たの」

 能季は透垣の隙間からそっと覗いてみた。

 透垣の向こうは、西の対の北庇に面した小さな壺庭になっている。黄昏の淡い光が射し込み、壺庭の秋草も庇の半蔀(はじとみ)も仄(ほの)かな黄金に輝いていた。

 対の屋の簀子(すのこ)から壺庭に降りる階(きざはし)の上に、誰かが立っている。

 紫苑(しおん)の袿をゆったりとまとったその人は、斉子女王だった。


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最終更新日  2015年02月27日 17時41分19秒
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