「007 スペクター」21世紀のボンドにスペクター
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『中国行きのスロウ・ボート』がつなぐ輪R7
<『中国行きのスロウ・ボート』がつなぐ輪R7>
図書館で借りた小川洋子著『博士の本棚』という本を読んでいるのだが…
このところ集中して借りた本のなかで、『中国行きのスロウ・ボート』がつなぐ輪が見られるので、並べてみます。
・『妖精が舞い下りる夜』1993年刊
・『中国行きのスロウ・ボート』1997年刊
・『村上春樹(群像日本の作家)』1997年刊
・『博士の本棚』2007年刊
・『村上春樹のなかの中国』2007年刊
・『村上ソングズ』2010年刊
・『気になる日本語』2011年刊
・『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』2011年刊
・『注文の多い注文書』2013年刊
・『みみずくは黄昏に飛びたつ』2017年刊
・『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』2018年刊
・『村上春樹と魯迅そして中国』2021年刊
しかし、まあ…
村上作品を信奉する女性作家に囲まれる村上さんは、作家冥利につきるようでおます♪
R7:『村上春樹と魯迅そして中国』を追記
このエッセイ集『妖精が舞い下りる夜』が刊行された1993年には、まだ『中国行きのスロウ・ボート』は世に出ていないので、当然ながら言及はありません。
小川洋子さんが、『風の歌を聴け』の衝撃を語っているので、例外的に取り上げました。
【妖精が舞い下りる夜】
小川洋子著 、KADOKAWA、1997年刊
<「BOOK」データベース>より
人が生まれながらに持つ純粋な哀しみ、生きることそのものの哀しみを心の奥から引き出すことが小説の役割りではないだろうか。書きたいと強く願った少女が成長しやがて母になり、芥川賞を受賞した日々を卒直にひたむきに綴り、作家の原点を明らかにしていく、珠玉の一冊。繊細な強さと静かなる情熱を合わせ持つ著者の、人と作品の全貌がみえてくる唯一のエッセイ集。
<読む前の大使寸評>
ちょっと古いエッセイ集であるが小川洋子の原点が載っているかもと、期待するのでおます♪
なお 借りたのは、1993年刊のハードカバーでした。
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妖精が舞い下りる夜
【中国行きのスロウ・ボート】
村上春樹著、中央公論新社、1997年刊
<「BOOK」データベース>より
青春の追憶と内なる魂の旅を描く表題作ほか6篇。著者初の短篇集。
【目次】
中国行きのスロウ・ボート/貧乏な叔母さんの話/ニューヨーク炭鉱の悲劇/カンガルー通信/午後の最後の芝生/土の中の彼女の小さな犬/シドニーのグリーン・ストリート
<読む前の大使寸評>
追って記入
rakuten
中国行きのスロウ・ボート
【村上春樹(群像日本の作家)】
ムック、小学館、1997年刊
<出版社>より
『風の歌を聴け』『1973年のピンボール』『羊をめぐる冒険』以来、新しい感覚で現代人の「生」をとらえなおし、日本文学をまさに現代のものにして、文学の世界を大きく広げた村上春樹。その透明な抒情の漂う不思議な文学世界は、いまなお広がりつづけており、多くの読者をひきつけている。
例えば評論家・山崎正和氏は『世界の終りとハードボイルドワンダーランド』に触れて、現代でもなお文学は自由や愛について夢を見、憧れることをやめていないようだ、といい、この作品はその行為が夢にすぎないと認めながらも、なおそれを夢見ることの意味を謳いあげようとしたものだ――と評している。
<読む前の大使寸評>
ちょっと古い(群像日本の作家)シリーズであるが、写真も多く、切り口も多彩であり、なかなかのシリーズである。
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村上春樹(群像日本の作家)
『村上春樹(群像日本の作家)』1
:安西水丸さんが語る村上評
【博士の本棚】
小川洋子著、新潮社、2007年刊
<「BOOK」データベース>より
本という歓び、本という奇跡。『博士の愛した数式』で第一回本屋大賞を受賞した著者が、大好きな本の数々を紹介しつつ、本とともに送る生活の幸福を伝える極上のエッセイ。
<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると、大使は書名も著者名も知らない洋書の数々、村上春樹の作品などが出てくるではないか…
これは期待できるかも♪
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博士の本棚
『博士の本棚』1
byドングリ
小川洋子さんの想いを見てみましょう。
p273~275
<『中国行きのスロウ・ボート』を開きたくなる時>
自分が敬愛する作家の、最も好きな作品が短篇である場合、何かと具合のいいことが多い。もちろん長編であっても一向に構わないのだが、短篇ならばふと思い立った時、最初から最後までいつでも通して読み返せる。あるいは全文を書き写し、より深く小説の奥へ分け入って、言葉の一個一個を味わい尽くすこともできる。
村上春樹作品の中で、私がそういう読み方をしているのは『中国行きのスロウ・ボート』に収められた、『午後の最後の芝生』である。私はその文庫本を仕事机の片隅に常に置いておき、小説を書くのにうんざりしたり、目がチカチカして頭痛がしたり、ただ意味もなくぼんやりした気分になった時、手に取ってページを開く。
自分が作家になる前は、当然のことながら私は読者の立場としてその小説を読んでいた。しかし今は、書き手として向かい合っている。純粋な読み手でいる方が、読書は楽しめるという人もいるかもしれないが、私はそうは思わない。自分も小説を書くようになったことで、『午後の最後の芝生』がいかに豊かな物語であるか、より実感を持って知ることができた。と同時に、これほどまでに愛される作品を書いた村上春樹に、奇妙な嫉妬を感じたりもしている。
『中国行きのスロウ・ボート』は、村上春樹の最初の短編集である。処女作にはすべてが含まれる、とよく言われるが、確かにこの短編集には、現在にまで至る彼の世界のあらゆる要素が描かれている。
『羊をめぐる冒険』の物語が膨張してゆく力、『世界の終りとハードボイルド・ワンダーランド』の自己解離への怖れ、『TVピープル』の硬質さ、『ねじまき鳥クロニクル』の徒労感、『スプートニクの恋人』の空虚さの永遠性…。皆揃っている。あるものは正々堂々と、あるものは言葉の蔭にひっそりと身を隠すようにして、スロウ・ボートに乗り込んでいる。
『午後の最後の芝生』は大学生の男の子が、アルバイトで芝を刈る話である。たったそれだけのことだ。
早速お金を稼ぐ必用がないことに気づいた彼は、最後のバイトで、風変わりなしゃべり方をする中年女の家の芝を刈る。完璧な仕事をこなしたあと、ティーン・エイジャーの女の子の部屋と思われる一室へ案内され、感想を求められる。
粗筋を説明しはじめると途端につまらなくなる小説は、いい小説だ。芝生を刈るだけの話がベストワンなんて、これほど明確に小説というジャンルの魅力を証明できる事実はない。
これは記憶の話でもある。最後の芝刈りの記憶が、ぐったりとして柔らかい子猫に姿を変えて思い起こされる。またガールフレンドとのセンチメンタルな別れの話も出てくる。「僕」は無意識的にその別れと距離を保とうとしているが、どうしても誤魔化しきれない疼きを感じている。
そして全篇を覆っていうのは、死の気配だ。死者は一人も登場しない。なのに誰もその気配から逃れることはできない。
最も肉感的で存在感のあるバイト先の中年女性が、実は最も濃い死後の世界の匂いを漂わせている。感情を排除したぶっきらぼうな物言い、ピクルスを齧る音と、ウォッカ・トニックのグラスを握る指輪のない手には、誰かを失った哀しみがしみ込んでいる。彼女と同じ部屋に立ってしまったために、「僕」は半ば強引に、ほとんどそうとは気づかないうちに、こちら側と死との境目に、身を置くこととなる。
「…長い小説を書いているとき、僕はいつも頭のどこかで死について考えている」と村上春樹は言う。だから私は小説を書いていて訳もなく哀しくなった時、『中国行きのスロウ・ボート』を開きたくなるのだろうか。
【村上春樹のなかの中国】
藤井省三著、朝日新聞出版、2007年刊
<「BOOK」データベース>より
村上春樹は中国から深い影響を受けている。「中国行きのスロウ・ボート」『ねじまき鳥クロニクル』『アフターダーク』など作品中で中国を「記号」として登場させている。一方、中国語圏では台湾、香港、上海、北京と、時計回りに村上春樹現象が出現した。「すっごくムラカミ(非常村上)」という流行語が生まれ、村上作品から影響を受けた「村上チルドレン」が多く輩出され、東アジアに与えた文化的な影響は大きい。近代文学において大きなテーマであった「中国」を村上春樹はどのように描いているのだろうか。また村上受容から見えてくる東アジアの姿とはいかなるものだろうか。魯迅からウォン・カーウァイまで「村上春樹」を軸に中国文学研究者が、東アジアの文化と社会を探る。
<読む前の大使寸評>
帰って読み始めると、著者が中国文学研究者であり、中国文学への深い知識に圧倒されるわけで、ちょっと当てがはずれたわけですが・・・
ま、いいかと読み進めます。
rakuten
村上春樹のなかの中国
『村上春樹のなかの中国』1
:魯迅「藤野先生」と「中国行きのスロウ・ボート」
<『村上ソングズ』2>
図書館で『村上ソングズ』という本を、手にしたのです。
ぱらぱらとめくってみると…
英文の原詞、和文の訳詞、和田さんの挿絵、村上さんの解説がセットになっている構成が並んでいて、装丁として洒落ていてええでぇ♪
【村上ソングズ】
村上春樹著、中央公論新社、2010年刊
<商品説明>より
厖大なレコード・コレクションの中から、ビーチボーイズ、ドアーズ、H.メリル、T.モンク、B.ホリデイ、S.クロウ、スプリングスティーンほか、ジャズ、スタンダード、ロックの多彩なアーティストをピックアップ。「中国行きのスロウ・ボート」「酒とバラの日々」などなど、訳詞とエッセイで紹介するお気に入りのあの曲、知る人ぞ知るこんな曲。和田誠さんのカラフルな絵も満載。
<読む前の大使寸評>
英文の原詞、和文の訳詞、和田さんの挿絵、村上さんの解説がセットになっている構成が並んでいて、装丁として洒落ていてええでぇ♪
rakuten
村上ソングズ
先ず一押しの「中国行きのスロウ・ボート」を、見てみましょう。
p60~65
<中国行きのスロウ・ボート>
中国行きのスロウ・ボートに
君を乗せられたらな。
そして僕だけのものにできたらな。
腕の中に君を抱いて
いつまでも離さない。
ほかの男たちなんぞ
岸辺で涙にくれていればいい。
僕らは海原の真ん中にいて
空には大きな月が輝き
君の固い心を溶かしてくれる。
中国行きのスロウ・ボートに
君を乗せられたらな。
そして僕だけのものにできたらな。
<On A Slow Boat To China>
I'd love to get you
On a slow boat to China,
All to myself alone.
Get you and keep you
In my arms evermore,
Leave all your lovers
Weeping on the faraway shore.
Out on the briny
With the moon big and shinny,
Melting your heart of stone.
I'd love to get you
On a slow boat to China,
All to myself alone.
『村上ソングズ』2
:酒とバラの日々
『村上ソングズ』1
:中国行きのスロウ・ボート
このところ、エキゾティックな満州、上海など気になるのだが・・・
この本に<スロウ・ボート・トゥ・チャイナ>という歌が出ているので、見てみましょう。
なるほど、<スロウ・ボート・トゥ・チャイナ>という歌の<チャイナ>とは天国のことだったのか♪
この歌のメロディーは知らないが、暇な大使は“『中国行きのスロウ・ボート』がつなぐ輪”としてフォローしていたのです。
ちなみに、村上春樹はこの曲に、死の気配を感じたそうだが・・・この辺りが作家的感性なのか?(大使、深入りし過ぎでは?)
【気になる日本語】
小林信彦著、文藝春秋、2011年刊
<「BOOK」データベース>より
アマチュアの時代はこまったものだー徹底した個人主義を守りつつ、世間にきっぱり物申す。映画の話題も満載。「週刊文春」好評連載単行本化第13弾。
<読む前の大使寸評>
目次を見ると「気になる日本語」もさることながら、クリント・イーストウッドとか映画「ゴールデンスランバー」が出て来るのがいかにも小林信彦ふうで、ええでぇ♪
rakuten
気になる日本語
いよいよ真打登場ということで…村上さんのエッセイ集を取り上げます。
【おおきなかぶ、むずかしいアボカド】
村上春樹著、マガジンハウス、2011年刊
<「BOOK」データベース>より
アンアン連載の人気エッセイ、村上春樹のテキストと大橋歩の銅版画がつくり出す居心地のいい時間。野菜の気持ち、アンガー・マネージメント、無考えなこびと、オキーフのパイナップル、あざらしのくちづけ、うなぎ屋の猫、決闘とサクランボ、ほか全52篇。
<読む前の大使寸評>
おお 村上さんのエッセイ集やないけ♪…しかも比較的に新しい本で、これはいけるかも。
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おおきなかぶ、むずかしいアボカド
『おおきなかぶ、むずかしいアボカド』2
:医師なき国境団
【注文の多い注文書】
小川洋子×クラフト・エヴェング商会著、新潮社、2013年刊
<「BOOK」データベース>より
【目次】
人体欠視症治療薬/バナナフィッシュの耳石/貧乏な叔母さん/肺に咲く睡蓮/冥途の落丁
<読む前の大使寸評>
ぱらぱらとめくると、クラフト・エヴェング商会の通信歴のような構成となっていて、写真の挿入も多く…
装丁や編集が素晴らしいでぇ♪
rakuten
注文の多い注文書
『注文の多い注文書』4
:『貧乏な叔母さん』の納品書
【みみずくは黄昏に飛びたつ】
川上未映子×村上春樹著、新潮社、2017年刊
<商品説明>より
ただのインタビューではあらない。『騎士団長殺し』の誕生秘話、創作の極意、少年期の記憶、フェミニズム的疑問、名声と日常、そして死後のこと……。誰もが知りたくて訊けなかったことを、誰よりも鮮烈な言葉で引き出した貴重な記録。11時間、25万字におよぶ、「作家×作家」の金字塔的インタビュー。
<読む前の大使寸評>
図書館予約して、(予想外に早く)約3ヵ月後にゲットしたわけだが…
発売後ただちに予約したことと、神戸市が副本を6冊買ってくれたおかげでしょうね♪
<図書館予約:(5/30予約、8/26受取)>
rakuten
みみずくは黄昏に飛びたつ
『みみずくは黄昏に飛びたつ』7
byドングリ
つまり、『中国行きのスロウ・ボート』をめぐって、村上春樹を中心にした、小川洋子、川上未映子という(うらやましいような)華やかな輪が見られるのだが…
この村上さんの短編集のインパクトは、大きかったようです♪
村上さんが『中国行きのスロウ・ボート』について述べています。
最初に書いたふたつの短篇小説『中国行きのスロウ・ボート』と『貧乏な叔母さんの話』はどちらも先にタイトルができて、そのあと、こういうタイトルで短篇小説を書くとしたら、どんな話になるだろうと考えたとのこと…ムム ええかげんにせーよ。
【Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち】
辛島デイヴィッド著、みすず書房、2018年刊
<「BOOK」データベース>より
村上春樹と英米出版界のスペシャリストたちの冒険。A・バーンバウム、E・ルーク、L・アッシャー、J・ルービン、G・フィスケットジョン、チップ・キッド…、そして村上春樹。Haruki Murakamiの世界への飛翔までの道のりを、30余名へのインタビューをもとにたどる、異色の文芸ドキュメント。
<読む前の大使寸評>
内容を覗いてみると、翻訳がテーマとなっているようで・・・
これが太子のミニブームにいたく響くわけでおます♪
rakuten
Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち
『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』7
:「パン屋再襲撃」の英訳p296~299
『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』6
:翻訳家バーンバウム氏の続きp18~22
『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』5
:翻訳家バーンバウムができるまで(続き)p12~14
『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』4
:翻訳家バーンバウムができるまでp7~10
『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』3
:冬の時代p236~238
『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』2
:出版社の出版事情p32~35
『Haruki Murakamiを読んでいるときに我々が読んでいる者たち』1
:翻訳家バーンバウムp23~27
【村上春樹と魯迅そして中国】
藤井省三著、早稲田大学出版部、2021年刊
<「BOOK」データベース>より
「猫好きの村上春樹」と「猫嫌いで小鼠好きの魯迅」二人を合わせ鏡にして迫る文学世界ー。
【目次】
第1章 村上春樹と魯迅/第2章 男子学生の帰省と中年男の帰郷/第3章 裏切りと再会、遠い中国と懐かしい日本/第4章 満洲国の記憶ー『羊をめぐる冒険』と高橋和巳『堕落』/第5章 「トニー滝谷」と『ねじまき鳥クロニクル』/第6章 中国における村上批判/第7章 村上文学の中の戦争の記憶
<読む前の大使寸評>
追って記入
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村上春樹と魯迅そして中国
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