ふつうの生活 ふつうのパラダイス

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2008年07月01日
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カテゴリ: 日本映画


房総の海辺の町に残る古い大きな民家を舞台に、五人の女の人生の戸惑いが語られる物語。

妊娠したのに、結婚のための堕胎か、未婚のままの出産かを恋人に迫られる明美(宮地真緒)。夫婦の折り合いが悪くて、夫に出て行かれてしまった光子(浅田美代子)。うまくいかない現実、仕事から逃れるようにしてこの家にやってきた美土里(樹木希林)。戦争によって死んだかつての恋人の遺品を捜すために戦時中の疎開先であるこの民家に、恋人との約束を思い出してやってきた保恵(香川京子)。

男の身勝手に泣かされる女たち。そんな女の業というものが、それぞれの世代にそれぞれにあって、女ゆえにもつ業に悩む女たち。

結婚にも、子供を産むことにも戸惑う明美。でていってしまった夫とよりを戻せない光子。

女が生きていくことは辛くて、難しい。

物語の中に語られる白い蛇は、女の業そのものをあらわしているのではないのかと思う。

けれどでは、男の方がいいかといえば、男は男で、戦争があれば、戦場に行き、命をかけて戦わなければならないし、女を養い、家を守り、それなりの責任をひき受けていかなければならない。明美が妊娠にとまどったように。明美の恋人もまた、恋人の妊娠に戸惑い、結婚や家庭に戸惑ったのだろう。全てを正悪でとらえる光子に息苦しさを感じて、でていった光子の夫もまた、家庭というものをひきうけなければならないその重さ、男の業から逃げようとしたのかもしれない。

ラスシ近くで登場する潜水艦、つまり赤い鯨とは、また、男の業をあらわすものなのだろう。

この物語は、そんな女の業、男の業、人の人生に定められた運命を受け入れる物語なのだろうと思う。

そしてまた、赤い鯨は、「女の子宮」を、白い蛇は、「男性」をあらわしているのだろうと思う。
「白い蛇と話す」ということは、女としての自分の業を受け入れるということを意味するのではないかと思う。だから、「白い蛇と話すと幸せになれる」ということは、女は女としての自分の業を受け入れることでやっと、しあわせになれるのだと、そういうことなんだろうと思う。


家出した美土里は結局家に戻る。光子の夫は、家に戻ろうと、館山の駅まで来て戸惑っている。里香(坂野真理)は初潮を経験し、保恵は、かつての恋人とのかなわなかった恋に別れを告げる。

それぞれがそれぞれの業を受け入れるに至るまでの物語だった。

妊娠に戸惑っていた明美もまた、ラストでかわいらしいわが子を抱きしめて、幸福そうに微笑む。辛くて苦しいことばかりのようでいて、受け入れて見ればそこにはまた、幸せを伴っていることにもまた、気づくのかもしれない。

明美がはたして、恋人と和解したのか、結婚しえたのか、それとも、未婚のままの出産なのか。それはわからないけれど、それでも、たとえ、どちらの人生であったにしろ、この先にもまた、明美には明美の人生の運命、女の業が、それぞれの人生のポイントに用意されていることに変わりはないのだから。

監督のせんぼんよしこさんのコメントが本編の後に収録されていて、主演の香川京子さんの着物の着こなし、着付けへのこだわりなど、女性監督らしい気配りがすばらしい。

そして、浅田美代子さん、宮地真緒さんが、それぞれに素敵だった。

宮地さん。背が高くて足が細くて、きれいで、いいなあ。

ただ、ラストにでてきた赤ちゃん、一年の間に出産したとしても、あんなに大きいはずないのでは。女の人いっぱいこの映画見たとおもうのですけど、不思議に思った人いるかしら。監督が女性のわりにそのあたりがお粗末なのでは。






赤い鯨と白い蛇@映画生活








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最終更新日  2008年07月01日 15時05分18秒
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