時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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July 25, 2007
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「遠夜に光る松の葉に、懺悔の涙したたりて、遠夜の空にしも白ろき、

 天上の松に首をかけ。天上の松を戀ふるより、祈れるさまに吊されぬ」


                         萩原朔太郎「月に吼える」より「天上縊死」

 萩原 朔太郎(1886年[明治19]~1942年[昭和17])は、群馬県生まれで、口語自由詩を確立した詩人として有名である。作品には、処女詩集「月に吠える」を始めとして、「青猫」、「蝶を夢む」などが知られている。

 この萩原朔太郎の詩をモチーフにしたミステリーが、 『「萩原朔太郎」の亡霊』 (内田康夫:集英社)である。朔太郎の詩に見立てた、殺人事件が起こるのだ。今回の主役は、警視庁きっての名探偵、岡部警部である。岡部は、事件の真相を追い求めるが、そこには、30年前に起きた殺人事件の因縁が・・・。

 朔太郎については、高校の文学史で習った程度の知識はあるものの、実際の作品は読んだことはなかった。なんと言う陰鬱な詩であろうか。この作品で扱われる事件の方も、負けず劣らず陰鬱なものである。岡部は、犯人に先手を取られながらも、次第に事件の真相を解き明かしていく。そして、最後は意外な真相が明らかになる。

 この作品は、内田氏の第4作目に当たり、著者自身による解説によれば、広告関係の仕事から作家業への転向を決定付けた作品とのことである。作者の思い入れの深い作品だけあり、非常に面白いミステリーになっている。


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「萩原朔太郎」の亡霊(内田康夫:集英社)



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Last updated  July 25, 2007 08:39:26 PM
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