時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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November 2, 2007
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 書店で 「地獄少女 恨の紋章」

 「地獄通信」と言う、午前0時にのみ、強い恨みを持つものだけがアクセスできるというサイト。そこに恨みの対象の名前を書き込むと、地獄少女・閻魔あいが現れ、恨んでいる人間を地獄に流すことのできる藁人形を渡してくれる。しかし、それには代償が必要なのである。自分も死んだら、同じく地獄行きとなってしまうのだ。

 松宮渉の通う学校に、突然、東京のお嬢様学校から、鶴木清香という美少女が転校してくる。彼女も、人を地獄に流した過去を背負っていた。清香に近づきたい渉の行動に、清香は疑心暗鬼となり、ついには家出をしてしまう。渉は、清香を捜し求めるうち、やはり地獄通信にアクセスし、人を地獄に流した経験を持つ人たちに出会う。

 ところで、地獄とは、洋の東西を問わず、罪人が死後に、そこに落とされ、ひどい責め苦を受けるところである。もっとも、仏教で言う地獄と、キリスト教で言う地獄とは若干異なっているのだが。この作品には、輪廻思想らしきものが出ているので、仏教的な地獄をモデルにしていると思われる。

 仏教で言う地獄とは、地獄、餓鬼、畜生、修羅、人間、天の六道の一つである。人間は、この六道を永遠に輪廻転生していく。この輪廻の苦しみから逃れることを解脱といい、解脱した人を仏陀と呼ぶのである。しかし、仏教の地獄は、やがては輪廻転生していくのに対して、この作品では、地獄に落ちたものは、永遠にそこで苦しむという設定がされているので、キリスト教的な地獄観も混在しているようだ。

 この作品の題名からは、当初、ものすごい怖い場面が次々に出てくるホラー小説をイメージしていたが、良い意味で期待を裏切られた。この作品の中で描き出しているのは、通常のホラー小説のような恐怖の場面ではない。描いているのは、人を地獄に落とした後の悲しみと後悔、そして、そんな人々を知ってしまった渉の苦悩なのである。いったい、人を地獄に流した人間は、自分が地獄に行くまでに、どのように生きていくのであろうか。


「地獄少女 恨の紋章」(広真紀 /渡辺浩: ホビージャパン)



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Last updated  March 26, 2008 10:28:20 PM コメント(4) | コメントを書く
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