時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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January 9, 2009
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「スティグリッツ早稲田大学講義録」 (薮下史郎/荒木一法:光文社)は、そのスティグリッツが、2004年に早稲田大学に招かれ、公開シンポジウム形式で行った講演を本にしたものである。講演の内容をごくおおざっぱにまとめると以下の通りである。

「スティグリッツ早稲田大学講義録」(薮下史郎/荒木一法:光文社)



 内容は、強烈な安易なグローバリゼーションやIMFに対する批判である。グローバリゼーションは、1990年代には、世界中の人々に繁栄をもたらすものと思われていた。しかし、グローバリゼーションが進んで行った結果、富んだ国はますます富み、貧しい国はますます貧しくなった。

 グローバリゼーションで最も成功した地域は東アジアである。例えば韓国のGDPは35年間で8倍にもなった。この成功の理由は、グローバリゼーションを独自の視点で定義しなおして、IMFの助言をやみくもに受け入れるのではなく、取捨選択をおこなったからだと言う。逆にIMFの優等生であったアルゼンチンは、国の経済が破綻してしまった。同じ南米でも、IMFの助言に対して、やるべきこととやってはならないことを取捨選択したチリは経済的な成功を収めたのである。

 元々「市場は失敗しうる」という認識からスタートしたはずのIMFが、いつの間にか市場に任せておけばすべてうまくいくという「市場原理主義者」に変わってしまった。途上国においては、情報の不完全や市場の不完備により、市場の失敗が起こりやすいにもかかわらず、ちぐはぐな助言をしてきたのである。アダムスミスの言う「見えざる手」なんて結局はどこにもなかったのだ。


 本書は、スティグリッツによる講演を第1部として、第2部にその講演の解説、更には第3部としてスティグリッツの経済学に対する説明までついており、内容も平易である。非対称性の経済学について勉強したい人は、入門としてまず読んでおけば、その後の理解が簡単になるのではないかと思う。

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Last updated  January 9, 2009 07:12:18 AM
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