時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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January 15, 2009
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「林檎の木の道」

○「林檎の木の道」(樋口有介:東京創元社)


 主人公の広田悦至は、母親と二人暮らしの高校生の男子である。この母親と言うのがちょっと変わっている。バナナの研究者で、「バナナは地球を救う」が信念らしい。自宅は3階建てのビルだが、屋上は、すっかりバナナ園になってしまっている。悦至の祖父は73歳であるが、こちらの方も娘に負けてはいない。自分の娘より10歳も若い孝子さんという女性と同棲中で、一緒に小料理屋をやっており、来年あたり子供を作る計画だという。悦至もしょっちゅう祖父の店に出入りしており、悦子さんとも結構仲が良いようだ。

 悦至が、屋上のバナナ園で、昔あった池を掘り返している時、もと恋人の、宮沢由美果から出てこないかて電話がかかる。悦至は、「おれはもう、君の都合では動けない」と誘いを断ってしまう。その由美果が、千葉、御宿の海で飛び込み自殺をした。彼女は、絶対に自殺をするタイプではないのに。ところが由美果の通夜で、知らない女の子から、「地獄に落ちればいい」とか、「由美果はあんたに殺されたの」とかさんざん言われてしまう。実はその娘友崎涼子と悦至そして、由美果は、かって「林檎の木幼稚園」の同級生で、悦至は涼子のスカートめくりをして、ずっと恨まれていたらしい。それにしても、よくそんな昔のことを覚えているものだ。

 再開は、最悪と言う感じだったが、結局は、悦至と涼子は、いっしょに由美果の死の真相を調べ始める。涼子は、言い方はきついが、心根は案外優しいようだ。由美果のことを調べれば調べるほど、悪いことしか聞こえてこない。でも、涼子は、友達だった由美果の死の謎を懸命に追っている。実は、悦至に対しても、さんざん悪口をいったくせに、実はまんざらでもないようだ。そもそも、嫌いなら、一緒に行動はしないだろう。実は好きなくせに、態度はツンツンといったところか。題名の林檎のように、甘酸っぱい香り漂う、面白い青春ミステリーである。

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Last updated  January 23, 2009 08:40:04 PM コメント(8) | コメントを書く
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