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April 21, 2009
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「冷たい密室と博士たち」

○「冷たい密室と博士たち」(森博嗣:講談社)


 犀川助教授と萌絵のコンビは、犀川の親友である土木工学科の喜多助教授が在籍する極地環境研究センター(極地研)を尋ねる。ところが、極地研の大学院生の男女2人が死体となって発見される。彼らが見つかったのは、密室状態の実験準備室。更に計測室から、2年前に失踪した大学院生の白骨死体まで出てきた。天衣無縫で暴走気味の萌絵と一見ヌルキャラの犀川助教授のコンビが事件の真相を追い求める。

 元国立大学助教授だった森博嗣による理系テイストたっぷりの作品。でも、モチーフとして使っているのが、大学の極地研だとか低温実験室とかいった理系テイストというだけで、別にトリック自体が理系というわけではない。この作品が、本格ミステリーとして優れていることは、文庫版の巻末解説において、太田忠司氏と西澤保彦氏が褒め称えている通りなのだろう。もっとも、あまり文学的素養のない私としては、そんなに文学的読み方はしていないので、お二人が何を言っているのかはよく理解できないのだが。

 私が面白いと思うのは、単純に、天衣無縫なお嬢様キャラの萌絵と彼女に翻弄され気味ながらしっかりと事件の真相にせまっていくという犀川助教授との掛け合いの面白さだ。そこには、決してこ難しい理屈は必要ではない。まあ、作品の楽しみ方は人それぞれなので、色々な楽しみ方があってもそれはそれでいいのであるが。

 ただ、太田氏が、解説の中で、「工学部の研究室にいるのは本当に犀川助教授や国枝助手のような人間なのだ」と言っていたのには大いに異論がある。さすがにあそこまでの人はめったにいるものではない(と思う)。もっとも「西之園萌絵には、とうとう出会わなかったけど」と言うのには全く同感なのだが。

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