時空の流離人(さすらいびと) (風と雲の郷本館)

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December 30, 2009
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「雲太、和二、京三」 というように、日本で一番高い建造物と言われていた。とっくに廃止されたはずの国造家も、出雲では今なお続いているとのことだ。この出雲は、かっては神話の中のみの存在であると考えられてきた時期もあったようだが、 「荒神谷遺跡」 で、実に358本の銅剣、16本の銅矛、6個の銅鐸が出土し、また 「加茂岩倉遺跡」 でも39個の銅鐸3という古代史をひっくり返すような発見がされ、しっかりと実態を持ったものとして、我々の前に姿を現して来ている。しかし、今なお、出雲には謎が多い。この出雲をモチーフにした蘊蓄系のミステリーが 「QED 出雲神伝説」 (高田崇史:講談社)である。

○「QED 出雲神伝説」(高田崇史:講談社)



 事件は、奈良のマンションで、OLが惨殺されたところから始まる。凶器となったのは、古い様式の出雲刀。そして、現場は密室であり、「出雲神流」と呼ばれる、かって存在した忍びの流派の紋様が描かれていた。またこの事件の前に発生していたひき逃げ事件の現場にも同じくこの出雲神流の紋様が残されていたのである。

 この事件に挑むのは、このシリーズの主人公桑原崇。墓参りが趣味で、ニックネームを「タタル」という、蘊蓄を語りだしたら止まらないという、かなりの変人だが、最近は強烈な個性を持った毒草師シリーズの御名形史紋の陰に隠れているような感もあり、1年9か月ぶりの新作となっている。今回タタルが解き明かすのは、出雲神流の紋様の残された殺人事件の謎と、出雲自体の謎である。



 しかし、この作品の大きなモチーフともなっている 「出雲神流」 が、この出雲の出自にあまり関係していないのは残念だ。この流派については、鳥取県の大山地方に伝わっていたことくらいで、大和出雲との関係は全く述べられていない。作者は、最近は、QEDシリーズの登場人物で忍者の子孫という鴨志田翔一の弟である鴨志田甲斐を主人公とした「カンナ」シリーズに力を入れているようなので、その橋渡しのような役割で、忍者の流派を登場させたのだろうか。実はこの作品に、翔一の実家である出加茂神社を訪ねるシーンがあるのだが、これを出加茂神社側から見ているシーンが「カンナ 奥州の覇者」にもちゃんと登場しているのだ。

 ちょっと気になるのは、タタルとこのシリーズのヒロイン棚旗奈々の仲の進展具合だが、二人ともアラサー世代になっているのに、これまでは大きな変化はなかったようだ。しかし、今回は、最後に奈々がタタルと腕を組んだりして、積極的な行動をしており、収まるところに収まるかなという予感を感じさせる。

 だが、この巻には、 「QED ~flumen~ 出雲大遷宮」 というおまけのような話が付いており、タタルは小松崎と9年後に出雲を訪ねている。ここでは、小松崎は、結婚していたが、タタルと奈々の話は一切ない。もうアラフォー世代になっているのに、あれからどうなったのだろう。次が最終巻だという噂もあったが、次巻でそのあたりも明らかになるのだろうか。

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Last updated  December 30, 2009 08:16:47 AM
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