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こんばんは。 昨日、JR北海道から、自社線の運賃・料金の値上げを,本年10月1日から行うことが発表されました。https://www.hokkaido-np.co.jp/article/304029?rct=n_jrhokkaidohttps://www.hokkaido-np.co.jp/article/304016?rct=n_jrhokkaidohttps://www.hokkaido-np.co.jp/article/304011?rct=n_jrhokkaidohttps://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190510_KO_Revision.pdfhttps://www.jrhokkaido.co.jp/CM/Info/press/pdf/20190510_KO_Revision2.pdf 同じく10月から税率が上がる消費税転嫁分も含めて、普通旅客運賃が平均15.7%、定期旅客運賃が平均22.4%上昇することとなります。なお、特急料金等の料金は、消費税転嫁分のみの上昇にとどめることとなります。 JR北海道の値上げは、昨年7月に国土交通省から出された監督命令「JR北海道の経営改善について」の中で、国からの2年間の支援の代償として会社に対して求められた「JR北海道の経営改善に向けた取組」中に記載された項目「札幌市圏内における非鉄道部門も含めた収益の最大化」に基づくものと考えられます。 「監督命令」の中では、(札幌圏を中心に)運賃料金を値上げせよとは書かれていませんが、この監督命令を忠実に履行しようと考えた結果として、通勤、通学客の多い札幌圏から収益を上げる、すなわち比較的短距離区間の値上げ率を高くしたわけです。又、同じく「JR北海道の経営改善に向けた取組」中の「新千歳空港アクセスの競争力の一層の強化」という項目を忠実に履行しようとした結果として、新千歳空港アクセス線内の加算運賃の値下げ、このことによる札幌~新千歳空港間の値上げ額を低く抑えることにつながったと考えられます。 一方、JR北海道は、今回の値上げによる増収を年間40億円と見積もっています。これは、値上げによる客離れがないと仮定した場合の増収予想66億円から、26億円分の客離れが発生するとの見込みの下、結果として40億円の増収となると試算しています。https://mainichi.jp/articles/20190513/k00/00m/040/018000c 一般的に、鉄道などの公共料金の値上げには、利用者側からは抵抗感があります。特に鉄道に関しては、かつての国鉄が連続して値上げを行った時期があり、国民から大きな批判を受けました。その時の批判が国鉄改革、JRの発足へと向かわせた側面もあります。 JR北海道は、今回の値上げに関する説明の中で、むしろ今までが低く維持されてきたと説明しています。JR発足後、国鉄時代の全国一律の考え方を引き継いだJRの運賃体系は、年を追うごとに大きく変わり、会社ごとの運賃の差が大きくなっています。国鉄改革の際、国が国民にアピールした「(分割民営化により)運賃は高くなりません」という「公約」は、既に破られています。(全国一律運賃が良いのか、という議論は、別の機会にしたいと思います。) 今回の、JR北海道の値上げに関して気になるのは、「国が言ったからやる」「国の言うとおりにやる」と捉えられる点です。 旅客の多い札幌圏をターゲットとした近距離区間の値上げ率を高くしたり、新千歳空港アクセスの値上げ率を抑えたりといった工夫が、JRの自助努力としての工夫というよりも、国の言うことを守る、そのことを第一に考えているのではないかと。 もちろん、業務改善命令の履行が、国からの支援の条件であるので、国の言うことを守らなければ、というのもわかります。しかし、経営再建の当事者である企業の独自の取り組み、経営再建にかける意気込みというものが、見えてきません。そして、お金を払う利用者に向き合う姿勢、これが感じられないのです。 例えば、値上げを説明する記者会見で、「値上げにより26億円の減収を見込んでおります。ですが私たちは、この額を1円でも減らすよう、新しい鉄道の価値を創造し、お客様に乗り続けていただく体制を作りたい。そのためにも、関係者の皆様のご協力を引き続きお願いいたします。」こう発言すれば、JR北海道に対する心証が、少しでも変わるのではないでしょうか。 もう一点、今回の値上げは、札幌圏だけが値上げされたわけではなく、他の地域も同様に値上げされます。札幌圏からより多くの収益を上げる意図があるとしても、このことが報道等で強調されるあまり、「(札幌圏に住む)俺たちの出費が田舎の赤字路線に回されるのは怪しからん」という、ゆがんだ世論が形成されることを危惧します。 都市と地方は相互に依存しながら機能しています。交通であれば、広域的なネットワークが形成されてこそ、人やモノの流れが円滑になり、それぞれの地域に恩恵がもたらされます。地域間の交流により、お互いが利益を受けていることを目に見える形で示していくとともに、私が以前から申し上げてきました「道民鉄道」という意識の形成が、今まで以上に必要となっています。 今回の運賃値上げは、収益増の効果としては、あまり大きくはありません。一方で「鉄道離れ」の不安も拭いきれません。しかし、お金を払う利用者が痛みを背負うことで、利用者自身あるいは道民が、当事者意識を持って共に考え行動する方向への、転換を図るチャンスともいえます。
2019/05/25
こんばんは。更新が止まってしまい、申し訳ありません。 忙しい年度末、年度初めを超えて、この10連休でようやく一息つけた状態です。 もっとも、連休は連休で、その時しかできない用事をこなすので目いっぱいで、「ぼうっとしてる」暇はありません。 チコちゃんに叱られたい(笑) 個人の余計な話はこの位にして、まずはこの話から。 私もこのブログで、鉄道を中心として地域交通全般を視野に入れた話題を提供し、拙いながらも考えを述べてまいりました。 以前、このブログでも何度かご紹介しましたが、ヤフーの個人ニュースのコーナーに、鳥塚亮さんが継続して投稿されています。 鳥塚亮の乗りたくなる鉄道、行きたくなる田舎。https://news.yahoo.co.jp/byline/torizukaakira/ 鳥塚さんは、第三セクターにより経営されている、いすみ鉄道の元社長であり、現在は、ローカル線再生のシンクタンク的なNPO法人を運営されています。 ご存知の方も多いと思いますが、鳥塚さんは筋金入りの鉄道ファンであり、いすみ鉄道の社長公募に応募して社長になられた方です。一方で、元は航空会社の運行管理に従事されていた経歴もお持ちです。 私は、地域交通の再生に関して鳥塚さんが発信される主張の多くについて、共感しているところです。それは、地方交通再生を本気で考えたときに、やってはいけないこととやらなくてはいけないことを、わかりやすく実行しやすい形で示しているからだと思います。今まで各地で試みられてきて、同じように失敗していることはもうやらない。ちょっと発想を変えて、失敗を恐れず新しい試みを進めてみよう。そのように考えておられるからだと思います。 最近のヤフーへの鳥塚さんの寄稿から、何点かピックアップしてみましょう。 まず、交通に関心がある方だけでなく、遠距離に出かける機会の多い方すべてに読んでいただきたいのが、この記事です。 新幹線の壁 本当に超えなければならないのは「4時間の壁」でなくて「1万円の壁」という現実。https://news.yahoo.co.jp/byline/torizukaakira/20190308-00117419/ 「4時間の壁」とは、交通手段(1次交通)を利用して目的地まで到達する時間が、4時間を切れば新幹線、4時間を超えれば航空機を選択する客が増える。もっと言ってしまえば、4時間を超える区間の新幹線には、客は来ないと。これは、東海道・山陽新幹線における東京~広島、東京~博多の航空機とのシェアのデータ比較で、よく語られています。 この「4時間の壁」の議論が先走りし過ぎて、特に東北・北海道新幹線においては、奇妙な状況を生み出しています。平成31年3月のダイヤ改正で、東京~新函館北斗間所要時間4時間を切る列車を、半ば無理やり設定しています。(実際に4時間切りの列車は上り下り合わせて3本、それもたった2分だけ短い、3時間58分です。)さらには新幹線の所要時間短縮のため、足かせと言われている青函トンネル内の貨物列車の運行を止めて、貨物は船舶による輸送に転換する検討を始めたというニュースも、入ってきています。https://www.hokkaido-np.co.jp/article/282410 「4時間の壁」が、さも真理のように語られている現状に対し、鳥塚さんはこう言います。 「4時間の壁」はあるかもしれない。しかしそれ以外に超えなければならない「壁」があるのではと。 東京~青森間の交通手段(バス、LCC航空機、新幹線)を比較し、新幹線は、単純な3者比較において、早くもなければ安くもない。乗って楽しい交通手段でもない。ではどうするのか。特に若者は、旅行の比較サイトで、どこがどの程度の値段で行けるか熟知している。LCCが台頭する現状では、価格に魅力がないと選択されない。よって超えるべき壁は、「4時間」ではなく「1万円」ではないかと。 確かに、季節を限定せず、LCCの割安きっぷや、高速バスの割安キップを利用すれば、日本全国片道1万円を切ることは、最早夢ではありません。、例えば観光客を前提として、お客様にその土地を選んで来ていただくには、その場所の魅力を高め、発信していくことは当然ですが、「安さ」も重要な要素です。以前もこのブログでご紹介しましたが、かつて自分も呆れるほど何度も東北を旅していたのは、JRで安いフリーきっぷが出ていたことも、大きく影響しています。 JR各社は、価格競争に安易に参入しないという姿勢ですが、そのような「殿様商法」は、最早通用しません。一方、コストに見合った価格設定についても、距離が延びればコストがかかり価格は高くなるとしても、繁忙期、閑散期の乗車率との関わりの中で、必ずしも移動距離と価格の上昇をシンクロさせなくてもいいのでは、という考えも成り立ちます。 JRも、東日本や北海道は「えきねっとトクだ値」で価格競争に参入していますが、まだまだでしょう。自由化に伴う厳しい競争を乗り越えてきた、航空関係者ならではの発想だと思います。 次に、この記事を紹介します。公共交通における需要の扱い方について、極めて示唆に富む内容だと思います。 列車本数が少ないと本当に不便なのか? 考え方を変えてみると・・・ https://news.yahoo.co.jp/byline/torizukaakira/20190414-00122309/ ここでは、かつて国鉄末期時代に1日3本しか列車が走らないローカル線として「有名」だった、福島県を走っていた国鉄日中線(「日中」走らない日中線として有名でした…)を事例に挙げて、こう問いかけます。(引用)「では日中線が1日3本しかなくて、利用者が減って廃止されたからと言って、本当に1日3本だと不便なのでしょうか。」 よく見てみれば、羽田空港から地方空港へ飛んでいく航空路線は、1日数本単位の運行です。鉄道よりも撤退しやすい航空路線で本数が維持されているということは、1日数本でも需要があるということ。その需要を維持しているのは、中心地から空港までの「二次交通」がきちんとデザインされているためで、一貫した交通体系が構築されている。さらに、ある程度事前の計画性が求められる交通需要であれば、利用者は交通機関の時刻に合わせて行動してくれると。したがって、無理やり交通のフリークエンシーだけを上げるのではなく、シームレスな交通のデザイン、鉄道と他の交通機関との連携(交通機関を利用するための適切な情報提供も含めて)が必要だと。 もう、ふた昔以上前でしょうか。フリークエンシーが確保されない公共交通は不便だ。したがって、本数が少ない地方のローカル線は衰退する。未だにこの説を唱える人は多く、相次ぐローカル線の廃止がそれを証明しているではないかと主張されます。 しかし、1日数回しか「走らない」路線を利用する人がこんなにいる。また、フリークエンシーの確保が、利便性に必ずしも結び付いていないことも、公共交通を積極的に利用する人たちの中では薄々気が付き始めていることです。とりあえず電車はすぐ来た。でも、降りた次の交通手段が、接続の待ち時間がかかる、乗り換え方法がわかりにくい等々。 公共交通をいかに便利にして、お客様に乗っていただくか。この視点から発想し、現場で考え抜いてきた鳥塚さんの発言は、説得力があります。 冒頭でも申し上げましたが、今までやってきたことがうまくいかないのであれば、ちょっと発想を変えてやってみる。「国鉄改革」と言われ、民営化前後は大きく体質を変えられるチャンスがあったJR各社も、結局、国鉄時代の借金の切り離しと、本州会社のドル箱路線の確保によって「国鉄改革は成功」と捉えてしまい、本当に国民が国鉄改革に期待していた、お役所的な体質からの脱却はできませんでした。 このJRの体質的な部分についても、鳥塚さんは発言されています。https://news.yahoo.co.jp/byline/torizukaakira/20190410-00121829/https://news.yahoo.co.jp/byline/torizukaakira/20190316-00117746/ 特定の人を持ち上げる意図はありませんが、自分自身がずっと持っていた、地域鉄道再生、あるいは公共交通活性化に関する「もやもや」感に対し、鳥塚さんの指摘と行動が、ひとつの答えとなっていると捉えています。 あとは、各地の事例にどのように考え方を落とし込むか。そして関係する個人個人が、主体的に考え行動していくかが、問われてくると思います。
2019/05/15
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