2010/06/19
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カテゴリ: ガンダム


-機動戦士ガンダムMimesis(ミメシス)ーガンダムミュー-
序章35




巨大な水槽が備え付けられていた
男は椅子に座り水槽を眺めていたが、
ナイアが部屋に入ってきた事が気配でわかったのだろう 
正面を向いて話しかけた 

「そこへ座りたまえ」

そう言って脇にある椅子を指差した

「はい失礼します」

ナイアが座ると話だした

「君は、モビルスーツの損傷が激しいようなのでね
 このコロニーでの自身のあり方についてどう思っているのかな?」

「申し訳ありません」

「君は向いていると思うかね?」

「私は元々モビルスーツよりも戦闘機の方が専門でしたので・・・」

「そうか」

「はい、しかし今後、今以上に、
 モビルスーツの操縦の訓練に精進したいと思っています」

「ふむ・・・今以上に・・・か・・・
 これは、私の個人的な意見なのだがね 
 もし、君が、ここでの訓練についていけそうにないのならば、
 別の部署をお願いしたいと思ったんだがね・・・」

「別の部署?」

「この領域には、もう一つイナンナという
 コロニーがあるのは君も知っているだろう?」

「はい」

「そこでの研究をぜひとも手伝ってもらいたいのだがね」

「研究ですか?」

「君が今ここで返事を出すのなら
 この場で、そっちの入出許可とコードを交付し
 今すぐにでも行ける状態にするのだが・・・どうかね?」

ナイアは考えた、
ここで働き出して暇を見つけては一年間コロニー内部を探索したが、
自分の探している友人は見つからなかった
もし、今の状況のように、このコロニーではない場所に
移動させられていたら・・・

「どうしたかね?まあ、突然の話だ・・・
 考えといてくれたまえ」

「いえ・・・行きます、
 私のお役に立てる事があるのならぜひとも」

「了解してくれるかな」

「はい」


「そうか・・・それでは、これがコードと認証許可になる
 チップの使い方は、ここと同じだから解っているね?」

「はい」

「シャトルの準備はすぐに出来そうだから、
 できるだけ早く用意を済ませて2番デッキに向かってくれ」

「解りました」

「ああ、そのタブレットは椅子の上において置いていてくれてかまわんよ」

「はい、それでは失礼します」

そう言ってナイアは部屋を出ると、
自室に戻り30分ほどで荷支度をすませ、言われた場所まで向かった
シャトルの搭乗口に待ち構えている案内人に誘導され席に着くと、
天井を見て大きなため息をついた

(コロニーイナンナか・・・ここにテレスが、いればいいのだけれど・・・)

そんな心持ちを抱えたナイアを乗せてシャトルはコロニーイナンナへ飛び立った
イナンナにつくと宇宙港に併設してあるリニアに乗り込み
その終点まで向かった
リニアが駅につき建物の窓に目をやると、
他のコロニーには類を見ない自然に溢れた情景に息をのみ
案内人に話しかけた

「大きな湖ですね」

「湖ではないよ、海だよ」

「海?」

「ああ、そうさ地球には塩分を多く含んだ水が溢れているんだ 
 それをコロニー内部に模したのさ」

「聞いたことはありますが実際には・・・」

「変わっているだろう?
 土で出来ている湖岸の湖と違って岩石を削って作った砂が
 しかれているんだよ
 迎えがまだ来ていないみたいだから、ちょっと、外を歩いてみるかい?」

そう言って駅の改札口の横にある
警備室に荷物を預け外へでた

「へぇ・・・なんか歩きにくいですね」

「そう・・・慣れないとそうだろうね・・・ 
 粒子が細かいから足が沈んでいくんだ」

「何かで固めるとか、もっと粒子の粗い砂利とかじゃ
 駄目だったんですか?」

「うん博士が、どうしても、地球に近い状態で・・・といってね
 他のところでは砂が壁面に入り込んで、
 コロニーを痛める事を懸念してしてやってないんだけど、
 ここの博士は物好きだろう?」

「その物好きな博士って一体、どんな人なんですか?」

「ああ、タムンズ・ドイル氏だよ
 聞いたことはないかい?」

「自分は、そういう事に疎いんで・・・」

「そうか・・・培養研究で有名な人でね・・・ 
 向こう岸から、こっちは、その人の研究施設となっているんだ」

「へぇ・・・」

ナイアは対岸の方へ目を向けた

「コロニーの半分以上が研究施設として使えるなんて
 相当にすごい人なんですね」

「ああ、で、そのすごい人というのが、
 ”海は我々人類をはじめとする生命の起源”
 と、おっしゃって、
 ここに海を作ったというわけなのさ・・・」

「そうなんですか・・・」

にこやかに話をする案内人の後ろをついて
ナイアは、この話に一抹の疑心を覚えた

(なぜ培養研究の、そんな偉い研究者が、
 連邦に隠れて軍事養成している領域にコロニーを作った?
 この案内人、へらへらして話しているが何か知っているな・・・)

「どうしたい?」

「え・・・いや、こんな砂浜に兵士が居るんで・・・」

「ああ密漁が絶えなくてね」

砂浜からから森林に繋がる継ぎ目の部分で
案内人はナイアを呼び止めた

「もう迎えが来てもいいことなんだけどなぁ」

そういって案内人は森林の方を見た

「この森林の中に入るんですか?」

「ああ、森林というより、うっそうとしている
 ジャングルといった方がいいかもしれないね・・・
 猛毒の蛇や蜘蛛が平気で、うじゃうじゃしている
 クラフト機器がないと、とてもじゃないけど研究所まではいけなくてね
 ジープ型のミノフスキー・クラフト機が来るから
 もうちょっと待ってて・・・」

「それも博士の趣味ですか?」

「それ?」

「ええ、毒蛇とか毒蜘蛛とか」

「趣味というより研究材料と言った感じじゃないのかな・・・
 君は、そういう趣味なの?」

「私には、そんな趣味はないですけど、
 自身が毒を持っているって言われます」

「そんなものと違って、そうグロテスクには
 見えないけどねぇ
 ここで、
 そんなを言っていると君自身が研究材料にされちゃうかもしれないぞ?
 はははっ」

「勘弁してください、それは、ちょっと願い下げですよ」

「うん、まあ、飼えない人間って言うのもいるからね」

そんな事をさらりと話す案内人の顔は、
どこか、冷たく笑っているようだった

(なんか、こいつの言葉、引っかかるな)

ナイアは案内人の後姿をいぶかしげに見た

「あっ、来たみたいだ
 また向こうまで荷物を取りに行くのは大変だから
 荷物は後から送ってもらうようことにして
 このまま乗っていこうか」

「いや・・・それは・・・」

「何か大切なものでもあるかい?
 だったら、ここでジープに乗って一旦、
 駅のほうまで、戻らないといけないなぁ」

「いえ・・・そんな大切なものは入ってないんで・・・」

「じゃあ、このまま乗っていこうか」

「はい」

そういってナイアはジープに乗り込んだ



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最終更新日  2010/06/22 02:42:51 AM
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