誤と魔のおまけ

誤と魔のおまけ

2013.11.04
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もちろん、お祓いをするからにはその前に車を購入していた。新車だ。
トヨタのFT-86だ。僕にとり、正直なところ決断だった。

妻は元々目が悪い。酷い近視だ。
最近になって、視野が狭くなってきたようだと約3ヶ月程前。
「あ、そうなんだ」と僕は言った、と思う。僕は、そう言う事を何でもないことのように言う事ができる。
「ドックの眼底検査で、再検査の指示もあったから……眼科で検査してみるわ」
怖いと妻は言った。
目が見えなくなるーーーそれは、多分、僕だったら生きて行けないほどのダメージだろう。
本が読めない。ネットで色々できない。映画も見れない。

緑内障の自覚症状と書いている所もあった。
「これって緑内障ってことじゃないかしら……もう、治らないんじゃ」
「ああ、緑内障は今時、目薬してれば殆ど進行しないから。だから、それだったらかえって早めに詳しい検査をうけて、何がどうだか調べるべきだよね」
妻は納得した。

それから、検査に妻が行った。平日だから、僕はついていく事はできない。いったい、僕になにができるんだろう……。
いつもやっているクダラナイ仕事は、それ以上にロクデモナイ仕事に思えた。何としてでも早期リタイヤをしてなにがしか、自分のために、家族のために時間を使えるようにしないとだめだと真摯に心に刻む。

だから、個人的には、幾ら現金一括で買っても実質的に負債となる車は要らないーーーとかく、買った瞬間に値下がりする新車はとみにーーーそう、本当にルールとしてもっていたわけで。

仕事から帰ると、妻が夕餉の支度をしている。匂いから判断するに、今日はキムチ鍋か。エアコンをガンガン動かして食べる鍋というのも背徳的だが、鍋物はとかく潜在的に須らく旨いものだ。しかも辛くてうまいなど言語道断とも言える……が、数キロ歩いて到着した我が胃は既に準備万端。
「検査、どうだったの?」あ、言っちゃったと思ったが、気になっていたし、いつもの仮面を被っているから実に自然だったと僕はおもう。
「うん……実は……」「え、何かあったの?」「うん……」「何にもなかったんだ!」
妻は何でわかったの?という顔はしなかった。


妻はドライブが趣味で、予てからトヨタの86がカッコイイと言っていた。試乗もしたらしい。
「86買ったげるよ」妻が眼が見えなくなるくらいなら、物件購入が先に伸びても良いと思った。
スポーツカーは、あんまり遅くに手に入れても仕方が無いし。
眼がみえなく成るくらいなら、眼がみえるうちにアレコレすべきだ。

もしかしたら、今日はこうやって日常だとおもっているものが、突然に何だか分らない力で困ったことになることにもなってしまうのかもしれないし。


それが、今日、祈祷した86という車だった。





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最終更新日  2013.11.04 23:55:22
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