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2012年05月14日
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カテゴリ:
先日、イギリスの高級コートメーカー、アクアスキュータム
の経営破綻が報道されました。イギリスでは王室御用達ブラ
ンドですので、大きな話題となる出来事です。また、日本の
レナウンが1990年に買収して、2009年まで親会社で
あったことから日本でも高い知名度を誇ります。

アクアスキュータムが有名なのは、イギリス軍の将校向けに
防水コートを供給したことに由来し、肌理の細かい生地によ
る高い防水性能は、抜群の信頼性によって広く欧州で愛好さ
れています。レナウンが買収したのも、その高い知名度と信

しょう。

しかしアクアスキュータム・ブランドは赤字続き、レナウン
は株式を売却。その後わずか3年足らずで会社更生となりま
した。

繰り返しますが、アクアスキュータムは欧州で高い知名度と
信頼性を獲得しています。私の知人も雨天の日にはアクアス
キュータムのコートだという人が何人もいます。なのに、な
ぜ赤字が続いて経営破たんに追い込まれるのか。

ブランドは、超過収益力と説明されます。つまり、ブランド
力がないメーカと、ブランド力があるメーカを比較すると、
同じ製品サービスであっても高価で売れる、と説明されます。


したが、収益力は超過どころかブランド力の低いメーカより
もさらに割り込んでしまっていたようです。

アクアスキュータム・ブランドはM&Aの対象になってきま
したが、もし売りに出ているブランドが魅力的(=将来儲かり
そう)ならば、現在の株価よりも高く評価されて買収されるの


このプレミアム分は、買収企業のバランスシートに「のれん」
として計上され、減価償却されます。

しかし買収した事業が赤字続きの場合、生み出される利益で
減価償却分を埋めることができず、不良資産を購入したこと
になってしまいます。アクアスキュータムは、残念ですが、
この例でしょう。

一方、昨今マーケティングを広告宣伝と考える方面で「ブラ
ンディング」という言葉が流行しています。個人レベルで言
えば、自分自身をブランディングすると、仕事が上手くいく
というようです。

では、ある人がブランディングすると、ブランディングする
前に比べて超過収益力が生まれるのでしょうか。条件はあく
まで同一人物のブランディング前とブランディング後です。

同じ人物なら収益力は単一ですから、ブランディングによっ
て他の人よりも収益力が超過するというのは説明がつきにく
い気がします。もし収益力が同じならブランディングによる
効果というのは、単に広告宣伝を拡大したということに他な
りません。

ブランドというのは、人に色眼鏡を掛けさせる効果がありま
す。それがブランド好きな人を生み出し、ブランドブームを
生み出し、今や個人のブランディングなる現象まで生み出し
ています。

しかし、ブランドに期待と信頼を掛けて取引をした場合、そ
の後の「のれん」を償却できるかどうか、時間軸をもって評
価がなされることを忘れてはいけないでしょう。

アクアスキュータムの例に当てはめると、アクアスキュータ
ムの防水コートは、肌理の細かい生地による強い防水性能が
ブランドの本質でした。

1990年代にプラーダのナイロン製バッグが大流行したよ
うに、90年代以降のファッションはストリート化が進み、
生地はより軽いものが喜ばれるようになります。

黒いナイロン製バックが世界中で大流行する裏側で、革のバッ
グを販売していた他ブランドに比べて、プラーダはより軽い
製品輸送コストによって高い収益力を得ていたことが分かり
ます。

アクアスキュータムの肌理の細かい生地は、ナイロンだった
のか革だったのか。アクアスキュータムが世界中で重い防水
コートを販売するなかで、市場のニーズは軽い生地に移って
しまっていました。

ブランドは、製品サービスやその供給が差別化されて生まれ
ます。しかし、同時にこの差別化は時代に順行して変化する
ことが必要です。

確立したからこそブランドですが、ブランドとは両刃の剣の
側面を持ち合わせており、それ故に評価が難しいのです。

ブランドには表と裏があるというお話でした。

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Last updated  2013年05月22日 12時18分56秒
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