夏の終わりの京都の残暑は厳しい。三条大橋から鴨川の河原には、
夕刻ともなると涼を求める人達で賑って来る。京都の先斗町鴨川の
有名な鱧料理屋の川床で、青田さんと恋する乙女「香奈チャン?」僕と3人で、
高級鱧料理の会席にを食べながら!僕は内心「この女、物凄いきつい化粧して
化粧臭くてたまらん、スタイルも悪いし狐顔して、何処に惚れたのかな青田さん
、それにごつい年や!ひょっとすると年増好みかな!」
青田さん「ママ、紹介する僕の友達のマモル君、公立の技術系の短大に通っていたんやが、
入学して、すぐに法律の勉強したいので学校辞めるとお父さんに言うたらボコボコに殴られて
家出して一緒の会社で働いている。これから僕と店にも飲みに行くから宜しくたのむわ!」
紹介されながら、僕は、家出した1年前のことを思い出していた。短大の付属高校から短大に
進学して半年がたっていた。高校の校風にもなじめず、好きでもない科目を選択し、父への
反発もあった僕は、全く、勉強にも身が入ら無かった。それに、1年生の時に、つまらない
喧嘩がもとで問題児のレッテルを貼られてからは学校嫌いに拍車がかかり、父と馬があわず
何回と無く家出を繰り返す僕を心配してくれた担任の先生が辛抱強く支えてくれ、かろうじて
卒業させ進学した短大だった。家庭訪問をすると母に「彼は、中学では勉強も抜群にできて
知能指数も相当高い。きっと立ち直りますから諦めないでくださいね!」
先生の言葉が唯一の希望だった母、しかし、父は「お前の教育が悪いからマモルは不良
になった!」と酒を飲みながら愚痴る毎日だった。
僕は決心していた「家を出よう!このままでは母が苦しむだけだ。働いて大学に行こう!」
母に、作らせた沢山の酒の肴を口にしながら機嫌よくコップ酒を傾ける父に「僕、短大辞めて
働いて別の大学に行く、」酔っ払って眼の据わった父は、いきなりお膳をひっくり返して
大きな手で何回も殴った。殴りながら父は、
「おまえは、高校の時から天ぷら学生の不良やった。せっかく付属の短大に入れたのに
やめるっ!苦労して高校出したのに、もう出て行け縁切りや!」 僕は、悔しくって泣きながら
「アンタは、俺の授業料なんか全然出してへん!稼ぎは、酒代と道楽に使って、家も傾い
た小さなボロッチョイ家に住んで、僕は友達にも馬鹿にされっぱなしや、知ってるんか、
不良不良やいうんやったらヤクザにでもなったる!、暴力ばかり振るって、オカーちゃんが寝
ないで内職して学校出したんや!出ていったるわ__ワーンワーン」
母は、小さな身体を震わせ泣きながら「マモル、謝れ口答えしたらアカン!アンタ、堪忍して
やってや!」 父は、持っていた35度の焼酎の入ったコップ酒をぐっと飲み干し、漬物樽の
石を掴んだ。身の危険を感じた僕は「ウワー」と咄嗟に逃げる、「ドスン」と後ろから大きな音
がした。父との長い確執から逃れる瞬間だったが、母にマタマタ心配を掛ける後ろめたさで
胸がはちきれそうだッた。
それから、友達の家、大阪の叔母さん、山科の叔父さん家を転々として、やっと母の口添えで
山科の叔父さん家に働く先と下宿が見つかる迄、居候させてもらうことになる。
それから、叔父さんの紹介で車の会社でアルバイトをすることになり青田さんと出会うこと
になる ______________
~続く第6編へ~青田さんの好きな人の夢と理想
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