ヘンリーの国際関係学

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August 9, 2005
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不法滞在。


日本に居る外国人の相当部分は、「不法」に滞在したり就労したりする者から成り立っている(らしい)。

しかし、彼らに冠された「不法」という言葉は、はたして適当なのだろうか?
実は、この表現を使うことを政府が使うことは、テロ行為ではないか?

…と、ちょっとオーバーな表現で始まった「在日外国人シリーズ」一発目。
久々のマジメなお話に、どうぞお付き合い下さい。



まず、「不法」に滞在あるいは就労する外国人の「不法」性とはどういったものかを見よう。

入管法の規定する「不法」の意味は、以下の3つに大別できる。


(2)超過滞在(オーバーステイ)していること(「不法残留罪」)
(3)資格外活動をしていること(「資格外活動罪」「不法就労助長罪」)


※不法入国:有効な旅券等を所持しないで日本の領域に入る行為
不法上陸:上陸許可の証印を受けずに日本に上陸する行為
不法残留:許された在留期間を超えて滞在を続ける行為
資格外活動:許された在留資格以外の活動に従事する行為



元来“不法”という言葉は、“法に違反している”、すなわち“社会的正義の原則を侵している”という意味をもつ非常に強い言葉である。
言い換えれば、“刑事犯”に用いられるようなイメージを持つ。

しかし、ここで用いられている「不法」とは、被害者が特定される種のものではなく、いわば“形式犯”に過ぎないものである。


それにもかかわらず、外国人は「不法」性を付与され、弱い立場に立たされることになる。

まずは居住権。

日本からの退去強制処置は、生活や就労の場、すなわちすべての拠り所としての居住権を剥奪する。

退去強制を免れている「不法」外国人にも、人権侵害が待っている。
「不法」であるがゆえに、雇用者の未払いなどの暴挙に強く対抗できないのである。

しかも行政機関は、不法就労などの入管法違反を発見した際の通報義務があり、
このことは、外国人労働者が公の機関に被害を申告することをためらわせている。


一般的日本人が「不法外国人=犯罪者」という連想をしてしまい、
いわれの無い差別や、密告につながることは想像に難くない。

「不法」という言葉を使うことで、人間であれば誰にでも保障されるべき人権が剥奪されてしまうのである。

このような方法で、国家が「不法」というラベルを貼り、人権侵害の被害者を作り出すことは、“テロ行為”だと私は感じた。


って、「“テロ行為”ってどういうことやねん」と思われた方も居ると思う。

「テロ」とは、フランス革命のジャコバン派の「大恐怖(テロール)」、すなわち恐怖政治に由来する。
それゆえ「政治テロルとは元来、国家テロル」であり、「国家こそがテロリズムの源泉」なのである。
(『imidas2004』参照)

つまり今回の場合、
「国家という圧倒的な力により行われている『不法』性の付与こそ、“国家テロル”すなわち“テロ”と呼べるものだ」と私は考えたのである。

もちろん、これは過剰な表現ではあるけれど、「不法」だって誇張なんだからお互い様だ。


現在、国連機関では「不法」は差別的であるとして、使用は避けられ、
「Non document」や「Irregular(非正規)」が使われているようである。




言葉のチカラは大きい。

「不法滞在」「不法就労」と聞くと、排除したほうが好いような感覚に駆られる。
しかし、そこで語られる外国人は、意思を持った人間である。
我々と同様に、人生を歩んでいる。生きている。

そういった視点から、この在日外国人をめぐる問題を、私は考えていきたい。

それに先立ち、「不法」という言葉に踊らされないように、第一回に「不法」性についての稚拙な説明をさせて頂いた。


国家がある言葉を好んで使う時、そこに何らかの意図があるのではないか?
例えば「テロとの戦い」を考える上でも必要になるであろう、そういった姿勢を、
「不法」という言葉にも、どうか持ってみて欲しい。





【参考資料】
駒井洋『日本の外国人移民』明石書店、1999年
外国人労働者弁護団・編著『外国人労働者と権利救済』海風書房、1992年



<今日のまとめ>
「不法」滞在や「不法」就労は、刑事犯罪とは異なる

「不法」という言葉によって、人権を保障されない在日外国人が居る

国家の使う言葉に含まれた意図に踊らされない





その2-1 に続く





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Last updated  August 22, 2005 02:05:12 AM
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