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2011年06月30日
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カテゴリ: 小松英星

『週刊 東洋経済』6月11日号「暴走する国策エネルギー 原子力」 

《2億3500万円-。1954年3月、核燃料物質「ウラン235」をもじったとされる、この原子力予算の成立をもって、戦後日本の原子力政策の幕が開いた。

予算案提出の中心になったのが、後の首相である中曽根康弘氏。前年夏に訪米した中曽根氏は、アイゼンハワー米大統領が政策転換して、原子力関連技術を民間企業にも開放する方針だと聞きつけた。冬の国連総会で大統領は「アトムズ・フォー・ピース(原子力の平和利用)」を宣言。「原爆から原発へ」舵を切った。

この転換をまたとない好機ととらえたのが中曽根氏だった。52年のサンフランシスコ講和条約発効により、主権回復を果たした日本だが、経済復興に欠かせない電力の不足は深刻だった。日本に原発を導入できたら、電力不足は解消され、天然資源に乏しい日本も自主エネルギーを確保できるはず、というもくろみだ。

この原子力予算の唐突な策定には、懸念の声も上がった。日本学術会議の幹部は、予算撤回を求めて中曽根氏らの元を三度陳情に訪れている。対して、中曽根氏とともに予算策定を主導した稲葉修衆院議員は、「君らが居眠りをしているから、この札束でほっぺを引っぱたいてやるんだ」と怒鳴りつけたという(中曽根氏の言葉だったという説もある)。

被爆国日本では、原子力への不安は科学者同様、国民にも広く蔓延していた。そうした不安を、夢のような新技術への熱狂へと一変させたのが、メディアの力だった。

読売新聞は54年正月、「ついに太陽をとらえた」と題する、原子力の平和利用をたたえる大型連載を開始。3月にマグロ漁船が米国の水爆実験に巻き込まれる「第五福竜丸事件」が発生し逆風が吹く中でも、「原子力展」を開催するなど推進役の旗頭を務めてきた。同社の正力松太郎社主は、その後衆院議員となり、初代の原子力委員会委員長および科学技術庁長官を務めた。

(中略)

国民的な熱狂を背景に、電力各社が出資した日本原子力発電が発足。原発の事業化が着々と準備された。そして米国の狙いどおり、70年運転開始の関西電力美浜原発1号炉、71年開始の福島第一原発1号炉とも、米GE社が受注。米国からの技術導入方針が固まった。

(中略)

(人形峠ウラン鉱の)採掘が不発に終わったことで、国民レベルでの原子力への熱狂は急速にしぼんでいった。原発立地計画も60年代半ばには難しくなっていく。夢のエネルギーから単なる迷惑施設へと転落した原発。それを、「過疎地対策」の観点から注目した政治家が現れる。時の首相、田中角栄氏だ。

「東京に造れないものをどんどん造る。造ってどんどん東京からカネを送らせるんだ」

世界最大規模の原発となった、自らの地盤、新潟県の柏崎刈羽原発に関し、田中氏はこう言ったという。

50年代から60年代半ばにかけては、福井県や福島県で熱心な原発誘致運動が繰り広げられた。用地買収は県当局が主導し、福井県の美浜原発では特例措置で固定資産税を減額までして誘致にこぎ着けていた。

(中略)

資源エネルギー庁のモデルケースによれば、現在、原発が新設された場合、その地域には運転開始までの10年間で、およそ449億円の交付金が支払われる。事実、原発所在地の青森県東通村では今年度予算の45%、また六ヶ所村でも18%を電源三法交付金で賄っている。全炉停止した中部電力浜岡原発のある静岡県御前崎市も原子力関連歳入が予算の4割を占める。中国電力が原発建設を計画する山口県上関町では、本格着工前からすでに、町財政の2割を交付金に依存している。

(中略)

 電源三法制度は、交付金収入をテコに地域経済基盤を強化することが狙いのはずだが、多くの立地地域では原発依存を強めるだけの結果に終わってしまっている。》

(引用終わり)

長期にわたる自民党の実質的一党独裁体制の下で、同党は様々な「利権屋」を輩出する温床になってきたようです。

その唯一の例外は、石橋湛山氏が同党総裁から首相になったことで、当時私は学生でしたが、大きな期待が同首相に寄せられていた記憶があります。

残念ながら、わずか2ヶ月の在任で、健康上の理由で惜しまれながら退陣されました。

ご存知のような日本のマスメディアの中にあって、しかも経済誌が、ここまでの正論を特集する背景が考えられるでしょうか。

ここで直ちに想起されるのが、石橋湛山氏です。

同氏は、戦前から戦後にかけて東洋経済新報社の主幹・社長をされていた頃、自由主義的な戦争批判、植民地政策批判の論陣を張っておられます。

『週刊 東洋経済』の今回の特集には、湛山の精神が脈々と生きているのを感じます。

この6月11日号は、原発について理解を深めることのできる貴重な情報が満載されているので、1冊手元に置いて決して損はないと思います。






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最終更新日  2011年06月30日 18時14分35秒 コメント(200) | コメントを書く


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