新発想ビジネスヒントフォーラムWEB2.0

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2005年07月01日
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自分に額面どうりで感じられる「代表的日本人」とは、誰だろう。

60年代に知った高橋是清や、原敬には感じるものが多い。だが、偉才
過ぎて背丈が見えないところがある。同じ頃に知った相馬黒光は、その
デカさは凄みがあるぐらいだけれど、女性であるという点で多少は理解
のよすががあるような気がしてしまう。

母親は、南方戦線ブーゲンビルで戦死した伯父から京都の街でカレーを
生まれてはじめてご馳走になったと繰り返し言っていた。そのカレーは
他ならぬ相馬黒光と夫君相馬愛蔵の新宿「中村屋」が起源だろう。
カレーライスを食べる毎に、餓死同然で戦死した伯父のイメージと相馬

この世の謎解きのように繰り返し浮かんでは消える。



そんなのはイヤだ
忘れないで夢を こぼさないで涙
だから君は飛ぶんだどこまでも
そうだ、恐れないでみんなのために
愛と勇気だけがともだちさ
ああアンパンマン
やさしい君は 行けみんなの夢守るため
(アンパンマンのマーチ
作詞:やなせたかし 
作曲:三木たかし 
編曲:大谷和夫)


1875年、明治天皇の侍従、山岡鉄舟は知人の木村安兵衛謹製のあんぱんを
水戸藩下屋敷は花見の席で天皇に献上されるようにはからったという出来事が
あったらしい。ことが決まった。日本を象徴し季節感も表現できる桜の花を、
あんぱんのヘソにと意匠されたものがもっともクラシックなアンパンの姿だと
いう。明治天皇は木村屋のアンパンをいたくお気に召し、以後宮内庁御用達
という事になったらしいのだ。しかし、これも結構巷間に知られていないだけ
で実に偉大な「事件」である。文字どうり「和魂洋才」を体現する、その可能性
を庶民レベルで象徴的に味わう事が始まる。

一方、童顔の愛らしい相馬黒光女史は1892年。トンでもない御嬢さまがいた
もので当時アメリカに一方的に傾斜する宮城女学校の教育方針にたてついてなんと

あった自分にも体感で分かる面があるが、途轍もないパワーだと思うわけだ。
あげく自主退学。両親をもオルグしてフェリス女学校、明治女学校と転戦する。
1997年に愛蔵と結婚して、信州の旧家の内儀に修まるかと思いきや、夫婦
揃って東京へ上京しては学生相手にパン屋を開く。この商売、おそらく旦那の
愛蔵の手腕ではなく、その成功は大いに黒光の技量らしい。


はたまた修道院を追われた某には、牧場で奉職、そのフレッシュミルクを製造
させ、露人からはチョコレート菓子を製造せしめて、中国人からは中華饅頭の
秘伝を開示させる。そして、チベットの僧に邂逅すれば月餅のスキルを授かる。

ほどなくあの有名な英国植民地下のインドから脱したインド独立運動の闘士で
ボース(Rash Behari Bose)を英国政府の追跡や英国より要請を受けた日本政府
の苛斂誅求を被っていた処、玄洋社の巨魁 頭山満の庇護。匿った頭山満の意を
受けて相馬黒光がボースの隠れ家として「中村屋」を提供したのは有名な話。
まさしく本格的インドカレーが日本に根づく、これがその起源という。



考えようによっては、われわれ日本人がカレーライスを食するのは反米、反英
インド反植民地闘争への日本人民の連帯の意思として興ったブームだったのだと
いえなくもない。なるほど、アメリカと戦い、アメリカの戦闘機に殺されかけた
わが母親がカレーライスを作るたびに伯父に供えて感謝をしたのはどこか通底を
している機微があって、不思議はなかったのかもしれない。

※「人は、戦争で死ぬために生まれてはこない」2004年5月5日
↑クリックでジャンプします。



革命家ボース(Rash Behari Bose)は、のちに相馬黒光と愛蔵の娘で長女の俊子
と結婚。この海を越えた侠気は、どうも途轍もなく一途なものと映るのだ。

戦後、自分は大阪の闇市から叩き上げたわが両親を眺めてきた。生きて行くだけでも
精一杯という壮絶な姿。肩越しに目撃してきた体験を踏まえていえば、新宿「中村屋」
こと相馬夫妻の実行したことは、市井の一介の商売人の担える限度を遥かに越えており
もはや「国士」とでも呼ぶほか無い。戦後、いかにも我々は軟弱になったものだ。





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最終更新日  2005年07月03日 01時27分06秒
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