神経内科医の徒然診療日記・コロナの時代

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May 21, 2013
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米国の伝説的ボクサー、モハメド・アリ氏(71歳)は最も困難な敵――パーキンソン病と闘い続けている。娘のメイメイさんは、「父は試合に臨むとき『相手を5ラウンドでKOしてやる』というような人。その性格は、疾患との向き合い方にも現れている」と語っている。アリ氏は4回の結婚で娘6人、息子2人をもうけており、メイメイさんは第一子。

 疾患の最初の徴候が現れたのは1984年に診断を受ける数年前、最後から2番目の試合のときだったと、メイメイさんは振り返る。嗅覚の低下、便秘などがみられたという。

多くの患者がこのような非運動系の徴候を示すが、当時はそれがパーキンソン病の初期症状だとはわからなかった。当初は症状が進行することはないといわれていたが、実際は進行していった。アリ氏は少しずつ症状への対処法を学んでいき、トレーニングの数時間前には薬を飲み、運動障害を専門とする神経科医を受診していたという。

 米国立神経疾患・脳卒中研究所(NINDS)によると、パーキンソン病はドパミンを産生する脳細胞が失われることによって生じる運動系障害で、米国では約50万人が罹患している。主な症状として手、腕、脚、顎、顔面の振戦、四肢や胴体の筋固縮(こしゅく)、動作緩慢、平衡障害や協調運動障害がみられ、進行すると歩行や会話、簡単な作業も困難になることがある。

メイメイさんは、疾患についてできる限りのことを知ることが大切だと助言している。離婚経験があり子どものいないメイメイさんは、2002年から非営利団体Parkinson Alliance(パーキンソン同盟)のスポークスパーソンとして活動するほか、人助けのためのさまざまな活動に献身的に取り組んでいる。

 米パーキンソン病財団(PDF)のJames Beck氏によると、パーキンソン病にはまだ不明な点が多いという。現在利用できる薬剤は症状を軽減させるが、根本的な治療にはならない。

いわゆる「A2A受容体拮抗薬」という薬剤は、運動障害を軽減する可能性が認められており、現在、最終段階の臨床試験である。そのほか、遺伝子療法や幹細胞の利用、細胞蛋白の変異、疾患の発症における免疫系の役割などが着目されている。前進は続いており、希望はあるが、過大な期待はできないとBeck氏は述べている。

 アリ氏は現在、パーキンソン病の末期で24時間介護を受けているが、人柄は変わらず、悲観的な様子はみられないという。相手の目を見てうなずき、少し話せることもある。「アリゾナ州、ケンタッキー州、ミシガン州にある自宅間を移動し、野球を見に行くのも好き。生活を楽しんでいる」と、メイメイさん。自身も父親と過ごす時間を楽しんでいるという。

コメント;


ここ1-2年でドパミンアゴニストの改良がなされ、長時間作用のものが開発され、オフ時間が少なくなりました。また貼付剤も開発されて使用できることで、夜間の運動症状の改善など効果が見られています。

A2A受容体拮抗薬などドパミンアゴニストとは異なる作用の薬も開発されました。この薬はパーキンソン病の進行期のオフを短縮するようですが、レスキュー注射薬を開発した製薬会社の発売でもあり、5月30日に発売予定というが、どのような患者さんに使用されるかはこれからの経験が大切かと思われます。

昨年は認知症関連の薬の発売で、多忙だったように思いますが、今年はパーキンソン病治療薬の発売に関連して、研究会などが多いように思います。





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Last updated  May 21, 2013 04:34:23 PM
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DUGAとも @ Re:頸性めまいその2(頸部自律神経系)(06/24) 私もこの目眩かもしれません!効果的なス…
takamatsu0224 @ Re[1]:ギラン・バレーとジカ、やはり関連(03/08) 大黒町さん >色々新しい病気が出てきて不…
大黒町 @ Re:ギラン・バレーとジカ、やはり関連(03/08) 色々新しい病気が出てきて不安になります…
大黒町 @ Re:睡眠不足でたまる脳内物質が記憶力減退の正体だった。(01/25) これは役に立ちますね。 引用させてくださ…
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