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2006.04.04
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カテゴリ: ★★★★☆な本
残虐記





<感想> ★★★★☆

『グロテスク』と『残虐記』どちらも桐野夏生さんの作品ですが、ちょっ

と手に取るのを躊躇っていました。 『グロテスク』で取り上げた事件、

本書のモチーフになった事件いずれもその特異性から、ワイドショー的

な報道をされた事件です。 実際の事件となれば、そこには被害者、加

害者を含めた関係者がいるわけで、そちらの立場に立った場合はどうか

なぁ~というのがその原因です。

さて、本書は誘拐事件そのものより、その後の被害者の心理を緻密に描い



件の設定も異なっているし、その点では事件をモチーフにしたというより

事件に触発して書かれたという見方が正しいかもしれません。 

仮説を提示しながら読者を誘導していくという『柔らかな頬』で使われた

手法は、描き方次第で消化不良を起こしたりしますが、圧倒的な筆力がそ

れを優れた作品に昇華させています。 

優れた作品を読むと言うのは読者にとって最上の喜びであることは言うま

でもありませんが、私も含めた大半の読者が手に取るのを躊躇したと思わ

れるこの作品を書いた著者の意図はどこにあるのか?というのが、終始あ

たまの片隅から離れませんでした。 しかし読み終えて本を閉じる瞬間、

手に取るのを躊躇するほどだったこの作品のページを次から次へとめくっ

てしまうエネルギーは自分のどの部分から噴出していたのか・・・と考え



者も感じていたとするなら著者はこの作品に最大限の皮肉をこめたのかも

しれません。






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最終更新日  2006.04.04 23:06:37
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