宇宙は本の箱

     宇宙は本の箱

あの頃(1995年暮れ)思ったこと


それが食べられればそれでいいじゃないか、
では、十年後に・・・と、
主人が言ってくれた講演会の夜の事を思い出す時がある。

先生の温かでどこまでも清涼な世界が大きく大きく
私の耳元に広がって行った日にも先生に問うた。
それは自分の心に問えばよいことだったが、
それでも問うた。
「あなたと私の感応である」
先生は言われた。

今日、あの子は、免許をとれば良かったのにと言ったけれど、
私は先生にそれだけは間違いだと申し上げたのだから、
そういう事はある筈もない。
だが、そうだ、とれば良かったと思う日もある。
先生が願い、私が願う事の為に、
先生に最後のお手紙を書こうと思う日もある。

なにが私をためらわせる?
それは思いがたらないからだ・・と、
先生はきっと、そう、言われるだろう。

提言者はこの世にはいくらでもいる。
哲学者はあまたいる。
けれど先生のような哲人は滅多にはおられない。
最後のお願いの手紙の書ける日まで
先生は待っていて下さるのだと、
そんな気がいつもしているのだけど・・・。


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