宇宙は本の箱

     宇宙は本の箱

心を尽くして 心より入る


ははぁ、有相の三密、無相の三密 と、先生が言われていたことだったのだと、
今更ながらにそんなことを思っている自分に少し呆れてうすら笑いをしていた。
それがあそこが醸し出す雰囲気なのだった。
皆、生徒でいることが嬉しかった。
あそこにはセラピストがいっぱいいる。
三級から三段まであるが、県から貰うきちんとした認定書だ。その認定書より先生の了承事項はさらにきつく、しかしきつくなくとも、あそこの者は誰も容易にその認定書を活用しようとはしない。
あそこでセラピストの資格を取るには何年も何年も通わなければならない。またお金もその間には相当かかる。それでも十年以上もたってから青森で開業している人を一人知っているきりで、私の知る限り、その認定書を大いに活用するために開業した者はいず、教師になったものもいない。ただ縁あった者を治すにとどまっている。
つまり、あそこにはエラピストの資格が欲しいからと通ってきていた者は一人もいず、通うから勧められて否応なく取ったというものばかりなのだ。そして資格取得もただの儀式でしかなく、あそこの人らが進んでその資格を使おうとしないのは、ひとえに心の問題なのだ。
先生のような心になりきれていない。
その心に到達した時、指先も体全体も、ただ今日はじめてあった人の為にも何十年来の知己と同じように宇宙の法則に繋がることが出来りる、自然と。
弘法様の言われる人としての最も尊い姿がそこにある。
そこまではただただ勉強。
最初に資格ありきとか、資格を取るために通うもの達、人に教える立場に立とうとする者達とはその大本の人間性にもう雲泥の差がある。



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