遺留分は放棄できるのか?(1)
私の父は、唯一の財産である店舗兼自宅の土地・建物を、店を継いでいる弟に相続させたいので、私に、遺留分の放棄をして欲しいと言ってきました。
私は、父の気持ちもわかりますし、独立するときの資金を出してもらったりもしていることから、 放棄してもよいと思うのですが、どのようにすればよいのでしょうか。
また、いったん遺留分の放棄をしてしまうと、これを取り消すことはできないのでしょうか。
それから、私には、子供が一人いるのですが、遺留分を放棄した後、父よりも先に私が死んだ場合は、どうなるのでしょうか。
遺留分という用語。もう幾度となく出てきていますが、
遺産のうち、相続人のために保留される一定の割合 のことです。
遺留分は、
被相続人の配偶者・子や孫などの直系卑属・祖父母などの直系尊属に認められ、
兄弟姉妹には認められていません(民1028条)。
被相続人が、遺留分に反する遺言をしても、その遺言は、遺留分を侵害する限度で減殺されることになります(民964条・1013条)。
このように、相続が開始されると、一定範囲の相続人は被相続人の財産の一定割合を確保できる地位を持つことになり、これを 遺留分権 といいますが、
相続開始後は、遺留分を侵害する遺贈・贈与等に対する具体的な遺留分減殺請求権として行使されることとなります。
では、 この遺留分は放棄することはできるのでしょうか?
相続開始後と相続開始前とに分けて考えて見ましょう。
相続開始 後 の遺留分の放棄 について、
民法に明文の規定がありませんが、個々の遺留分請求権は、個人的財産権であるから、これを放棄することは自由であり認められます。
尤も、遺留分権利者が、相続開始後、遺留分の放棄という積極的な行為をしなくても、
遺留分権利者が、遺留分減殺請求権を行使しなければ、
遺留分を侵害する遺贈・贈与等の効力が否定されませんので、遺留分を放棄したのと同じことになります。
次に、 相続開始 前 の遺留分の放棄 について、
遺留分権が個人的な財産であるとすれば、
相続開始後と同様に、自由に処分できるはずですが、
無制限に許すことになれば、被相続人の威力によって相続人に放棄を強要することも考えられるところから、
民法は、 家庭裁判所の後見的役割に期待して、その許可を効力要件として、相続開始前の遺留分の放棄を認めています (民1043条1項)。
遺留分の放棄と相続の放棄は違います。
ところで、遺留分の放棄とよく混同されるものに 相続の放棄 があります。
相続の放棄は、相続開始 後 に具体的に発生した相続を相続人が放棄をし、被相続人の遺産を承継しないとするものです。
相続の放棄をするには、相続の開始を知った時から3か月以内に(民915条)、被相続人の住所地または相続開始地を管轄する家庭裁判所に(家審規99条)、相続放棄の申述をしなければなりません(民938条)。
なお、 相続開始前に相続放棄をすることはできません。
尚、蛇足ですが、相続開始前に遺留分放棄を認めることについて、相続開始前に相続放棄が許されないこととの均衡において、疑問ありとする説もあります。
・・・・・・・・・・・・・・・・・次号へ続く
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