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2024年9月刊ビーズログ文庫著者:杓子ねこさん社交界デビューの準備を進めるマルグリット。ある日、亡き母の実家から財政援助をお願いされるが何か様子がおかしい。調べるうち因縁の妹イサベラとも再会することに!しかも招待されたお茶会では嫌がらせまで!?そんなマルグリットを慰めようとルシアンはいつも以上の過保護っぷりで…「君と、本当の夫婦になりたい」二人の関係も進展がー!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 マルグリット=ド・ブロイ公爵夫人。父の失脚によりクラベル伯爵位を継いだ。 政略結婚の夫・ルシアンに溺愛されている。 ルシアン=ド・ブロイ公爵家当主でマルグリットの夫 イサベラ=マルグリットの妹。今は郊外の修道院で暮らしている。諸事情で出来ていなかった社交界デビューの準備を進めつつ、夫・ルシアンとの夫婦関係も順調なマルグリット。友人であるシャロンとの共同経営のブランド・シャロラスの経営も軌道に乗り充実した日々を送っていた。そんなある日のこと、マルグリットの元に亡き母シンシアの実家・センツベリ男爵家の次男ミシェルが訪れ財政援助を頼まれた。従兄弟からの突然の頼みに少なからず驚いたが、母が亡くなって以来疎遠になっていたマルグリットを頼ってくるくらいだから相当追い詰められているのだろう。一応、どうして財政難になったのか理由を尋ねるとド・ブロイとの和解により、低迷気味だったクラベル領が発展、加えてカディナ王国との交易により周辺領にも人が流れ急激に人口が増えたのだと言う。労働力が増えるのは良いが、問題は食糧難や治安の悪化だ。だが、こうなることは既に推測されていたので、王家からもそれぞれ備えておくよう通達されていたはずとルシアンが指摘すれば、センツベリ領は高をくくっていたらしい。食料の備蓄も無ければ治安維持のための兵士を雇う金もないというのだから呆れたものだ。とはいえ、母の実家の危機を捨て置くことはできない。一先ず、クラベルから食糧支援することを約束し、資金援助についてはまた話し合うと告げれば、ミシェルは平身低頭して帰って行った。しかし、翌日になってミシェルの兄・レナルドが屋敷を訪れ、援助は必要ないと断ってきた。隣の領地を治めるフォンベルト子爵から援助してくれることになったからと。でも、フォンベルト家も事業はしているが他所の窮状を助けられるほど羽振りは良くなかったはず。ルシアン共々、マルグリットもこれは何か裏があるのではと考えた。丁度、先日再会した祖母から屋敷に招待もされている。シンシアのことで話したいこともあるというのでルシアンと二人で応じることにした。後日訪れたセンツベリ邸にて祖母・ロウネから、孫たちの非礼を詫びられた後、シンシアについて聞かされた。母は元々外国人で船の事故によってこの国に流れ着いた。母はショックで記憶を失くしその時に父・モーリスと出会った。二人は恋仲になり結婚を望んだが伯爵家の跡取りの妻が身元不明の女なんてと親族が猛反対。そこで昔から交流のあったセンツベリ男爵に頼み込み、シンシアを養女にしてもらったのだそうだ。後に母には双子の妹がいることが判りその妹はド・ブロイの海岸で救助されていた。妹の方は姉は死んだものと諦め迎えの者と一緒に帰国しているとのこと。母の数奇な運命には驚いたけれど、それでも父とは仲睦まじく暮らしていた。記憶がなくともかなり優秀で実はモーリスではなくクラベル領を切り盛りしていたのもシンシアだったらしい。父はやがて、妻の優秀さに内心で嫉妬するようになり、流行り病で彼女が亡くなると任せっぱなしだった仕事が全て自分に降りかかって頭を抱えた。自分ではシンシアの様には上手く領地を回せない。思えば父の性格が変わったのもこの頃だったように思う。ロウネもシンシアが亡くなったと知ったのは大分後になってからで、とにかく残された孫娘たちのことを心配していたそうだ。そしてもう一つ気になっていた子爵家からの援助話は本当に信用できるのかということ。母とは血が繋がっていないとはいえ、それでも彼らは大事な親戚だ。レナルドを問い詰めてみれば大丈夫だの一点張り。後にミシェルが契約書の写しを持って来てくれて確認すれば別段怪しい面は見られない。担保が土地の借用とセンツベリ湖の漁獲権とは、随分気前がいい。採算が散れるんだろうか。しかし、どこか引っ掛かる。おそらく、子爵家に利となるものがセンツベリ領にあるのかもしれない。そういえば、子供時代に母がよく人魚姫の童話を読んでくれて、センツベリには「人魚の涙」があるのよと言っていたっけ。もしや、子爵の狙いは「人魚の涙」?だが、それが何なのか判らない。その後、ルシアンから子爵について調査結果を聞かされた。子爵のバックにはデインズ公爵が付いている事、しかもデインズはド・ブロイ家を成り上がりと毛嫌いしていると言う。マルグリットではなく、どうやらルシアンに一泡吹かせたくて企んだことと判り、心底呆れた。そう言えばデインズ公爵夫人からお茶会に招待されていたはず。敵情視察ではないけれど、何か聞き出せるかもしれない。充分注意しながら訪れた公爵邸では待ってましたと言わんばかりに、マルグリットを攻撃しだして・・・。あとがきにて一区切りと作者さんが仰ってた通り、この3巻で色々カタがついている印象でした。「人魚の涙」とは一体?首を捻るマルグリット達でしたが、終盤その正体が判明。名前的にきっとそうだろうなと予想はしてたんですが、やっぱり真珠のことでした。センツベリ湖で良く採れる貝にはたまに真珠が入っていて、地元民にはあまりその価値が判っておらず精々ボタンに加工する程度。ふとしたことでそれにデインズ公爵が目を付け借金のカタとして漁獲権を得てその間に乱獲するという目論見だったよう。でも、ルシアンが手を回して子爵に圧を掛けるとともにこちらと組んだ方が将来安泰だぞ唆したことでフォンベルトはあっさりデインズ公から鞍替え。一方、デインズ公爵夫人のお茶会で嫌がらせされたマルグリットは、蚊に刺された程度のダメージだったので、姑をビビらせたあの真顔の圧で参加していた公爵夫人の取り巻きたちを圧倒。他の領地の経営に首を突っ込んだ罪でエミレンヌ王妃に釘を刺されたデインズ公爵は凝りもせずにイサベラとコンタクトを取り悪だくみに加担するよう誘います。でも、先日姉と再会し本音を吐露したイサベラはこんな小悪党に与するはずもなく、逆に張り飛ばして追い返すのでした。そしてイサベラの監視役を務めるシスターの正体がまた憎い演出で、そうかそういうことかと( ̄ー ̄)ニヤリ ここはさすがに敢えてネタバレはしませんが、このシスターがいればきっとイサベラの更生も上手くいくことでしょう。今の時点でも大分いい子に戻りましたけどね。それから暫く経って、結婚2年目を迎えたマルグリットたちの仲睦まじい様子が描かれて物語は幕。個人的にはもうここで終わって良い気はします。評価:★★★★★
2024.09.29
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2024年8月刊ビーズログ文庫著者:もよりやさん義姉たちから虐げられているひきこもり令嬢リリーベルは、辺境伯エリアスが花嫁を選ぶパーティーに侍女として同行することに。ところがこっそり育てているゴランちゃんが会場に飛び込んでしまい、慌てて追いかけるとー「これが『花嫁候補』です」冷たく不愛想なエリアスから適当に指名され、『1カ月のお試し婚(強制)』をすることになり…!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 リリーベル=継母と義姉たちに虐げられていた子爵令嬢。 エリアス=辺境伯家当主。花嫁候補としてリリーベルを領地に連れ帰る。 ゴラン=リリーベルが育てた伝説の魔草・マンドラゴラシャルロッテ=エリアスの花嫁の座を狙う侯爵令嬢。魔獣を従え、国境を守護するスターリング辺境伯家。現当主であるエリアスは王族ながら人嫌いで滅多に社交の場に出ない事で有名だった。しかし、魔獣を扱えるのは代々スターリング家の者のみ。厭世家とはいえ、跡継ぎを残してもらわねば困ると国王がエリアスのためにと花嫁候補を決めるためのパーティーを開くことに。その日、王宮には貴族令嬢がひしめいていた。義姉二人の世話係として一緒に王宮へとやって来たリリーベルは、無理矢理くっついて来たマンドラゴラのゴランちゃんが人に姿が見えないのをいいことに会場を走り回ったり悪戯しているのを見て冷や汗を掻いていた。いい加減止めないと怪異現象と勘違いされて大騒動になりそう。会場に潜り込みビチビチと跳ね回るゴランちゃんの捕獲に漸く成功した彼女は、突然腕を掴まれて引き起こされていた。見ると礼装姿の頗る美形の青年。彼はリリーベルを真横に立たせると、私の花嫁候補はこの方ですと高らかに宣言。周囲の令嬢達は口々にあれってメイドですわよね?と声を上げている。居た堪れない気分を味わっているとその中で憎々し気に睨んでいる継母と義姉たちの姿が。自分でもどういうことなのか訳が分からないんですけど~。そんな彼女の腕をガッシリを掴み、じゃあ帰るかとエリアスは馬車にリリーベルを押し込み自らも乗り込むと遠い辺境の地へと連れ帰ったのだった。王都から馬車で三日ほどかかってようやくたどり着いたスターリング領は、自然豊かな美しい地であった。事情も分からないままこんな遠い所まで、魔草たちのお世話もあるのに。リリーベルは子爵邸の離れの納屋を住処とし、そこで様々な魔草を育てていた。ゴランちゃんもそのうちの一つ。まさか小鳥が落として行った不思議な種が伝説のマンドラゴラになるとは思いもよらなかったが。ゴランは意思を持ち自在に動き回ったり魔法まで使える特別な存在で、父まで亡くなって継母たちに虐げられるリリーベルのたった一人の友人となった。ゴランのおかげで絶滅危惧種の魔草の種を入手できたし、元々土いじりが好きな彼女にとってその時間は究極の癒しだった。だが、暫くは帰れそうもない。エリアスは屋敷に着くなり彼女に詫びた。国王が自分を心配してくれているのは嬉しいけれど、正直人となりも知らない令嬢たちを並べてこの中から花嫁を選べと言われても、と困り果てていたらしい。そこで彼はゴランを追いかけていたメイド姿のリリーベルに目を止め、使用人なら後で主人に事情を話して1ヶ月借り受ければいい。そう考えたのだそうだ。花嫁候補とは互いの相性を知るために1ヶ月間お試し婚として共に過ごさねばならない。だから、期間が過ぎれば合わなかったとして解消するからその間付き合って欲しい。報酬は払うからと頭を下げられ、その切実な様子にリリーベルはその頼みを引き受けたのだった。その間、魔草の世話はゴランがハヤブサを魔法で操って子爵邸まで飛ぶというので、一先ずは安心だ。スターリング邸は規模の割に使用人の数は少なかったが、皆気の好い者ばかり。メイド姿の彼女のこともエリアスの花嫁候補として丁重に扱ってくれた。寧ろ、タダ飯食って服まで誂えてもらい恐縮しきり。せめて何か手伝いをと散策していると魔獣の厩舎が見えて来た。卵から生まれるが、見かけは狼に似ており額に一本角を持つ魔獣は気性が荒い。どういうシステムなのかスターリング家の血筋の者にしか懐かず、その命で国境を守る生き物。興味が湧いて厩舎に近づけば一頭の魔獣が苦しそうに息を吐いて寝そべっている。一緒にいたゴランが、リリーベルが先日収穫してそのままポッケに入れっぱなしだった魔草の実を与えろと指示するので、半信半疑で与えてみると魔獣が大量の毛の塊を吐き出した。毛づくろいをする動物は球毛症になりやすい。見れば年寄りの個体の様でうまく吐き出せずに苦しんでいたようだ。お礼のつもりかさっきまで唸っていた魔獣に舐められていると、エリアスが慌てたように寄って来てリリーベルを𠮟りつけた。どうやら、現状エリアス以外に懐かない魔獣は危険だからと言いたかったらしい。その場は素直に謝り、部屋に戻った彼女の後姿を見送った彼はその後、書斎でリリーベルの身上調査書を読んでいた。報告書を読んで彼女が子爵家の正当な娘と知って驚愕。しかも、幼少時に実母を亡くし彼女の為と後妻を受け入れた父は数年後に事故死していた。継母とその連れ子二人はリリーベルを虐げ成長した彼女をメイドのようにこき使っていたと聞いて怒りが湧いた。そしてメイドなら仕事として引き受けてくれるだろうと考えていた自分の考えを恥じた。しかも、あの魔獣・ジエラはリリーベルが何らかの方法で手玉を吐き出させてくれたと知った。エリアスは球毛症とも気づかなかったのにだ。彼女には借りが出来た。せめてここにいる間は快適に過ごしてほしい。その後、エリアスに謝罪され、ジエラに懐かれたのを切欠に魔獣の世話を買って出たリリーベルは充実した日々を送っていた。楽しい時は過ぎるのが早い。ここに来てもう20日ほど経っていた。エリアスとも大分親しくなったのに後10日で去らねばならないのだ。一方、エリアスもまた彼女を返したくないと思い、正式に婚約者として迎える決意を固めていた。そんなある日のこと、隣接する領地の主・クラウディア侯爵家の令嬢シャルロッテからお茶会に招待されたリリーベル。子爵令嬢として呼ばれたことに不信感を抱きながらもこれも花嫁候補のお務めと恐々参加すれば、シャルロッテを始め令嬢達から非難の嵐。エリアスが買ってくれた訪問着まで嫌がらせで汚されてついにリリーベルがキレた時、ゴランちゃんから子爵家の納屋が火事だと報告を受け・・・。リリーベルの継母に唆されたシャルロッテは、彼女を徹底的に虐めるため、納屋の中を荒らすよう手の者に命じていました。しかし、魔草の中には扱いを間違うと火花を出す危険なものもあってそれが元で火事に。薬草効果で加速したジエナの背に乗り、実家に着いた彼女は何とか魔草を火から救いますが、自らも危機に陥りかけた時、追いかけて来たエリアスに助けられます。この一件で彼は激怒し、悪びれないシャルロッテの証言に侯爵夫妻も真っ青。王族の花嫁候補へのやらかしに国王も厳罰を下すのでした。まさかシャルロッテは投獄、侯爵家もお取り潰しになるとまでは思いませんでしたが、それだけエリアスとその子を産む予定のリリーベルに害をなしたと言うのは重罪なんですね。勿論、継母たちも厳罰にと予想していたんですけど、アリバイがあったので罪には問えず。でも、あの火を出す魔草が残っており、それが飛んで屋敷はまる焼け。継母たちはリリーベルから奪った財産全てを失うのでした。最後に最後でとんでもないザマァ展開来たなーって感じでスッキリ。エリアスからのプロポーズを受け、二人の婚約が決まって物語は幕。お話自体は結構シンプルな展開なんですが、魔獣やゴランちゃんなど不思議な存在が二人の恋を後押しした感じで良いです。評価:★★★★☆
2024.09.17
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2024年4月刊ビーズログ文庫著者:吉高花さん『神託の乙女』として王太子妃候補に選ばれた伯爵令嬢のエスニア。前世で多忙だった記憶を持つ彼女は「今世こそぐうたら生きる」ため落選を決意するーが、王太子・サイラスは前世の夫と瓜二つで!?落選したいのに“ツーカーの仲”の彼には通用せず逆効果…「今も君を愛している」前世では愛していなかったはずなのに、今世では溺愛されてます!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 エスニア=「神託の乙女」として王太子妃候補に選ばれた伯爵令嬢。 サイラス=王国の女性の憧れの存在である王太子。伯爵家の長女ながら、継母に疎まれ使用人以下の扱いを受けていたエスニアは前世の記憶を持っていた。そんな彼女が王太子妃候補である「神託の乙女」の一人に選ばれた。実の娘・イモジェンではなく、目障りな先妻の子が選ばれるなんて、と継母は激怒し迎えに来た使者を相手に大騒ぎだった。だが、この国で産まれた者にとって「神託の水盤」の言うことは絶対だ。しつこく難癖を付ける継母を尻目に、エスニアは王宮に招かれたのだった。王宮には既にほかの候補者たちが到着しており、皆「神託の乙女」に選ばれるだけあって美しく性格も教養も申し分ない人達ばかり。地味なドレスに身を包むエスニアにも優しく声をかけてくれた。明らかに場違いな自分は候補に選ばれただけで万々歳。例え妃には選ばれずとも残った候補たちは水盤に選ばれるだけで優良物件であり、結婚相手に困らないからだ。正直、何かと大変そうな王妃より、裕福な貴族に嫁いで悠々自適にのんびり過ごしたい。だが、「神託の乙女」たちに挨拶に現れた王太子の顔を見てエスニアは唖然。なんと前世で自分の夫だった青年と瓜二つではないか。心なしか声も似ているような。前世で魔術師だったエスニアは師匠の薦めで同じ魔術師の男と結婚。10年程連れ添ったが前世のエスニアは原因不明の病で早逝。顔は良いがただの魔術オタクの夫とは友人のような関係だったが、彼なりに愛してくれていたらしい。臨終のときを迎える彼女の手を握り「生まれ変わっても結婚しよう」と告げ涙を流していた。その際、自分は何と答えたっけ。なんか嫌な予感がしたものの、規則なので王太子サイラスは候補者全員に分け隔てなく話しかけ接している。そもそも、いくらそっくりでも夫の生まれ変わりとは限らないのだ。令嬢たちは付き合いを重ねると本当に良い人ばかりで、ライバルなのにも関わらず諍いなどとは無縁だった。だから誰が選ばれても恨みっこ無し。そんな雰囲気のまま平穏な日々は続いた。しかし、それから暫く経つと、サイラスからエスニアに二人にしか判らないようなコンタクトを仕掛けられたことで嫌な予感は的中。彼は前世の夫の生まれ変わりでその記憶を持っていると確信した。サイラスがエスニアを特別視していることも他の候補者たちもすぐにピンときたようで、王太子妃は彼女に決まったに違いないと喜んでいた。つい先日前まで使用人以下扱いされた挙句こき使われ、前世でも魔術師として忙しなく生きていた彼女にとって、出来れば緩くぐうたら暮らしたいと言うのは切実な願いだ。未来の王妃なんてどう考えても忙しそうだし、気も休まらないのではと思うと絶対に嫌。でも、サイラスはあの言葉を覚えているようで、なんとしてもエスニアと添い遂げるつもりらしく、どんどん外堀を埋めて来る。そんな最中、他の候補者たちはそれぞれ公にはされていないものの、お相手が決まっていき妃はエスニアでほぼ確な状態になって行った。だがここまで来るにあたりサイラスから切実な思いを聞かされた彼女は段々絆されてしまい、まぁ王妃になるのも良いかと受け入れる覚悟を固めていた。しかし、エスニアが未来の王妃になるなど許せないと彼女の継母が異母妹と王宮に乗り込んで来て・・・。転生ものです。自分の死の間際、生まれ変わっても結婚しようと約束したし今も愛してると前世の夫であった王太子・サイラスに溺愛されるエスニア。色々大変そうな上、王族になるなんて歴史書に名前まで記載されてしまうじゃないか。後に自分が王妃時代は碌な功績も無いと書かれそうなのも苦痛だし、そこまで愛してくれるのは嬉しいけれどのんびり生きたいんだよ。そう思っていたけれど彼の必死な求愛にいつしか絆され、今や親友となった令嬢達からの後押しもあって漸く妃になる決意をするものの、そうは問屋が卸さないと継母たちが襲来。エスニアを引き摺り下ろし、イモジェンを妃にと見苦しい抵抗をするものの、先ず異母妹は神託の水盤に選ばれていないので資格が無い。なのに、エスニアがいなくなればと継母は彼女の殺害を試み、置物で殴打されて気を失ったエスニアは絨毯に包まれ遺棄されかけた所を目を覚まし、脱出に成功。サイラスの魔力で居場所を特定されたエスニアは無事救出されるのでした。今作での悪役ポジは当然ながらこの継母なのですが、終盤まで出番が無かったのでフェードアウトしたのかと思ってました。結局、とんでもないことをやらかして相応の罪に問われて投獄の憂き目に合います。まぁあれだけのことしたのに処刑にされなかっただけ感謝しないと。この継母たちの傍若無人ぶりが作中一番読んでてキツかったかも。後に正式にエスニアが王太子妃になることが発表され、後に二人は魔法復興の祖として活躍するらしいことを示唆され幕。作中、継母たちのやらかし以前にもエスニアとサイラスの前世でのこと、神託の乙女たちとの親交やお相手が決まるまでの経緯なども描かれているのですが、長くなるので大筋だけ記載してます。候補者たちはみんな本当に良い子達で仲も良く、末永く親友として付き合っていくみたいなので女同士の友情も良いなと思いました。そしてサイラスの執念にも脱帽。評価:★★★★★
2024.04.28
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2023年1月刊ビーズログ文庫著者:久川航瑠さん血濡れの悪鬼、首狩り皇帝ーそんな異名を持つ皇帝ユディングのもとに嫁ぐことになった十五歳の幼い姫テネアリア。しかし彼女は恐れるどころか、心の底から凶悪顔の大男を愛していた。“初めて会った”にもかかわらず。移動時には抱っこをせがみ、食事は手ずから食べさせ、笑わない男も次第に幼妻に絆されていく。けれど彼女には、秘密があって!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 テネアリア=東の島国の姫。心底ユディングに惚れている。 ユディング=テネアリアの夫。大国の皇帝で悪鬼と恐れられている。 ツゥイ=テネアリア付きの侍女。 サイネイト=皇帝補佐官。ユディングとは幼馴染。 プルトコワ=公爵。前皇帝の異母弟でユディングの叔父。 セネット=テネアリアの護衛騎士首狩り皇帝、血濡れの悪鬼など物騒な異名を持つ皇帝・ユディングに持ち上がった婚姻話。お相手は東の島国の姫君だと言う。ここ数年戦続きではあったが漸く平穏となり、サイネイトが持ち込んで来たこの話にユディングはいかにも不服そうだった。姫がまだ年若く、嫁いできたとしても怯えて逃げ出すに決まっている。皇宮で働く使用人たちまでユディングの一挙手一投足にびくついているくらいなのに。だが、サイネイトが言うにはこの姫君、高い塔に閉じ込められて育った曰く付きなのだそうだ。そんな姫君を皇帝ユディングが婚姻と言いう形で救い出したとしたら?悪名ばかりの幼馴染に英雄という異名が加わるし、世間知らずの小国の姫君ならば扱いやすかろう。色々納得はいかないが、結局のところこの結婚は決まったのだった。そして遥々やって来たテネアリアは侍女のツゥイのみを従えて帝国にやって来た。まだ15歳の彼女は体も小さく、ユディングの胸あたりまでの身長しかない。何だか話難いので思わず腕に乗せて欲しいと頼んだ時は流石に驚かれた。おまけに挙式の間中もずっと抱っこ状態だったので参列者たちも目を丸くしている。物騒な異名を持つ割に彼は乱暴者なわけではない。向かってくる敵を切り伏せただけ。それを全て承知しているとばかりに初対面から好意MAXのテネアリアにユディングは調子を狂わされていた。飲食に興味の無い彼の横に座り甲斐甲斐しく食べさせる様は長い付き合いであるサイネイトさえも驚愕させた。あの強面顔に怯まないのも驚いたが、会って間もない夫にここまで惚れこむものなのか。しかし、何かと敵の多いユディングは常に危険に狙われている。昨夜も刺客が入り込み、テネアリはかなり動揺していた。その様子と彼女がふと漏らした言葉が引っかかり、サイネイトはテネアリアがではないかと疑い、ユディングにも進言。だが、彼はテネアリアを信じていた。それから暫く経ち、テネアリアの元にプルトコワが訪れ、自分は彼女の母の「信奉者」だと告げた。そして数日後、ユディング共々プルトコワの夜会に参加したテネアリアは、夫を庇い刺客に刺され・・・。歳の差婚カップルのお話ですが、妻になったこのお姫様、どこかおかしい。あらすじだけだと実は何百年も生きてるとか?みたいなことかと思ってたんですけど、ちゃんと15歳でしたw実はテネアリアは神の愛し子なる存在で、本来の姿は精神体で精霊とも心を通わせることが出来ました。ので、肉体の方は塔にいつつも精神体であちこち好きに飛び回り、ある戦場でユディングに遭遇。酷い傷を負い死にそうなのに彼と言葉を交わすうち恋をしてしまった。その後生き延びた彼にストーカーのように付き纏い(人には見えないので)、戦となればユディングの為に敵に雷を落とすなど援護射撃。やがて戦も終わり、サイネイトがユディングの嫁探しに乗り出したのを聞きつけ、さも皇宮の侍女たちの噂話のようにこういう姫がいるらしいと吹き込んでいました。そもそも高い塔にいたのも、試練のため。彼女の母も塔から英雄に救い出されてその人と結婚しテネアリアが産まれた。でも、この体質は父に受け入れられず母は化け物呼ばわりされた挙句捨てられてしまった。こんな目に遭っても自分達は塔から英雄に救い出されなければならない。これが「試練」であり、本来ならテネアリアはそうして嫁がなければならなかった。過程を飛ばしているため、母はこの結婚を許さず「信奉者」であるプルトコワにあることを指示するのですが、顛末を書き出してもアレなので割愛します。簡単に言うと人を超越した存在であるヒロインがヒーローに惚れこみまんまと妻の座に収まるも、ちゃんと工程を踏まないと許さんよと母から試練のクリアを命じられると言うお話です。テネアリアは精神体で自由に飛び回れる他、天候を操ることもできるようで結構驚異的な存在。彼女の母共々人々から崇められるものでした。プルトコワの言う信奉者は文字通り、彼女達を神のように敬っている人達。そりゃ神(みたいな)に命じられれば希望通りに動くよね。試練と言うだけあってかなり危険な目に合ってたけど、このお母さん手厳しい。続刊があるとしたらこのお母さんが登場とかかな。評価:★★★★☆
2024.03.05
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2024年1月刊ビーズログ文庫著者:氷山三真さん伯爵令嬢に転生したわたしリリアン。せっかく転生したのにスキルもなければ婚約破棄され傷物に!? このままじゃいけないと伯爵家の将来のため婿殿を探していると……理不尽な理由で王女が貧弱な侯爵令息を婚約破棄? じゃあわたしの婿にします! すると「俺は貴方を守る盾となります」心を開いた令息が想像以上のハイスぺに成長し懐いてきて!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 リリアン=伯爵家の一人娘だが、実は前世の記憶持ちの転生者。 デミオン=侯爵家の長子。継母に疎まれ実家で虐げられていた。 アラン=伯爵家の次男でリリアンの元婚約者。 マリア=男爵家の娘。ジュリアン=デミオンの異母弟。兄を嫌い侯爵家から追い出そうと目論む。アリーシャ=王女。デミオンの婚約者だったがジュリアンに乗り換えた。由緒あるカンネール伯爵家の一人娘のリリアンには前世の記憶があった。以前の自分は読書が趣味で、今のこの状況もとあるジャンルでは見慣れた光景だ。婚約破棄なんて貴族令嬢の嗜みみたいなもの。そう強がる彼女は、婚約者のアランに婚約破棄を言い渡され、舌の根も乾かぬうちに間女であるマリアへのプロポーズを見せられたばかりであった。アランとは1年程前に彼の方から声を掛けられて交際に発展、その後婚約した。初心な自分は結婚を心待ちにしていたのに、別れは突然。しかも、マリアはとてつもなく可愛かった。彼は外見でもリリアンはなってないと扱き下ろしさも悪いのはお前の至らなさだと言わんばかり。いくら本で見慣れている光景でも流石に傷付く。屋敷に帰り落ち込むリリアンだったが、彼女は一人娘。起きてしまったことは仕方ない、悔やむより早々に次の婿候補を見つけなければ。翌日、両親に婚約破棄された事を告げると彼らは娘を心配し、母はアランへの怒りを露わにしていた。が、お相手がスコット男爵家の令嬢と知ると娘がフラれた理由に思い当たったらしい。マリアの実家であるスコット家は商売で当たり、かなりの財を成した新興貴族だった。羽振りも良いので明らかに金目当てではないかと。うちだって歴史ある家なのに、リリアンは内心で憤慨したが、絶対にこの優しい両親の為にも素晴らしい婿を見つけるのだ、と彼女は決心した。数日後、王家主催の宴に出席したリリアンたちは、そこで王女に婚約破棄を言い渡される侯爵家の令息に目を止めた。どうやら、王女殿下は先王が決めた自らの婚約者をお気に召していなかったようなのだが、婚約破棄に至った理由が令息のやらかしだと言いつのり、その罪状がでっちあげにしてもまぁ酷い。ぶっちゃけ、そんな細っこい青年が使用人に暴力振るったり、メイドに粗相を働いたとか無い無い。当然本人も否定していたが聞く耳持たずで、彼は謂れのない罪で婚約破棄されるだけでなく実家も除籍処分になると言う。実は王女は彼の弟のジュリアンと恋仲だというのも趣味の悪い話で、この状況、何だか先日の自分を思い出して胸が痛い。浮気をした挙句、リリアンを捨てたアランや今の王女たちも、この国を守る精霊王はこんな理不尽な真似は許さないはず。思わず彼女は「その方、要らないのでしたら私が頂いてもよろしいでしょうか」と声を掛けていた。この騒動、王太子にしてみれば寝耳に水の話だったようで、令息・デミオンに謝罪していた。除籍に関しては既に申請されているとのことで侯爵家の用意の良さに呆れる。王太子とデミオンは友人関係らしく彼の素行の悪さの話も嘘だと判っていた。そういうわけでデミオンは現状貴族とは名乗れない。だがリリアンはそれでもいい、伯爵家で婿として大事にするし面倒見るから私と契約結婚して欲しいと頼み込んだ。前世で数々読んだドアマットヒロインの小説、彼はヒロインではないけれど、聞けば継母に虐げられていたと言う。そんなヒロインを毎度励ましながら読んでいたリリアンはここで諦めて欲しくなかった。利用できるものは何でも利用して這い上がってほしい。彼女の熱意に圧倒されたのかデミオンはその申し出を何とか承諾。幸いなことに、王太子がデミオンの生母の実家の名を継げないか掛け合ってくれるそうだ。聞けば、後継がおらず家名と爵位は王家預かりになっているとのこと。両親の許可も得て、彼を伴い屋敷に連れ帰ったリリアンは、翌早朝から驚いていた。継母のいびりにより何でもさせられていたというデミオンはとんでもないハイスペ男子で・・・。このデミオン、とにかく何でもできて皆を驚かせます。掃除や料理もお手の物で、頭も良い。おまけに刺繍までプロ級と来れば、邪魔な先妻の子を追い出してしてやったりと思っている継母は後悔してそうw特に刺繍はコンテテストに毎年賞を採っていた程の力作で自分の名で提出していた夫人は、今年は不参加となる。事情を知ったリリアンも胸がすく思いでしたが、婚約破棄によって被った違約金について屋敷を訪れていたアランとバッタリ会ったことで悶着が起こります。割って入ったデミオンのおかげでアランに痛い目を見せることが出来ましたが、ハイスペゆえに彼は私の婿に収まって良いのだろうかと思い悩むように。そんな最中、アランはマリアにフラれそうになり彼女に焚き付けられてリリアンを浚うも、当然の如く失敗し身を亡ぼすことになるのでした。勿論、マリアも。共に過ごすうち、両想いになっていたデミオンとリリアン。大団円で終わっている風に見えて、まだまだ謎な部分も残っているので、続編ありそうですね。デミオンのハイスペの理由、母方の実家の謎。彼の異母弟の暗躍などこの辺りは次巻以降に語られると思うので楽しみです。あの侯爵家の連中片鱗だけしか見せてないけどクズ家族なのは確定。あと、存在だけ示唆されてる精霊王とか、もしかしてこの辺りと関係してたり?ヒロインが転生者と言う設定ですが、本やゲームへの転生ではなかったのは良いと思います。大抵その通りに行かないとはいえ、先を知ってる、やチートスキル持ちは萎えるんで。評価:★★★★★ここ最近のラノベでは大当たりの部類。
2024.02.14
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2023年12月刊ビーズログ文庫著者:杓子ねこさん政略結婚の後、絆を深め愛し合うようになったマルグリットとルシアン。だが晩餐会で隣国の王女ヴィオラに、マルグリットが第三王子ノエルの愛人だと因縁をつけられる!そこで夫婦の愛を証明するため、ヴィオラを屋敷へ招き二人のいちゃいちゃを見せることに!?するとルシアンは、マルグリットの想像以上に甘やかしてきてーー夫の愛が強すぎます!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 マルグリット=伯爵家の長女。ルシアンとの政略結婚後、父の失脚により実家の クラヴェル家を継ぎ伯爵となった。 ルシアン=ド・ブロイ公爵。マルグリットの夫で妻を溺愛している。 ノエル=リネーシュ王国第三王子。ルシアンの従兄弟 ヴィオラ=カディナ王国第三王女。クラヴェル伯爵家の騒動後、父・モーリスが貴族位を剥奪されたことで伯爵位を継いだマルグリット。天敵であったド・ブロイ公爵家に嫁いだことで未だに社交界でアレコレ噂されているようだが、事ある毎に夫・ルシアンが彼女を溺愛している様を周囲に見せつけているせいで、憶測による誹謗中傷は段々と下火になって行った。ルシアンの過剰すぎる愛には未だ対応に困るけれど、彼女も夫のことが大好きなので要は慣れの問題なのだろう。そんなある日、祝賀の挨拶で王宮を訪れたマルグリットは、隣国・カディナ王国の王女ヴィオラにいきなり難癖を付けられた。どうやら王女はマルグリットのことをノエルの愛人だと思い込んでいるらしい。隣のルシアンを見ると明らかに怒っていて、きっぱりと否定したのだがヴィオラは聞く耳持たず。言いたいことだけ言うと走り去ってしまって残された二人は茫然。幸い、ルシアンの友人のニコラスが来てくれたおかげで剣呑とした雰囲気は消え去りホッとしたのも束の間、翌日マルグリットはヴィオラから王宮に呼び出された。客室で王女と会うことになった彼女は、ヴィオラから地味な嫌がらせをを受け困惑していた。お茶を運んできた侍女に暴言を吐かせ、お茶は出涸らし砂糖壺には塩など。昨夜の王女の態度からしてこの程度のことはやってくるだろうとは予想していたが実妹の我儘と意地悪に慣れ切った彼女には可愛いものだった。おまけに天然なのでヴィオラの叱責にも自分には愛する夫がいるし、そもそもノエルとはそんな仲になったことなどないと改めて否定。その冷静な態度にヴィオラがブチ切れ扇で殴られそうになったりもしたが隠れた特技の白羽取りで難を逃れたマルグリットは引くに引けない状況らしい王女の気持ちを思い、屋敷に招待。丁度いい機会だとルシアンは二人のラブラブっぷりを見せつけ王女の誤解を解こうと画策するも、ヴィオラは砂を吐きそうになりながらもマルグリットがノエルの愛人だと思い込むのを辞めなかった。これはどう見てもおかしい。もしかして王女は自分がノエルの愛人であって欲しいのだろうか。思い切って訪ねてみると、ヴィオラはノエルが好きで婚約を望んでいるのに彼が承諾しないので、愛人がいるから受け入れてもらえないのだと思いたいらしい。まぁ確かに、自分が嫌われているより他に好きな人がいるからの方がプライドも保てるのかもしれない。でも、ノエルの性格を知っているルシアンとマルグリットはあの腹に一物ある彼が素直に好意を示すはずが無いことを判っていた。気の無いふりをして楽しんでいる、彼はそういう人なので。それにしても、マルグリットがノエルの愛人なんて噂、誰がヴィオラに教えたんだろう。この国ですらそんな噂は無かったのに。王女に尋ねると情報源は彼女の叔父だそうで、ノエルは愛人に夢中なので結婚は諦めろと言われたのだそうだ。間者からの報告としても根も葉もない噂のせいで癇癪持ちのヴィオラがリネーシュの王宮で暴れたらどうするつもりだったのか。ルシアンとノエルもカディナ王国については思う所があり、寧ろ騒ぎを起こしたいのではないかと考えていた。どうやら、二つの国の結びつきを反対する一派がいるようで・・・。隣国の反対派閥による企みに意図せず巻き込まれることになったマルグリット達。その中で、ノエルとヴィオラの婚約が正式に決まり、反対派閥も悠長にしてはいられないといよいよ実行に移り、マルグリットとヴィオラはピンチに。当然、ルシアンとノエルがカッコよく救出に来て惚れ直す女たち。ルシアンも相当愛が重いけど、騒動の解決後に妻のために用意したサプライズがもう男前。マルグリットが更に夫に惚れ直したのは言うまでもなく、正に大団円って感じで終わっています。彼女の実父・モーリスさんが改心しててラスト間際の件は何だかホロっと来てしまった。シリーズ的には綺麗に〆られてるのでこれで終わりっぽい気はしますが、イサベラ関連でまだなにか一波乱あるのかな?評価:★★★★★2巻目は特にコメディ色が濃くて面白かったです。2023年のネタバレ感想はこれで終了となります。ありがとうございました<(_ _)>来年も既刊を時々交えつつも、なるべく毎日更新していきますので宜しくお願いいたします。
2023.12.31
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2023年12月刊ビーズログ文庫著者:かのんさん家族に愛されず、自立のため王城で働く公爵令嬢のメリルは、社畜として寝不足の毎日。そんなメリルの前に小さな白虎”もふちゃん”が現れもふもふに癒やされる! その翌朝、眉目秀麗な第二王子・オスカーがやってきて、二人で仕事をすることに。しかもオスカーはメリルを「運命の相手」と思っているようでーーもふもふに出会って人生変わりました!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 メリル=公爵家の末娘。黒髪赤目という容姿のせいで家族から疎まれていた。 実は稀少な魔力持ちで魔法陣射影師として働いている。 オスカー=第二王子。王国騎士団に所属しており、自身の体質がきっかけでメリ ルと知り合う。 ロドリゴ=魔法研究部でのメリルの先輩。アルデビド=王国の筆頭魔法使い。王城の魔法研究部で働くメリルは、先輩のロドリゴからのパワハラと無理難題にも耐え、日々過ごしていた。彼女は曲がりなりにも公爵家の娘で、働く必要もないのだけれど、魔法陣射影師になるのは子供の時からの夢だったし、実家にはメリルの居場所は無かった。代々金髪碧眼の一族であるメイフィールド家。なのに、末娘のメリルは黒髪で赤目で産まれた。母は不義を疑われたことで彼女を疎み、魔力持ちだと判ると一層メリルを嫌った。黒髪はともかく、その昔、王国を亡ぼしかけた魔物が赤目だったそうで、娘の赤い目がどうにも許せなかったようだ。外見だけでなく魔力持ちなんて、と。兄姉からも化け物扱いされていたので、実家には良い思い出は無い。そんなある日、今日もロドリゴから仕事を押し付けられ、ぐったりしながら帰路に就いたのは深夜。職場から近くて良かった、と力なく歩いていると、生垣が揺れて出て来たのは大きな猫のような白い動物。これは白虎?大型犬よりは小さいサイズだが、それにしても可愛い。きっと誰かのペットで飼い主が探していることだろう。しかし、こんな夜中に外に置いておけないと、自分の部屋で保護することに。メリルは白虎に「もふちゃん」と名付け、缶詰を振舞い、しばしそのもふもふに癒されていたが疲労に負けて寝落ちしてしまった。目覚めるともふちゃんの姿は消えていてガッカリした上に、出勤早々にロドリゴから難癖を付けられて既に疲労困憊。が、そんな彼女を尋ねて第二王子のオスカーが研究部にやって来た。話を聞くに、魔法使いこそ真の王という主義の魔法信者による不審な魔法陣が発見されたのだそうだ。それで専門家であるメリルに調査を依頼したいのだと。ロドリゴは仕事に差し支えると反対していたが、褒賞が出ると聞いて渋々承諾。しかも、メリルと共に調査に参加すると言う。専門外なのに正気かとも思ったが、気にせず自分の仕事をするまで。現場に着いて実物の魔法陣を見ると、なるほど少々様子が違う。しかも、ロドリゴが余計な事をしたせいで陣が発動してしまい、のっけから大ピンチ。幸い、メリルの機転で事なきを得たが、彼女が膨大な魔力を持っていることが周囲に知られてしまった。家族でも母しか知らないのに。しかし、オスカーが彼女は命の恩人だと部下達にも声を掛けてくれたおかげで変な目で見られることなく済んだ。以降、調査などで同行していることも多いので、メリルとオスカーは急接近。もふちゃんとはあれ以来、2回ほど遭遇してその度にもふもふを堪能させてもらっている。それにしてもオスカー様ともふちゃんって瞳の色がそっくり。それにもふちゃんは人語を理解してるようなのよね。それもそのはず、もふちゃんこそオスカーが変身した姿で・・・。初代の王が獣人だったことからオスカーは先祖返りで白虎に変身できる力があり、一度変わると明け方まで人間に戻れない。メリルと会った日も意図せぬ変身に城にも戻れず難儀していた所彼女に匿ってもらい感謝していました。しかも、魔法信者の起こした騒動で、メリルとタッグを組むことになって内心大喜び。何故ならあの夜以来彼女が気になってしょうがない。あれから二度も変身したのはメリルがドキドキさせるようなことをしたり言ったりするから。そんな状況下、調査も進み事件の全容が明るみに出て黒幕も登場。この辺はまぁ特に捻りを入れる必要性も無いので、ですよねーって人がボスでした。メリルとオスカーの活躍によって事件は解決。二人とも表彰を受けます。名誉あることだったので、周囲のメリルを見る目は変わり、一先ず家族の中では兄とは和解できそうなのかなって雰囲気。二人の恋も前途多難そうですし続編出そうですね。色々端折ってますが、あんまり詳細にバラしてもあれなので。オスカーも20歳超えてるのに、なんで変身すると小虎なのかも何か理由がありそう。運命の相手が鍵とか?取り敢えず、耐性つけてイイ所で変身しないようにしないといつまでも進展しないよ(苦笑)評価:★★★★☆
2023.12.24
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2023年11月刊ビーズログ文庫著者:海倉のくさん悪役令嬢の姉に転生したジゼルを待ち受けるのは没落か死!そんな運命を変えるため、全ての元凶である妹の再教育にとりかかる。するとある日、クタール侯爵家からお茶会の招待が。クタールと言えば攻略対象の闇落ち兄弟(しかも弟はジゼルの未来の婚約者)がいる家だ。ここは穏便にお別れを……その願いも空しく、妹が彼らの地雷を踏み抜いて!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ジゼル=ダルマス伯爵家の長女。元は現代の日本人女性で乙女ゲームのモブ キャラに転生した。 オディール=ジゼルの妹。癇癪持ちな性格でゲームの悪役令嬢役。 ユーグ=クタール侯爵家の長男。 リュファス=ユーグの異母弟。妾腹なことから侯爵夫人に疎まれている。フェデーリカ=クタール侯爵夫人。ユーグの実母。 ロベール=ジゼルとオディールの叔父で後見人。伯爵家の長女であるジゼルには前世の記憶がある。平凡なオタクだった彼女は不慮の事故にて19歳の若さで亡くなった。そして気付けば生前やり込んだ乙女ゲーム「楽園の乙女」の世界に転生していた。しかしながら現在の彼女は悪役令嬢・オディールの病弱な姉役。所謂モブキャラであった。ジゼルは当代聖女に勝るとも劣らない魔法の使い手で亡くなった母譲りの美貌の持ち主なのだが、どのルートでも最後まで生き残ることができない不運の持ち主。それも病死だけでなくとにかくバリエーション豊かな最期を迎えるのだ。前世であんな死に方をしただけにせっかく転生したのだから長生きしたい。病弱なのは致仕方ないにしてもその辺は体質改善に励めば寿命も延びるのではないだろうか。そこは必死で頑張るとして問題は後に悪役令嬢になるオディールだ。癇癪持ちで我儘、少々思い込みは激しいけれど根は悪い子ではないと思っている。だが、ライバルであるヒロインと恋のバトルを繰り広げ、あれこれやらかして破滅するという典型的な役回りのキャラだ。ジゼルの死亡原因もこの妹の愚かなやらかしの完全な巻き込まれであった。そこで彼女は妹の更生に乗り出した。両親を早くに亡くしたことで、ジゼルが伯爵家を継ぐまで父の弟・ロベールが後見人として姉妹の面倒を見てくれているのだが、とにかく二人を可愛がり甘やかしている。まぁ、虐げられているより遥かにマシだが、妹のような性格の子は増長するだけ。ジゼルは夢で母に頼まれたとオディールを厳しく躾ると宣言。叔父にもあまり甘やかさないよう釘を刺し、早速使用人たちを困らせる妹の教育に乗り出したのだった。最初は急に厳しくなった姉と叔父の態度に反発していたオディールではあったが、ジゼルの努力の甲斐あって何とか人前に出しても恥ずかしくない程の淑女になった。多少空気の読めない性格ではあるものの、癇癪を起して暴れていた頃に比べれば雲泥の差。しかし、問題はここから。近々開催されるクタール侯爵家のお茶会で、オディールはそこで出会った二人の子息に惚れで後にヒロインと熾烈なバトルを繰り広げるのだ。勿論、お相手はルートによって変わる。ジゼルはストーリー上、妾腹ながら魔法の天才・リュファスと婚約するものの、オディールのやらかしの犠牲になるので、出来ればこの婚約自体を回避したかった。兄弟との接点を無くし、夫人に気に入られない様努めていたのだが、魔力の高さを見破られ是非長男のユーグの妻にと懇願され万事休す。ユーグもオディールの攻略対象だからこちらとも遠慮したいんだよなぁ。だが、後日とある事実を知ったことから、夫人はジゼルはリュファスと結婚すべきと突然主張を変えて来た。彼女としては魔力が無くて肩身の狭い思いをしているユーグの為にも妻は優秀な魔術師をと考えていたはず。夫人の真意が読めずどう断るか考えていた最中、リュファスはユーグとの兄弟喧嘩によって魔力暴走を起こしてしまい・・・。生き残りのために状況を変えようとしたら、モブキャラなのに攻略キャラ達から愛されてしまったジゼル。しかも、オディールまで立派なシスコンに。ヒーロー達に興味は無いけど、私から大事な姉さまを奪おうなんて50年早い。でも、侯爵家は長年リュファスを蔑ろにしていたせいで崩壊の危機に陥っていました。そして兄弟喧嘩を止めようとしたジゼルは生死の境に。リュファスの魔力の暴走も喧嘩だけでなく夫人による嫌がらせが原因で、物凄いストレス抱えてたんだなぁと。悪いのは浮気した当主やん。しかもこの人、屋敷にも帰らず逃げ回ってたって言うから夫人も言いたいことも言えず悶々としてたんでしょう。この人も気の毒ではあるけどそれにしたってリュファスへの態度は正直許せない。事態の収拾のためにロベールが侯爵を探し出し、彼を𠮟りつけ当主としての責務を思い出させたことでお家騒動は幕となりました。そして長男としての権限でユーグが下した母親への罰は厳しいものでしたが仕方ないのかも。騒動が落ち着き、闇落ちを免れたことですっかりジゼルに惚れてしまった侯爵家の息子たち。でもまだヒロインともう一人の攻略対象の皇太子が未登場。なんとか生き残れたと思いきや、まだまだ油断は出来ず?な感じで〆おそらく続編ありますね。評価:★★★★☆タイトル的にコメディかと思いきや思ったよりシリアスな内容でした。
2023.12.02
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2023年10月刊ビーズログ文庫著者:千堂みくまさん家族のためド田舎から王都に出稼ぎにきた男爵令嬢のヴィヴィアンは、偶然出会った聖騎士団団長のアレクセイラスに一目惚れされる!お針子にも関わらず田舎センスな“芋令嬢”のヴィヴィアンにアレクの溺愛は止まらず、ついには同棲することに!?彼の行動には深い理由があるようだが…「もう逃げられないよ」腹黒な聖騎士様の甘やかしが止まりません!第5回ビーズログ小説大賞入選! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 ヴィヴィアン=地方出身の男爵令嬢。 弟の学費を稼ぐために王都に出稼ぎにやって来た。アレクセイラス=二大公爵家の一つ・シュレーゲン公爵で聖騎士団長。 クラリーネ=大聖女。 ルシャーナ=聖女の一人で公爵令嬢。祖父の浪費癖のせいで貧乏生活を余儀なくされているグレスター男爵家。このままでは跡継ぎである長男・クリスを学校に行かせてやることも出来ない。ヴィヴィアンは得意の裁縫で弟の学費を稼ぐため、王都に出稼ぎにやって来た。幸い、勤め先は見つかり、自らも製作に参加したドレスを披露すべく祭りのショーに参加したのだが、そこで彼女は聖騎士団長・アレクに見初められ、熱烈に迫られることに。アレクは騎士団長でありながら公爵でもあると言う。どうしてそんな凄い人に言い寄られるのかヴィヴィアン自身も信じられないでいた。まぁ、見た目は亡き母に似て悪くないとは思うのだけど、彼ほどの人ならお相手は選り取り見取りだろうに、同居しようとまで言い出した時は断るのに苦労した。そんなある日、彼女の手掛けた服が大聖女・クラリーネの目に留まり、ヴィヴィアンに神聖力があることが判明。それも加護を宿す聖紋を縫うという珍しいものらしく、聖女になることを薦められた。勿論ちゃんと給料も出るし、特別な働きが認められれば高額の褒賞も貰えると言う。大金が貰えるという話に彼女は飛びついた。訓練を受けながら、裾が長く動き難い聖女の服のリニューアルを考案。その際、様々な効果を得られる刺繍の図案を編み出したヴィヴィアン。回復魔法はあまり得意ではないけれど、これなら自分も役に立てると。近年、魔物の出現が多く、聖騎士団の出動も増えた。魔物と戦うアレクの姿を見て、彼を守れるほどの加護の効果がある衣装を作りたい。何だかんだと日々接するうちに彼女はすっかりアレクに絆されていた。しかし、ある時、ヴィヴィアンは何者かの罠にはまり拉致された挙句、その者の力で10年前のシュレーゲン公爵邸に飛ばされてしまい・・・。玉の輿要素ありの聖女モノのようです。王都まで出稼ぎにやって来た貧乏貴族の娘が、色々完璧すぎる男性・アレクに見初められるんですが、彼女は類まれな神聖力の持ち主でっていう内容。何故ヴィヴィアンが惚れられたのか、これは10年前に彼女が飛ばされたことが関係していまして、まぁ、皆まで言わずとも想像がつくと思います。アレクも一途だなぁ。このタイムスリップ事件が巷を騒がす魔物の出現騒動と繋がっていたり、二人は巻き込まれていくわけですけどこの件に関しては終盤一気に解決。キャラも多いし、楽天ブックスだとタイトルにナンバリングが付いてたのでシリーズ化するんですかね。評価:★★★★★
2023.11.26
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2023年5月刊ビーズログ文庫著者:夢見るライオンさん借金返済のため、若くして余命わずかな高齢貴族のもとへ嫁がされた男爵令嬢クロネリア。社交界では『看取り夫人』と呼ばれ、もう幸せな結婚は諦めていた。だが3人目の夫を看取るために訪れた公爵家で美貌の令息イリスと出会い!?陰ながら支えてくれ「ずっとここに居て欲しい」と言う彼に、クロネリアはようやく居場所を見つけることができて……? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 クロネリア=男爵令嬢。結納金目当ての父の命令で余命僅かな高齢貴族に嫁ぎ、 その最期を看取る「看取り夫人」と呼ばれている。 イリス=クロネリアが3番目に嫁いだ公爵家の跡取り。 スペンサー=公爵家の当主でクロネリアの契約結婚相手。 アーク=イリスの弟。 ガーベラ=クロネリアの妹。 ハンス=伯爵家の子息でクロネリアの元婚約者。先週発売の新刊なので、ざっくり目に。余命幾ばくもない高齢の伯爵に嫁ぎ、その最期を看取った男爵令嬢・クロネリア。次に嫁いだのは病で寝たきりの侯爵。どちらも当初より寿命を永らえただけでなく後顧の憂いなく旅立たせたことから、彼女の「看取り夫人」としての評判は非常に高い。借金塗れで強欲な父は、引く手あまたな娘を、今度は病に伏せるスペンサー公爵に売りつけた。クロネリアの結婚もこれで3度目。公爵が亡くなればバツ3となり、いよいよ普通の結婚は難しくなる。恐らく、父は家の為に一生「看取り夫人」として彼女に稼がせるつもりなのだろう。スペンサー家にやって来たクロネリアは、当初家人達に歓迎されていなかった。そもそも、依頼人である跡取りのイリスは、彼女によって公爵の延命を期待していたらしく、クロネリアにきっぱりとそんな力は無いと否定されてガッカリしていた。当の公爵も妻を失くして以来気落ちし、病を患いいつ亡くなってもおかしくない状況で、幼いアークからは彼女は虫の様に嫌われる始末。だが、クロネリアの気遣いと優しさのおかげで、公爵の容態も若干持ち直し小康状態が続くと、それに伴なって誤解も解けたのかアークの態度も軟化。クロネリアに懐くようになった。一方、実家の男爵家に搾取され続けるクロネリアの状況を知ったイリスは、父が亡くなってもこの家で暮らせないかと考えていた。そんなある日、男爵家の娘として碌な娯楽を経験していないクロネリアの為に知り合いの貴族が主催するサロンへやって来たイリスは、そこで彼女の異母妹のガーベラとその婚約者・ハンスと出会い・・・。身勝手な家族によって人生を台無しにされかけた不遇ヒロインが、3回目の嫁ぎ先にて幸せを見つけるというお話です。貧乏なくせに3人も夫人を持つヒロインの父のせいで、立場の弱い彼女の母を盾にとり、裕福な高齢貴族の元に嫁に行かせ続けます。でも、心優しいヒロインのおかげで夫となった人達は安らかな晩年を迎え、穏やかな最期だったことから評判が評判を呼び、彼女を妻にしたいとの申し込みが殺到。強欲な父親は結納金でガッポリ儲けられると、一生娘に「看取り夫人」をさせる算段でした。そんなヒロインは3番目の家で、誤解から最初は苦労するものの、後に公爵家の跡取りと恋に落ち、漸くハッピーエンドを迎えます。「看取り」と言うテーマのおかげで、色々考えさせられる内容なのですが、とにかく幸せになって良かった。まだ18なんだから人生を諦めるのは早い。前夫達を始め、公爵家の面々が皆良い人達ばかりで、実家が実母以外の者たちが最低だっただけに、赤の他人の優しさが沁みるんです。評価:★★★★★
2023.05.23
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2023年4月刊ビーズログ文庫著者:杓子ねこさん家族から虐げられる伯爵令嬢マルグリットは、王命で敵対する公爵家の次期当主ルシアンと政略結婚することに。「お前を愛するつもりはない」「わたしも愛する気はありませんので、どうぞご心配なく!」「……」冷遇されても明るく振る舞うマルグリットにルシアンは次第に心を開き、妻を愛するようになるがーー不器用な二人のすれ違いは続いていき!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 マルグリット=クラヴェル伯爵家の長女。 母が亡くなって以来家族に虐げられていた。 ルシアン=ド・ブロイ公爵家の次期当主。マルグリットと政略結婚をする。 イサベラ=マルグリットの妹。 ユミラ=ルシアンの母親で王妹。不遇ヒロインものです。国を守護するクラヴェル家とド・ブロイ家。しかし、両家はとにかく仲が悪く長年いがみ合っていた。特に王族が降嫁し、爵位が上がったド・ブロイ家に対してクラヴェル家の妬みは凄まじく、このスキを突かれて他国に攻め込まれでもしたら目も当てられない。ただでさえもめ事が多くて頭が痛いと言うのに。止まらぬ諍いに業を煮やした王妃エミレンヌは婚姻による両家の縁を深めるよう命じたのだった。この結婚、双方から大批判だったものの、王命なれば従うしかない。ド・ブロイ家一人息子のルシアンの元にクラヴェル家の娘が嫁ぐこととなった。しかし、本来なら次女のイサベラが嫁ぐはずのところを、宿敵の家になど行きたくないと駄々をこね、結局長女のマルグリットがド・ブロイ家に赴くことに。母が亡くなってからと言うもの、父はすっかり変わってしまい母似のイサベラを偏愛し我儘放題に育てた。その代わりにあまり夫人に似ていないマルグリットは冷遇し、使用人の如くこき使い時に暴力を振るう始末。家もイサベラに継がせると公言しており、マルグリットは嫁に出さず一生妹の補佐をさせる算段だったようで、この結婚話によって色々と計算が狂ってしまった。どちにらにせよ可愛いイサベラを憎いド・ブロイ家にやるなどまっぴら。可愛げのない長女の方ををくれてやる。だが、マルグリットは父に代わり領地経営を切り盛りしていた才媛だった。そんな彼女を嫁に出したら後々どうなるか考えもせずに、厄介払いも出来て清々したとほくそ笑む父子であった。こうして実家にも疎まれ、嫁いで来た公爵家では宿敵の娘がのうのうとやって来たと敵意剥き出し。使用人のような部屋に住まわされ質素な食事。夫人のユミラの指示だったが、マルグリットは全くへこたれず周囲を驚かせていた。何のことはない、公爵家のいびりなど実の家族の仕打ちに比べれば生ぬるい。夫となったルシアンは「愛するつもりは無い」と釘を刺した以降、マルグリットの動向を伺っていたが、まさか家人総出で彼女を虐めていたとは露知らず。しかも全く意に介さない彼女に衝撃を受けていた。やがて、ルシアンはそんなマルグリットから目が離せなくなり・・・。公爵家のいびりも相当なものだったと思うんですが、実家での扱いを思えば天国とマルグリットが思ってたって、どんだけクラヴェル家は非道だったのか。おかげでマルグリットはすっかり鍛えられて、以前よりよっぽど良い待遇に満足し切り。ルシアンからすればかなりのそれは衝撃だったようで、彼女に興味を持ち始めたと思ったらあっという間に妻を溺愛する夫に。ルシアンを味方につけてからはマルグリットにとって事態は好転。その後、イサベラが姉の待遇に不満を持ち、追い落とそうと躍起になるんですが、そんな企みが上手く行くはずもなく。それ以前に、クラヴェル家は案の定マルグリット手放したことでかなりの痛手を被ってて、読んでていい気味、と。勿論、物語はハッピーエンド。父と妹へのザマァもヒロインの肉親なので落としどころとしてはこんなところかな。評価:★★★★★
2023.04.26
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2022年11月刊ビーズログ文庫著者:琴子さん小説の中の強欲な悪女に転生したグレース。悪女として主人公の冷徹公爵を弄んで捨て、ヒロインと出会うきっかけを作らないと、戦争が起きてグレースは死んでしまう。バッドエンド回避を決意してキャラに徹するグレースだけど、真面目な性格のせいで悪女になりきれず「絶対に別れてなんかあげないよ」と逆に振るはずの公爵様から溺愛されてしまい!? ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 グレース=事故死した主人公が異世界転生した人物。 小説「運命の騎士と聖なる乙女」に登場する悪女。 ゼイン=小説のヒーロー。王国の筆頭公爵家の当主。 エヴァン=グレースの護衛騎士 マリアベル=ゼインの妹 ランハート=侯爵家の跡取りの色男。シャーロット=小説のヒロイン。今回はTLではなくラノベです。悪役令嬢かと思いきや、男心を弄んでは捨てる悪女と言う設定。車にはねられ死亡した主人公は、目覚めると愛読していた小説「運命の騎士と聖なる乙女」の登場人物である強欲悪女・グレースに転生していた。王国でも有数の大金持ちで侯爵令嬢のグレースは類まれな美女で当然モテるが、性格は非常に悪い。ある日、グレースは手酷くフった青年によって窓から突き落とされ意識不明の重体となったのだが、こうして別人の自分の意識が宿っていると言うことは本物は亡くなったのだろう。理由はどうあれこうして生き直すチャンスを得たのは良いものの、問題は物語終盤に起こるグレースの顛末だ。後に起こる戦争で他国に攻め込まれた際、敵兵に襲われて重傷を負うと言う所謂ザマァ展開なのだが、聖女・シャーロット(ヒロイン)の力によって何とか一命をとりとめる。しかし、シャーロットの力は男主人公・ゼインと愛を育まないと目覚めない。そしてゼインがシャーロットと知り合うにはグレースに捨てられると言うイベントを経ないといけないのだった。親が事業に失敗し多額の借金を背負ったことから貧乏生活を余儀なくされた自分にとってこの物語は唯一の癒しであった。当然推しはゼイン。なのに、寄りにも寄ってそんな彼を篭絡し、飽きたからとポイ捨てする悪女・グレースに転生するなんて。でも、この一連の出来事が起きないとグレースに待っているのは死。せっかくこんなに美人で金持ちに生まれ変われたのに、たかだか1年ちょっとで終わってしまうのは何としても避けたい。推しを裏切り傷つけるのは気が引けるけど、これも破滅回避のため。心を鬼にして主役二人の出会いのチャンスを作るため、強欲悪女として振舞わなければ。だが、沁みついた貧乏性はそうそう抜けない。窓から突き落とされたショックで記憶障害なったのだと説明し、護衛騎士のエヴァンとメイドのヤナの協力を仰ぎ、一先ずゼインとお近づきになるための策を講じた。フるにしたってまずはお付き合いしなければ話にならない。ゼインは真面目でお堅い性格のため、グレースのような女は絶対にタイプではないのだが、二人の交際の経緯はとある事件が切欠となる。両親を早くに失くした彼にとって唯一の肉親の妹マリアベルが誘拐された挙句殺害されてしまうと言う痛ましい出来事があり、傷心の彼をこれ幸いとグレースが近づき見事にモノにしたのだった。そんな彼を後にポイ捨てするとか、この女は悪魔か。元来お人よしの彼女には正直できそうもない。だが、幸い、物語の時期的にマリアベルはまだ生きている。彼女を無事自分が救い出せたたなら、そこを恩に着せ交際に持ち込めるかもしれない。かくしてエヴァンの力を借り、連れ去られたマリアベルを助けたグレース。ゼインにも感謝され、お礼をと言われて当初の予定通り、自分を恋人にして欲しいと頼むのだった。当初は強欲悪女と交際なんてとゼインも内心では困っていたが、マリアベルがグレースに懐き楽しそうなのを見れば無碍にも出来ない。それに訳あって拒食の気があった妹が食事できるようになったのはグレースのアイデアが切欠だ。噂程悪女ではないのかもしれない。ゼインは彼女を見直してからと言うもの次第に心惹かれて行くように。グレース本人にしてみれば少々思惑とは外れたけれど、交際は順調。良心は痛むが、後は来るべき日にゼインをこっぴどくフればいい。そして、並行して前世で漠然とした夢であった子ども食堂建設に乗り出すことにした。この王国にも食うに困っている民は沢山いる。孤児たちは言わずもがな。せっかく有り余るほどお金があるのだから有意義に使わないと。大金持ちなのに倹約家でおよそ悪女らしからぬ行動に周囲の人間を驚かせていく中、ゼインは益々彼女に嵌っていく。やがてタイムリミットが近づき、別れる理由として一応浮気のふりもしておくかと、色男のランハートの協力を得て人目の多い所でデートをしてみれば良い具合にゼインは嫉妬してくれている。これで、ひと月後のパーティーで別れを告げれば完璧だ。そうすればゼインはシャーロットと運命の出会いをするはず。しかし、パーティーまであと数日に迫ったその日、子ども食堂のオープン準備をしていたグレースは最近巷を賑わせている誘拐事件に巻き込まれ・・・。本来のグレースとは正反対の人間性のおかげで悪女のフリをするのも一苦労のヒロイン。破滅回避のために嫌われなくてはいけないのに、噂とはまるで違う彼女に心底惚れて行くヒーローは結局本来の小説の主人公などアウトオブ眼中になっていきそうです。それというのも、このお話多分続きがあります。この巻では正式に正ヒロインは関わってきてないし、身元が明かされていないキャラもいるので、その辺含め諸々次巻に持ち越しになるんじゃないかと。コミカライズ化も決まってますし、全2巻か3巻と予想。悪評ばかりだった強欲悪女と言えど、事故で意識不明になってから人が変わったんじゃ、的な評価に変わっていきそうだし、既にヒーローの妹を助けたことで本来の展開は徐々に変わって来てるのが致命的。どう考えてもヒロインの思惑通りには行かなそう。ヒーローから逃げ回っているヒロインは結局絆されて最終的にはくっつきそうですね。評価:★★★★☆はめふらとか好きな方は楽しめるかと
2023.01.07
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2019年10月刊ビーズログ文庫著者:春志乃さん訳あって引きこもりの伯爵令嬢リリアーナは、極度の女嫌いである侯爵ウィリアムと政略結婚をすることに。ところがお飾りの妻生活を続けていたある日、旦那様が記憶喪失になり、一目惚れされてしまい!?「……わたしのつま、せかいいち、かわいい」「だ、旦那様、どうなさいました?」甘々で過保護になった旦那様とやり直す、夫婦の馴れ初め(ラブストーリー)! ↑楽天ブックスより、あらすじ引用登場人物 リリアーナ=侯爵家に嫁いだ伯爵令嬢。 実家にいた時は家族から虐げられていた。 ウィリアム=王家直属の騎士団の師団長でリリアーナの夫。 大の女嫌いで妻を顧みなかったが、事故で記憶喪失になる。 エルサ=リリアーナの専属侍女。フレデリック=ウィリアムの乳兄弟で執事。エルサとは夫婦。アルフォンス=王太子。ウィリアムの親友で副師団長。長らく積読になっていた本です。TL小説ではなく、ラノベ。一応4巻まで発売されていますが、取り敢えず1巻を読み終わってから購入しようとまだ手元にありません。でもこれで漸く続きを買える。伯爵令嬢のリリアーナが政略結婚でスプリングフィールド侯爵家当主・ウィリアムに嫁いで既に1年経つ。ウィリアムは女嫌いで有名な人物で、式当日に顔を合わせて以来騎士団に寝泊まりしているらしい。元々、とある理由で引きこもりのリリアーナは嫁いでからも外に一切出ず、趣味で唯一の特技である刺繍をしながら夫を待ちわびたが彼に顧みられることはなかった。とは言え、侯爵家の使用人たちは皆暖かく、特に侍女のエルサはリリアーナに心を砕きよく尽くしてくれている。大人しく引っ込み思案ではあるが心優しいリリアーナの代わりにエルサを始め、使用人たちは皆薄情なウィリアムに腹を立て不満を募らせていたのだが、ある日、久しぶりにウィリアムが帰宅。夫のフレデリックと同じくウィリアムとは幼馴染のエルサが一言言ってやろうと意気込んでいたのだが、当のウィリアムは頭に包帯を巻いており様子がおかしい。状況を尋ねるに、転んで頭を打ったとのこと。心配するリリアーナを見つめていたウィリアムは彼女を覚えておらず、医師からは一時的な記憶障害と診断されたのだった。しかし、記憶を失くした影響か、自分の妻だと紹介されたリリアーナに対して、彼は彼女への好意を隠そうともしない態度で周りを驚かせていた。あの女嫌いでとっつきにくいウィリアムは一体何処へ行ってしまったのか。どちらにせよ、この症状がいつ治るか判らない。怪我もしているし、暫くは大事を取って長期休暇となった彼は屋敷で過ごすことになった。数日経ってもウィリアムの症状は一向に良くならなかったものの、その代わりにリリアーナを溺愛。彼女が読書好きと知ると、リリアーナおススメの恋愛小説まで読むように。だが、食事に関してはリリアーナの都合で一緒にはしていない。実は休養を始めてすぐ食事の席を設けたのだが、彼女が直前に体調を崩して以来、叶っていなかった。心配したエルサが事情を尋ねると、リリアーナは長らく伯爵家で躾と言う名の虐待を受けていたことが判明します。婚姻の際、伯爵家の厄介者ということは伯爵から聞いており、ウィリアムも了承していたそうだが、当人は記憶を失っているのでリリアーナの身の上話は初めて聞いたも同じこと。過去の自分はどういうつもりだったのかは不明だが、せっかくクソみたいな家族から離れられたのだから、彼女には幸せになってほしい。そして、そんな彼女を一年もほったらかしにしていた自分は人でなしか。フレデリックやエルサにも散々責められ、ウィリアムは頭を抱えたものの、先ずは愛しいリリアーナの心の傷を少しでも癒すべく、策を巡らせて・・・。記憶を失くしたヒーローが、過去の自分と決別し愛するヒロインの幸せのために奮闘して行くと言うお話。どうしてヒーローが女嫌いの冷血人間になったのか一応理由があって、まぁそうなってしまうのも仕方ないね、くらいの痛手を負っています。なのに、周りにせっつかれて結婚することになって、選んだのは引き籠りで有名なヒロイン。でも彼女にも辛い過去があり、身内は人の心が無いとしか思えない程に彼女を冷遇。この巻のラストでは、そんな二人が心を通わせ夫婦として一からやり直すことを決意して終わってるんですが、ヒロインの家族がヒーローから報復を受けるのは恐らく次巻。私はコミカライズ版となろう版は読んでいて、書籍版はついつい積読に回してました。ので、先の展開は知ってます。正直このヒロインの過去はSMATOONの死に戻り令嬢並みに悲惨なため、そういうのが苦手な方は要注意。(貞操の危機とかでは無いですが胸糞間違いなしなため)評価:★★★★★
2022.11.14
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