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国籍喪失規定「合憲」確定 最高裁、欧州在住8人敗訴外国籍を取得すると日本国籍を失うとした国籍法の規定は違憲だとして、欧州在住の男女8人が日本国籍を持つことの確認などを国に求めた訴訟で、最高裁第1小法廷は原告側の上告をいずれも退ける決定をした。9月28日付。規定を合憲とした一、二審判断が確定した。国籍法は「自分の希望で外国籍を取得したときは日本国籍を失う」と規定し、複数国籍を認めていない。8人はスイスやフランスなどに居住。現地での仕事や生活のために外国籍を必要とする一方、日本国籍を持ち続けることも望んでいた。---国籍喪失規定が違憲かどうか、という話になると、憲法の規定に明示的に半している、とまでは言い切れないかもしれません。が、同時にもちろん憲法が二重国籍を禁じているものでもありません。そして、二重国籍を排除する規定はやめるべきであると私は思います。そもそも、この規定は無意味なものです。一審判決は、二重国籍を容認すると納税義務や外交保護権などを巡って国家間や国と個人の権利義務に矛盾や衝突を生じさせる恐れがある、としたそうです。しかし、現実には大半の国で二重国籍は容認されています。二重国籍によって「納税義務や外交保護権などを巡って国家間や国と個人の権利義務に矛盾や衝突」が発生するのはどこの国でも同じはずですが、それでも大半の国が二重国籍を容認しているのは、その矛盾や衝突はそれほど重大な問題ではない、ということです。それに、日本においても実質的には二重国籍は容認状態です。引用記事にあるとおり、国籍法は「自分の希望で外国籍を取得したときは日本国籍を失う」と規定していますが、逆に言えば自分の希望ではなく外国籍が生じた場合は日本国籍は失わないわけです。国籍に生地主義を採用している国々(南北アメリカ大陸の大半の国やフランスなど)では、その国で生まれれば、両親が外国人でも自動的に国籍が付与されます。日本人の両親から米国滞在中に生まれた子どもは米国籍が生じますし、もちろん日本国籍もあるので二重国籍になります。私のいとこは、メキシコ在住中に次男が生まれたので、その子(というか、もう30過ぎですが)は日墨二重国籍でした。当然自分の意思で外国籍を撮ったわけではないので、日本国籍は失いません。その代わり、一定の年齢までに国籍の選択を行わなければならないことになっています。しかし、この国籍選択手続きには、実質的に意味はありません。まず、この法律の改正が施行された1985年時点ですでに二重国籍であった人は、国籍選択の手続きをしなくても自動的に日本国籍を選択したものとみなされます。(昭和59年附則第3条)そして、国籍選択の手続きを行わなくても、ペナルティはありません。「書面により、国籍の選択をすべきことを催告することができる」という規定がありますが(第15条第1項)、実際にはこの催告が行われたことはなく、もちろん日本国籍が剥奪されたこともありません。更に、国籍選択の手続きをしたとして、それは日本の役所又は日本大使館で手続きをするだけです。日本政府は日本国籍を与えたり剥奪する権限はありますが、外国の国籍を与えたり奪ったりする権限はありません。日本国籍を選択する手続きを行っても、外国籍が消滅するわけではありません。単に、日本の役所が「日本国籍しか持っていない人とみなす」というだけのことです。国籍法は、日本国籍を選択肢したら外国籍からの離脱に努めなければならないと規定しています(16条)が、ペナルティのない努力義務であり、実際に外国籍から離脱する人は少数です。つまり、国籍選択手続きというのは実質的には形骸化しており、わざわざ「外国籍を選択」という手続きを行わない限りは、日本国籍を失うことはないのです。現に日本には100万人近い重国籍者がいると推計されています。それに比べれば、自らの志望で外国籍を取得する人は圧倒的に少数であり、そこの部分だけ二重国籍排除することになんの意味があるのでしょうか。しかも、「自らの志望で外国籍を取得」したとしても、その事実は本人がわざわざ日本の役所、大使館に届け出ない限り、日本の役所が知るすべはありません。つまり、元々少数の「自己の志望で外国籍を取得した人」のうち、律儀に、あるいは馬鹿正直にその事実を大使館に届け出た人だけが日本国籍を失うという、およそ意味の分からない状態になっています。と、このように書くと、国籍国粋主義者たちが「政府の怠慢」を叫ぶのです。政府が何もやらないのが悪い、国籍選択の催告をして国籍を剥奪しろ、というのですが、そんなことができるわけがないのです。そもそも重国籍者がどこに住んでいるか把握するすること自体困難の極みです。国籍法はその場合、官報に乗せることで催告したものとみなし、さらに催告から1か月以内に日本国籍の選択を行わなければ日本国籍を失う、と規定していますが(第15条第2項、第3項)、国籍という人権の根幹部分を、この規定を盾に奪い取るような所業は、さすがの日本政府てもできるわけがありません。しかも、そのようなことをやって、何の意味があるのでしょうか。いま日本は人口減少状態に陥っています。それにもかかわらず、こういう化石化した規定を錦の御旗に掲げて多くの人から日本国籍を奪い、つまり言い換えればさらに日本人の数を減らすことに、いったいどんな政策的合理性があるのでしょうか。ノーベル賞受賞者にも、米国在住日本人が少なからずいるわけですが、南部陽一郎氏など、米国籍を取ったために日本国籍を失った人が何人かいるようです。日本の頭脳ともいえる人たちの日本国籍を奪うことに、どのような政策的合理性があるのでしょうか。二重国籍排除という法体系は見直し、二重国籍容認に転換すべき時が来ていると私は考えます。
2023.10.04
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林外相「在日ロシア人への誹謗中傷やめて」 閣議後会見で訴え林外相が、在日ロシア人への誹謗中傷をやめるよう呼びかけた。林外相「ロシア人であるという理由だけで、排斥したり誹謗中傷することは行わないよう、あらためて呼びかけたい」林大臣は、ウクライナ侵攻以降相次いでいる、在日ロシア人への嫌がらせなどに懸念を示した。そして、「今回の事態はプーチン政権による侵略だ」と強調し、「日本国内に居住するロシア国民からも、侵略に反対する声が上がっている」と指摘した。---自民党の政治家の言い分を好意的に取り上げることは気が引けますが、これは、まったく正しい言い分であると言うべきでしょう。確かにプーチンがウクライナに戦争を仕掛けたことは非難糾弾に値します。当ブログでも、毎回のようにこの問題を取り上げています。ただ、この戦争を主導したプーチンやその政権と軍の指導部と、報道の自由が制約された中で、政府のプロパガンダ的報道しか見ていない中で戦争を支持する一般国民、反対する国民、訳も分からないまま戦場で戦わされている軍人たち、それらの責任が等価であるはずはありません。現状では、前述のとおりロシア国内では政府のプロパガンダに反するような報道がされないため、国内世論はプーチン支持が圧倒的だと言われます。その状況は、あまり想像したくも言いたくもありませんが、日本が将来戦争に加担するような事態になってしまったときに生じるであろう国内状況と同じではないか、と思ってしまいます。その一方で、インターネットで国外の情報に接する機会の多い人たちには、戦争に反対という意見も少なからずあると報じられています。反戦デモが同時多発的に何か所でも生じたり(残念ながら軒並み逮捕されたようですが)テレビ局のディレクターの反戦メッセージなど、これまでには見られなかった戦争反対の動きが、ロシア国内でも見られたと報じられています。どちらかというと、戦争反対の動きは若い世代が中心とも報じられていますが、ロシアの苦戦が明らかになり、軍人の戦死が増えて行けば、その動きはさらに大きくなっていくことが予想されます。もとより、国外に在住するロシア人がプーチン政権のプロパガンダに踊らされていると考える理由はありません。実際、プーチン政権に反対する国外在住ロシア人は数多くいます。ウクライナ支援のデモに参加した在日ロシアも少なからずいたといいますし、ウクライナからの難民に対して通訳を買って出ている人にもロシア人がいると聞きます。そういった、様々な考えを持つ在外ロシア人に対して、十把一絡げに全部排斥を叫ぶのは、かつての「一億総懺悔」と同じで、責任の所在を検証する妨げにしかなりません。まして、ロシア料理店に対する嫌がらせ行為もあったと報じられていますが、こう言うのはあまりに短慮にすぎる行動です。ロシア料理の代表のように思われるボルシチは、発祥はウクライナだそうです。文化的な側面ではロシアとウクライナは非常に近く、ロシアの文化(料理もそう)を否定することはウクライナの文化を否定することです。だいたい、あのゼレンスキー大統領自身、母語はウクライナ語ではなくロシア語です。というか、両言語はかなり近いので、通訳なしでも意志の疎通は可能のようです。だから、前述のようにロシア人がウクライナ難民の通訳を行うことが可能なわけです。だいたい、ロシアから直接攻撃に晒されているウクライナならまだしも、日本は第三者です。だからと言ってプーチンの行動を容認、免罪することはできませんが、一般ロシア人に対して嫌がらせという直接行動をとるのは、明らかにやりすぎです。ロシア人一般に対する憎悪を煽って、この戦争の結末が望ましいもの(ロシアの全面撤退)になある可能性などありません。
2022.04.21
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「長野五輪で5千人の中国人が暴動」は誤り。元航空自衛隊トップが「忘れてはならない」と拡散も、10年前からネットに外国籍の人たちの住民投票への参加に関する議論をめぐり、「長野五輪で5千人の中国人が集合し暴動になった」という情報がSNS上で拡散された。しかし、これは誤りだ。長野五輪で暴動が起きた事実はない。2008年夏の北京五輪の際、長野市内で開かれた聖火リレーで起きた混乱が、1998年冬の長野五輪と混同されたものとみられる。~Twitterで拡散したのは12月13日。元航空幕僚長の田母神俊雄氏の以下のような投稿に、1万5000以上の「いいね」が集まった。「武蔵野市の住民投票条例は~中国が多くの中国人を武蔵野市に集中させれば武蔵野市は乗っ取られる。長野五輪で5千人の中国人が集合し暴動になったことを忘れてはならない」~「長野五輪で5千人の中国人が集合し暴動になった」という言説はたびたび拡散されてきた。1998年冬に開かれた長野五輪で、実際、そのようなことがあったのか?長野県警警備2課は「承知していない」と回答。また、長野市スポーツ課の担当者も「極めて平和的で、そのようなことは一切なかった」と否定している。~長野市内では冬季五輪から10年後の2008年夏、北京五輪の聖火リレーが開かれていた。この際、中国人留学生が全国から動員され3000~5000人が集まった。一方で、中国を批判する人たちの姿も多かった。~同化政策などが問題視されていたチベット・ラサで騒乱が起きたばかりだったからだ。~チベット問題を訴え北京五輪に反対する人たち、国際人権団体、日本の右翼団体なども集まっていた。県警は警備に3000人を投入。盾を持った数人がランナーを守り、さらに100人で人垣を作るなど、厳戒態勢となり、現場は混沌としていたようだ。一連の「小競り合い」で中国人男性4人がけがをしたが、いずれも軽傷だったという。「フリーチベット」と叫んでリレーに乱入した亡命チベット人2世の台湾人や、車道に飛び出した男性、右翼団体の構成員など、6人の逮捕者が出ている。当時の高村正彦外相は聖火リレーについて以下のようにコメントしている。「もっと平穏に行われたら良かったというのはもちろんだが、逮捕者の中に中国人やチベット人は1人もおらず、双方とも暴力はいけないということは徹底していた。警察がきわめて良く警備をしてくれて、たいへん良かった」ーーーまた、例によってデマです。中国のチベットをはじめとする少数民族への圧迫や香港への圧迫に大きな問題があることは疑いありません。しかし、そのことの外国人の住民投票条例の是非やオリンピックの是非、あるいは聖火リレーへの是非は別問題だし、聖火リレーに反対ということと暴力行為の是非もまた別な問題です。そもそも2008年に起きたことを1998年の長野オリンピックの際の出来事と誤認している時点で、「事実ではなく信じたいことに飛びついているだけ」であることは明らかです。「混乱」と「暴動」の境界はいささか曖昧とは思いますが、逮捕されたのが「亡命チベット人2世の台湾人や、車道に飛び出した男性、右翼団体の構成員など、6人」で「逮捕者の中に中国人はいない」という時点で、仮にこれを暴動と呼ぶとしても、その犯人は中国人留学生ではなく批判者の側、ということにならざるを得ないでしょう。繰り返しますが、だから中国がやっていることが正しい、ということではまったくありませんよ。ただ、中国がやっていることが悪いから批判者の所行が正しい、ということにはならないし、まして武蔵野市の条例の是非とは関係ないことです。外国人登録者の中で中国人がもっとも多いとはいえ、全体の3割にも満たないですから。中国人が危険だから(という思い込みで)残りの7割超を含む全外国人に権利を与えないのが合理的とは言いかねます。そもそも、「中国が多くの中国人を武蔵野市に集中させれば武蔵野市は乗っ取られる。」これって言いがかりですよ。第一に、そのような行為の現実性です。何も中国人に限らず、特定の主義主張の持つ主を一つの自治体に集めて多数派を形成するって、すぐに考えつきそうなやり口です。選挙の度に支持母体の信者が住民票を動かしていると噂される、某与党もあります。でも、実際それで一つの選挙区に何千人も何万人も転入させるなんて、できるわけがないのです。居住の実態と住民票の所在地が不一致なんて人は世の中に大勢いますが、そのほとんどは転居後も元の住所に住民票を置きっぱなし、というもの(学生の下宿など)で、何らかの事情で親兄弟子どもの家に便宜上住民票を置く、というのがそれに次ぎます(親が自宅を引き払って介護施設に入所したが、住民票は介護施設に移さず子の住所におく、など)。赤の他人が住民票を置いている住所に住民票を置くことは基本的には出来ないし、「居候を認めた」などと口裏を合わせてそれをやったとしてもできるのは1人または1世帯だけで、何世帯もそこに転入することなどできません。結局、その地域に融通の利く親族も知人もいない人が実態のない住所移転などできないのです。その自治体に何の縁もない外国人が大量に転入なんて、絵空事もいいところです。第二に、問題になっているのは地方参政権です。住民投票で条例の制定はできますが、その条例は国の法令に反しないものに限られます。国の法令に反する条例を作って独立国状態になる、なんてことはできません。その程度の条例制定に影響力を求めて外国人の大量転入なんて、得られる利益にたいしてリスクと不利益が多過ぎで、妄想の極みとしか言いようがありません。そりゃ、ネトウヨどもが気に入らない内容の住民投票が、僅差の勝負のところ外国人有権者票が鍵となってギリギリ賛成多数という結果になることが絶対ない、とは言いません。しかし、ネトウヨどもが気に入らない、ということと法令に反するか否かは別の問題です。ネトウヨどもがどんなに気に入らない内容だったとしても、法令に従った条例が賛成多数で成立することに、何の問題もない、としか言いようがありません。
2021.12.29
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「外国籍取得したら日本国籍喪失」は違憲 8人提訴へ日本人として生まれても、外国籍を取ると日本国籍を失うとする国籍法の規定は憲法違反だとして、欧州在住の元日本国籍保持者ら8人が国籍回復などを求める訴訟を来月、東京地裁に起こす。弁護団によると、この規定の無効を求める訴訟は初めてという。弁護団によると、原告はスイスやフランスなどに住む8人。すでに外国籍を得た6人は日本国籍を失っていないことの確認などを、残り2人は将来の外国籍取得後の国籍維持の確認を求めている。原告側が争点とするのは「日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う」とした国籍法11条1項の有効性だ。原告側は、この条項が、「兵役義務」の観点などから重国籍を認めなかった旧憲法下の国籍法から、そのまま今の国籍法に受け継がれていると主張。年月とともに明治以来の「国籍単一」の理想と、グローバル化の現実の隔たりが進んだ、としている。(以下略)---二重国籍をめぐる問題は、蓮舫の二重国籍「問題」の際に記事を書いたことがあります。基本的には、わたしは二重国籍は容認されるべきであると考えています。それが「憲法違反」とまで言えるかどうかは、正直に言ってやや疑念を感じますが、日本の国籍法の「二重国籍を認めない」というタテマエは、実質的には意味がないのが実態です。日本の国籍法は、日本国籍と外国籍の二重国籍について、以下のように規定しています。第11条 日本国民は、自己の志望によつて外国の国籍を取得したときは、日本の国籍を失う。2 外国の国籍を有する日本国民は、その外国の法令によりその国の国籍を選択したときは、日本の国籍を失う。第14条 外国の国籍を有する日本国民は、外国及び日本の国籍を有することとなつた時が二十歳に達する以前であるときは二十二歳に達するまでに、その時が二十歳に達した後であるときはその時から二年以内に、いずれかの国籍を選択しなければならない。2 日本の国籍の選択は、外国の国籍を離脱することによるほかは、戸籍法の定めるところにより、日本の国籍を選択し、かつ、外国の国籍を放棄する旨の宣言(以下「選択の宣言」という。)をすることによつてする。元々日本国籍しか持っていなかった人が、自己の意思で外国籍を取得すると、日本国籍を失います。(第11条第1項)おそらく、引用記事で提訴するという方は、大半がこのパターンなのだろうと思います。しかし、自己の意思によらず外国籍を付与された人は、一定年限までに日本国籍を選択する宣言を行えば、日本国籍を失うことはありません。(第14条第1項)ひょっとすると、提訴された方の中には、この国籍選択手続きの際、外国籍を選択して日本国籍を失った方(第11条第2項)もいるかもしれません。「日本国籍を選択して外国籍を放棄する」という宣言はあくまでも日本の国内法に基づく手続きであり、そこで日本国籍を選択しても、本当に外国籍を失うわけではありません。国籍に関する権限はその国の政府にしかないのであって、日本政府に、日本以外の国の国籍を与えたり奪ったりする権限はないからです。一応は、日本国籍を選択した場合は、「外国籍の離脱に努めなければならない」という努力義務はあるものの、努力義務でしかなく、実際に外国籍離脱を求められることはありません。更に、国籍選択には経過措置があって、1985年(国籍法が改正された年)以前から二重国籍だったものは、国籍選択手続きを行わなくても、自動的に日本国籍を選択したものとみなされます。また、外国人が日本に帰化した場合も、元の国籍からの離脱は、日本国籍取得後の努力義務に過ぎません。もちろん、自己の意思で外国籍を取得した場合でも、その事実を日本の行政機関に届け出なければそれまでです。そうやって、外国籍を取得しながら日本国籍も維持している人は、おそらく海外在住者などに相当数いるのでしょう。つまり、現状は、自己の志望で外国籍を取得して、その事実をわざわざ律儀に日本政府(在外公館や市区町村役所・役場)に届け出た人、国籍選択の際にわざわざ外国籍を選択と届け出た人だけが日本国籍を失う、という運用実態になっているわけです。だったら、外国籍を取得しても黙っている、国籍選択の際には「日本国籍を選択します」と宣言だけしておくか、そもそも選択手続きを行わなければよい(運用の実態としては、期限までに国籍選択の宣言をしない二重国籍者に対して督促することもありません)ということになります。簡単に言えば、バカ正直なごく一部の人だけが日本国籍を失い、大半の人は二重国籍になっている、ということです。国籍法国粋主義者の中には、行政がきちんと調査しないのがけしからん、などと空理空論を述べるものがいますが、。そんなことは明らかに実行不可能なのです。外国籍の有無を調べる権限も能力も、日本政府にはありません。日本政府が外国の政府に対して「うちの国民の××さんがおたくの国の国籍を持っているかどうか」なんて照会したところで、絶対に回答はもらえません。主権と個人情報の問題です。逆に外国の政府が日本に対してそんな照会をしたところで、やはり絶対に回答しないでしょう。このように、国籍法の二重国籍を排除しようという規定は、まったく意味を失っているのが現実なのです。また、それによって二重国籍者が多数存在することで、何か不都合なことがあるかというと、何もないのが現実です。だったら、このような実効性のない無意味な規定は撤廃して、二重国籍を公式に容認すべきであるとわたしは思います。
2018.02.26
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「笑ってはいけない」浜田の黒塗りメイクが物議 黒人作家が語った不安 年末恒例のお笑い番組「笑ってはいけない」シリーズ。~2017年のテーマは「アメリカンポリス」。ダウンタウンの浜田雅功が、肌を黒くメイクして登場した。~バイエ・マクニールさんは、こんなツイートで「ブラックフェイス」(黒塗りメイク)に反対した。日本は好きだ。13年住んだし、日本に良いことが起きるように祈ってる。2020年オリンピックで黒人アスリートのためにブラックフェイスのドゥーワップをやらかすんじゃないかって真剣に不安だ。いますぐやめろお願いします #StopBlackfaceJapan #日本でブラックフエイス止めて」~マクニールさんは、アメリカ・ニューヨークのブルックリンに生まれ育ったアフリカ系アメリカ人だ。2004年に来日して以来13年間、横浜に暮らし、作家・コラムニスト・教師として活動している。~アメリカでは1800年代以降に、顔を黒く塗った白人が、黒人役を演じる「ミンストレル・ショー」が人気を博した。しかし、「人種差別的だ」とされて廃れ、いまではすっかり「差別だ」という評価が定着している。マクニールさんが指摘するのは、そのことだ。(以下略)---ダウンタウン、とりわけ松本人志は私がもっとも嫌いな芸能人の一人(今回問題になったのは浜田の方ですけど)です。ただ、さすがに黒人を侮蔑する意識でこんなことをやったわけではないでしょう。要するに、米国ではそのような行為が黒人差別の一環として行われていたこと、だから現在では黒人ではないものが黒人のメイクをしてパフォーマンスを行うこと自体が差別的に見られていることを、単純に知らなかったのでしょう。知らなかったのなら、指摘されてしまった今、誤りを正すべきでしょう。日本国内で日本人だけの間で生活している限り、黒人差別を実感するようなことはありませんが、それは我々の周囲に黒人があまりいないからに過ぎません。今や年間2000万人をはるかに超える外国人が来日している(2017年は11月までの時点で2600万人)時代に、米国における黒人差別という、世界の差別問題の中でもきわめて著名な問題に関して、かくも鈍感な番組を公共の電波で放送して、そのままでよいとは思えません。ところが、この問題をめぐる外野のやり取りを見ると、番組を擁護する意見が少なくないようです。中でも一番信じ難い言い分がこれです。池田信夫のツィッターより「人権派」は、どうして表現の自由という人権に無頓着なのか。「弱者」のためなら強者(と彼らが考える人々)の人権は侵害されてもいいのか。---池田の暴言は今に始まったことではないけれど、これ正気で書いているのでしょうか。この主張を延長していけば、25歳の屈強な青年と3歳児が(あるいは80歳の要介護の老人が)殴り合いをするのが「1対1の公平で平等な喧嘩だ」ということになりかねません。肉体的物理的な暴力は言うに及ばずですが、それがなくても、強者が弱者を罵倒したり揶揄、嘲笑する行為は、一般的な日本語では「弱いものいじめ」と言います。池田の言い分は「弱いものいじめをする自由を守れ」ということです。表現の自由は完全な無制限ではありません。だからこそ、名誉毀損やプライバシー侵害、セクハラ、パワハラなどが不法行為として指弾され、民事裁判で損害賠償を命じられたり、よほどひどい場合には刑事罰を受けたりするのです。権利には、「公共の福祉」という制約が伴います。公共の福祉の定義は諸説あり、拡大解釈されることも多々ありますけれど、少なくとも「他人の権利を侵害する自由」が認められないことは間違いありません。とりわけ、強者(より大きな権限を持つもの、より大きな経済力を持つもの、指揮命令系統の中で上位に立つもの)が弱者に対してそのような行為を行うことは、認められてはならないことです。上司が部下に対して怒鳴り散らし、それに対して部下が上司に反撃したとしたら、両者の非は同等にはならないのは当然のことです。ひるがえって「黒塗り」騒動を考えると、どうも、日本のお笑いには、(もちろん、すべてがそうではありませんが)この種の弱いものいじめを笑いのネタにする傾向が強いような気がします。特に、ダウンタウンは弱いものいじめ芸の傾向が強いように私は感じます。そのことが、人権に関する感覚を摩滅させ、このような番組を差別の自覚なく放送してしまう元凶になったのではないでしょうか。
2018.01.07
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曽野綾子さん「移民を受け入れ、人種で分けて居住させるべき」産経新聞で主張2月11日付の産経新聞コラムで、作家の曽野綾子さんが、日本の労働人口が減少している問題について触れ、移民を受け入れた上で、人種で分けて居住させるべきだ、と主張した。「近隣国の若い女性たちに来てもらえばいい」と今後需要の増える介護について移民を受け入れる一方、「移民としての法的身分は厳重に守るように制度を作らねばならない」とした上で、もう20〜30年も前に南アフリカ共和国の実情を知って以来、私は、居住区だけは、白人、アジア人、黒人というふうに分けて住む方がいい、と思うようになった。(産経新聞 2015/02/11付 7面)と住居の隔離とも取られかねない主張を展開している。さらに、南アフリカでアパルトヘイト(人種隔離政策)の撤廃後、白人専用だったマンションに黒人家族が一族を呼び寄せたため、水が足りなくなり共同生活が破綻し、白人が逃げ出したという例を出し、「人間は事業も研究も運動も何もかも一緒にやれる。しかし居住だけは別にした方がいい」と締めくくっている。---問題の記事は、紙の紙面のみに掲載されているらしく、産経新聞のホームページには出ていません。なので、私はこんな素ん晴らしい記事が出ていた、という話に、恥ずかしながら騒ぎが起こるまで気が付いていませんでした。なお、検索するとコラムの全文を読むことは可能です。正直なところを言えば、どうせあの産経新聞とあの曽野綾子の組み合わせなんだから、記事の内容は最初から予想がつき、かつ予想を裏切らない内容だな、というのが感想です。驚きも意外さもない、クズ新聞とクズ作家の組み合わせからはクズ記事しか生まれないという法則を再確認しただけの話です。私自身は、移民の受け入れ問題に関しては、積極的に移民を拡大すべきではないけれど、日本に多くの外国人が流入している現状は動かしようがないし、その前提の上で今後のことを考えていくしかない、と考えています。まあ、消極的現状追認というところでしょうか。だけど、こんな、「居住区だけは別」などという公然たる差別をしてまで移民受け入れを拡大などすべきではありません。あえて南アフリカの例を引いて、引用記事のようなことを書いているのは、「アパルトヘイト時代のほうがよかった」と言っているのと同じです。これを差別主義と呼ばずして何と呼ぶのか。ちなみに、「白人専用だったマンションに黒人家族が一族を呼び寄せたため、水が足りなくなり共同生活が破綻し、白人が逃げ出したという例」は、元々の記事によれば「白人やアジア人なら常識として夫婦と子ども二人くらいが住むはずの区画に20~30人が住みだした」ことが原因だそうです。そもそも、曽野綾子が思っている「夫婦と子ども二人くらいが住む」という「常識」は、子どもが2人しかいない家族での常識であることは言うまでもありません。ほんの数十年前までは、日本だって子どもが5人も10人もいる家は珍しくなかったし、ヨーロッパだってそういう時代はありました。子どもの数が減り、1世帯の世帯員の数が減ってきたのは、簡単に言えば経済的に豊かになった結果です。南アフリカで黒人世帯の世帯員が多いとすれば、それは人種とか民族の問題ではなく、単に黒人の所得水準が白人より低いことが原因です。そうなったのは、白人が支配階層として黒人を抑圧していたからであり、つまり白人自身が、黒人に対してそういう生活風習を強いてきた結果だといっても過言ではないでしょう。ちなみに、アパルトヘイトが撤廃された1991年当時、南アフリカの合計特殊出生率は3.53でしたが、2012年には2.41まで下がっています。だから、1世帯あたりの世帯員の数も、20年30年前よりは減ってきているんじゃないかと思います。(数字はこちらのサイトから引用)日本においても、私の知る範囲内でいうと、来日外国人も短期の不法滞在者はともかく、永住者や長期滞在者になると、家族構成はどんどん日本人化するようです。日本より合計特殊出生率がずっと高い国からやってきた人であっても、日本に住むと出生率はどんどん下がる。ところで、フランスにおいて、イスラム圏出身の移民だけが集まって住む地域の現状について、少し前に紹介したことがあります。あまりに根の深い問題これなど、まさしく曽野綾子が望みを実現したようなものですが、その結果はどうでしょうか。このような差別と貧困の蔓延が、イスラム過激派に人々がなびく温床になり、ひいてはシャルリー・エブド事件のようなテロを生み出しているといっても過言ではないように思われます。曽野綾子が言っていることは、これと同じ状況を日本でも作り出せといっているのに等しい。住むところだけ分けて、差別や貧困を一部の地域に押し込んでみたところで、人間は自由に移動できるのですから、問題の発生を一部の地域だけに押し込むことなんかできるわけがありません。「人間は事業も研究も運動も何もかも一緒にやれる。しかし居住だけは別にした方がいい」という結論に至っては、失笑するしかありません。居住を一緒にできない(「一緒」といっても、同居という意味ではなく、近隣住民になるという意味なのに)のだとしたら、どうして事業や研究や運動が一緒にやれるのか。たとえば一緒に仕事をするとなったら、その接する時間は近隣住民同士よりはるかに長くなります。その他、引用記事には言及されていませんが、原文には、介護の仕事について、「高齢者の面倒を見るのに、ある程度の日本語ができなければならないとか、衛生上の知識がなければならないということはまったくない」などということが書かれています。これもまた、唖然とする話。言葉が通じなくて、どうやって対人援助をやるのか、少なくとも「業」として賃金を得て行う仕事なのに、衛生上の知識なしで介護とかどうしてそういう理屈が成り立つのか。結局のところ、極右オヤジ(曽野綾子は女性ではあるが、発想の本質がとてもオヤジ的に感じます)の床屋政談をそのまま活字にしました、というレベルに過ぎないわけです。保守論壇とかいうのは、こういうレベルで金が取れるんだから、オイシイ世界だなあ。
2015.02.14
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「外国人に生活保護受給権なし」最高裁が初判断永住資格を持つ外国人に生活保護法上の受給権があるかどうかが争われた訴訟の上告審で、最高裁第2小法廷(千葉勝美裁判長)は18日、「生活保護法の適用対象は日本国民に限られ、外国人は含まれない」との初判断を示し、受給権を認めた2審の判断を取り消す判決を言い渡した。生活保護申請を却下した大分市の処分取り消しを求めた中国籍の女性(82)の敗訴が確定した。各自治体は裁量で、永住資格を持つ外国人に生活保護に準じた措置を取っており、判決の影響は事実上ないとみられる。原告の女性は出生時から日本で生活しており、2008年12月、大分市に生活保護を申請。十分な預金があるとして却下されたため、取り消しを求めて提訴した。1審・大分地裁は訴えを退けたが、2審・福岡高裁は「永住資格を持つなど、日本人と同様の生活を送る外国人には生活保護を受ける法的地位がある」と認め、却下処分を違法とした。この日の判決は「生活保護法を外国人に適用する根拠はない。行政措置によって、事実上の保護対象になり得るにとどまる」と判断した。---大筋において、「そんなところだろうな」というのが感想です。この判決の趣旨には、少なくとも反対ではありません。個人的には、日本生まれの外国人(国籍が日本ではない、というだけで実際は日本人と変わらない)に対しては日本人と同様の取扱いをすべきと思う一方、来日外国人、特に成人して以降自分の意思で来日した外国人(日本人世帯の一員である場合を除き)の生活保護には、どうしても違和感を感じざるを得ないのです。裁判になった問題の女性は、日本生まれで日本語が母語で国籍だけが中国籍、とのことですから、こういう人が生活保護を受けることに関しては、違和感は感じません。もっとも、それ以前の問題として、引用記事によれば、原告の女性が提訴に至ったのは「2008年12月、大分市に生活保護を申請。十分な預金があるとして却下された」ことが原因だそうです。具体的な預金額は報じられていませんが、定めれた基準以上のお金を持っていれば生活保護は受けられないのは、外国人も日本人も同じことです。別報道によれば、この女性は実際にはその後生活保護の受給が認められているそうです。却下の原因となった預金を使い果たしたのでしょう。この経緯を見れば、原告の女性は、外国人だから生活保護の申請を却下されたわけではないことが分かります。彼女が日本人だったとしても、同じ結果にしかなっていないはずです。(具体的な預金額が分からないと確実にはいえませんけど)しかし、判決そのものの是非はともかくとして、この判決の趣旨について、ものすごく勘違いしている意見が、ネット上には満ち溢れているようです。すなわち、「外国人は生活保護を受けられなくなった」「外国人の生活保護は廃止になる」等々です。判決を伝えるマスコミの報道をちゃんと読めば、そのような理解はまったく間違いだ、ということはすぐ分かります。上記の引用記事にも各自治体は裁量で、永住資格を持つ外国人に生活保護に準じた措置を取っており、判決の影響は事実上ないとみられる。って書いてあるじゃないですか。引用されている判決要旨にも行政措置によって、事実上の保護対象になり得るにとどまると書かれています。生活保護を受給する権利はないが、行政の裁量によって生活保護に準じた取扱い(生活保護の準用)はできる、ということです。簡単に言えば、今までの運用を追認した、ということに過ぎず、この判決は画期的な内容でも何でもないのです。どこにも誤読する余地などないように思えるのですが、なぜ、かくも多くの人たちが「外国人の生活保護は廃止」などと誤読してしまうのか、大いに謎です。報道の見出しだけを見て本文を見なかったのかも知れませんね。聞いたところによると、早速、「外国人の生活保護は廃止にしろ」という電話やら何やらがジャンジャンかかってきている福祉事務所もあるらしいですけどね。権利として認められていなくても、実際には可能である、なんてことは、世の中にいくらでもある話です。例えば、憲法第26条にはすべて国民は、法律の定めるところにより、その能力に応じて、ひとしく教育を受ける権利を有する。2すべて国民は、法律の定めるところにより、その保護する子女に普通教育を受けさせる義務を負ふ。義務教育は、これを無償とする。という規定があります。「すべて国民は」教育を受ける権利があり、子女に教育を受けさせる義務がある、のですから、外国人には教育を受ける権利も受けさせる義務も規定されていません。でも、日本の公立小中学校には、外国籍の児童生徒は大勢いるじゃないですか。外国人の子どもには教育を受ける権利は保障されていないけれど、「権利がないから日本の学校に通わせない」なんてことは行われていません。また、外国人には、日本に入国する権利は保障されていません。これは、憲法に明文の規定はありませんが、常識的に言って外国人に対して入国の自由を保障している国なんてないし、日本でも判例はそうなっています。しかし、だからと言って日本は鎖国をしているわけではなく、現に多くの外国人が日本にやってきています。それとも、外国人の子どもは日本の学校から追い出せ、外国人を一切入国させるな、ということなのでしょうか。ネトウヨはそんなことを言い出しかねない感じもしますが、現実にそんなことが不可能であることは言うまでもありません。
2014.07.24
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日本は外国人労働者や移民の受け入れをどうすべき?日本の産業構造はどうあるべきなのかに直結している外国人労働者や移民の受け入れ問題。日本は外国人労働者や移民の受け入れをどうすべきだと思いますか?---こんな意識調査があるわけです。私は、Yahoo意識調査には時々回答するのですが、この設問には正直言って回答を迷うな、というところです。現実を一切無視して、理想論のみを言えば、「外国人労働者を一切受け入れないで済むなら、その方がよい」ということになります。が、現実に今、すでに相当の外国人労働者が入ってきている。じゃあ、彼ら彼女らを日本から追い払うのか。そんなことは不可能です。「日本人にだって職がないのに」と、言われることもありますが、雇用のミスマッチなどと言われるように、給料が安すぎて、ほとんど外国人しか働き手がないような仕事もあります。そういう賃金の安い状態を放置して、そういう職種はどんどん外国人にやってもらえ、というのは、ちょっと問題だと思う反面、そうは言ったって、今現に働いている人たちを追い払うようなことは不可能だし、強行すれば経済がガタガタになることは間違いない。少子化対策に移民拡大、みたいな意見を目にすることもありますが、基本的にそれは短期的な一時しのぎの解決策でしかないと思われます。まず、中国、台湾、韓国、タイ、ブラジルなどは合計特殊出生率が2を切っています。つまり、これらの国々からの移民が、日本人よりずっと多くの子どもをも可能性は低い。フィリピンやインドなどは出生率が高いですが、当然のことながら日本に生活するようになって1世代経てば、日本人と同様出生率が下がってくることが予想されます。長期的にはあまり意味はない。がしかし、短期的に10年20年程度の期間なら、意味はあるでしょをう。というわけで、外国人労働者受け入れ拡大というのは、メリットもデメリットもあって、どちらがよい、ということは一概に言えないように思うのです。ただ、移民大幅拡大でジャンジャン受け入れろというのは望ましいとは思わない、外国人労働者などまったく受け入れるな、今いる人も追い返せ、というのは実現性がない。そう考えると、結局は、現状維持か多少増大方向か程度の選択肢しかないのが現実だろうと思います。この問題に限ったことではないけれど、なかなかオールオアナッシングで簡単に二者択一の選択ができない問題というのは、世の中に数多くあるわけです。それを、スパッと「こっち」と言えればいいのですが、そう単純には言えないな、ということが私の心の中にも増えてきています。自分自身の主義主張が、そう単純明快ではなくなってきた、ということでしょうかね。
2014.03.12
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http://www.yomiuri.co.jp/national/news/20100522-OYT1T00285.htm朝鮮学校への街宣「地裁決定違反は100万円」市民団体「在日特権を許さない市民の会」(在特会、本部・東京)が、京都朝鮮第一初級学校(南区)の周辺で児童らを中傷する街宣活動をした問題で、地裁は、こうした活動を禁じた地裁の仮処分決定に違反した場合、在特会に1日あたり100万円を支払わせる決定をした。19日付。3月24日の仮処分決定は在特会に対し、同校の200メートル以内で拡声機を使うなどして同校関係者を非難、中傷することを禁じている。しかし、その後も同様の街宣活動があったため、同校が、違反行為に対して制裁金を科す「間接強制」を地裁に申し立てていた。同校の弁護団は「100万円という額は通常、暴力団組事務所の使用差し止めに関する間接強制で決定されるもの。違法性の高さを裁判所が評価したものと言える」としている。---------------北朝鮮という国がやっていることに非常に問題があるのは疑いのない事実ですが、だからといって、北朝鮮に反対する人たちがやっていることが正しいのかというと、必ずしもそうではありません。その典型が、この「在日特権を許さない市民の会」です。彼らは自らの「街宣活動」をYouTubeで公開しています。かなり反吐の出そうな内容だし、アクセス数アップに寄与したくもないのですが、この連中がいったい何をやっているのか、知っておくのも悪くはないでしょう。http://www.youtube.com/watch?v=Rt8y4GILKAchttp://www.youtube.com/watch?v=ow0Zeulwiuoこれが、「街宣」なのだそうです。自分たちがいかに愚劣な存在かを宣伝するような、こんな動画を、喜々として自ら公開しているんだから、話になりません。ほとんどヤクザと変わるところがないような罵声の内容です。こんな連中の「街宣」にまとわりつかれたら迷惑どころの騒ぎではない。記事にある「100万円という額は通常、暴力団組事務所の使用差し止めに関する間接強制で決定されるもの」というのも、もっともな話です。しかし、驚くべくことに、こんな「デモ」に若い女性なども参加しているようなんですね。いったいどういうことだと思ってしまいます。ところで、最初の動画の中に西村修平という人物が紹介されています。この人物が代表を務めるのが「主権回復を目指す会」、最近は「在特会」と一体となって活動しているようです。(彼とは、東京地裁前で何度か激突したことがあるんですけど、まあその話は措いておきましょう)その主権回復を目指す会の掲示板に、なかなかおもしろいことが載っています。http://www.shukenkaifuku.com/info/main.cgi?mode=thr&no=17排外的ナショナリズムとは民族の生存本能である 投稿者:主権回復を目指す会事務局(略)もはや排外的ナショナリズムに立脚しなければ各企業はおろか各地域社会、さらには国を担える日本人は育てられない。 かねがね街頭行動の場において「行動する社会運動」でも「街宣王子」の異名をとる金友隆幸氏(維新政党・新風東京都本部世田谷支部長)は次のように述べる。「排外というのは主義や思想ではないんです! その民族が自然に持つ、要素として備えた反応です! 身体が悪い病気に冒されればそれを排除しようと体内で抵抗が作用する! それと同じことが日本という民族についても言えます! 『害人』とも言うべき外国人という悪い病原菌が増えればそれを排除しようとする作用が必ず働く! 支那人、朝鮮人を叩き出せは当然の反応じゃないですか!動物学でもそうです! シマウマがライオンの子を育てますか? イルカがサメの子を育てますか? 絶対にあり得ません! 日本という民族においても支那人や朝鮮人など異民族を育てる道理はないし、それを排除する動きが起きるのは当然のことでしょう!」(以下略)---------------排外主義と批判されて、居直りを始めたというわけです。「排外というのは~その民族が自然に持つ、要素として備えた反応」というのはなかなか笑える主張です。だって、日本民族というのはどこから来たか、人類という生物は日本で生まれたわけではなく、アフリカで誕生しているんですからね。全ての日本人は、ルーツをたどればアフリカに行き着きますし、その過程で99%の日本人のルーツは、中国大陸を経由しています。(フィリピンあたりから直接日本にたどり着いたご先祖様もいると思うし、比較的近年欧米からやってきた人も皆無ではないので、中国経由が100%とは言えませんが)シマウマとライオン、あるいはイルカとサメというのは生物学的にまったくかけ離れた別種(シマウマとライオンは目のレベルで、イルカとサメは綱のレベルで分かれる)ですが、日本人と中国人あるいは朝鮮人というのは(いわゆる黒人と白人、黄色人種なども)、まったくの同一種です。現生人類というのは、生物学的に言うときわめて均一な遺伝子をもつ生物集団です。たとえば、チンパンジーと人を比較すると、チンパンジーの方が遙かに遺伝的多様性に富んでいます。アフリカ大陸の東端と西端のチンパンジーの遺伝子的な差異は、アフリカと南米の人間同士の遺伝子的な差異より遙かに大きい。現生人類は、今から約15~20万年ほど前に誕生した、かなり新しい種であり、またある時期に絶滅寸前に至り、ごく少数の集団になったことが原因だと言われています。それでも、ヒトの中でもっとも遺伝的多様性が高いのはアフリカ人(いわゆる黒人)です。それに対して、アジア人とヨーロッパ人(いわゆる黄色人種と白人)は更に遺伝的に多様性が乏しい。シマウマがライオンの子を育てないのは当たり前ですが、「それと同じことが日本という民族について」言えるわけがないのです。言えると思っているのは差別主義者だけ。人間集団(民族)間の違いというのは、文化的な違いであり、文化的な違いなんてものは生物学的な違いとは異なり、いくらでも相互交流が可能です。また、相互交流がなければ、現在の我々の文化、文明はない。我々日本人が使っている文字(漢字)や食事(米)の起源はどこにあるのかを考えれば、そんなことは当たり前のことです。別に日本人だけではありません、世界の全ての民族が、相互に周辺の民族と影響し合い、入り乱れて、現在の人類の文化や文明が築かれたのです。こんな幼稚な「似非動物学」を信じているような輩の知的レベルというのは、いったいどうなっているんでしょうね。
2010.05.22
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http://www.asahi.com/politics/update/0418/TKY201004170390.html外国人参政権「先祖へ義理立てか」 石原知事が与党批判石原慎太郎・東京都知事は17日、東京・大手町のホールであった永住外国人への地方参政権付与などに反対する集会で、親などが帰化した与党幹部が多いとした上で、「ご先祖への義理立てか知らないが、日本の運命を左右する法律をまかり通そうとしている」と発言した。石原知事は、出席した自民党の地方議員ら約450人に「帰化された人や、お父さんお母さんが帰化された、そのお子さんという議員はいますか」と質問。「与党を形成しているいくつかの政党の党首とか、大幹部は多い」と話した。石原知事はこれまでも、地方参政権付与反対を繰り返し発言しており、この日は「参院選では、まさに外国人に参政権を与えるか与えないかが問題になる」とも述べた。-----------石原が差別主義者でファシストであるのは、今に始まった話ではありません。かつて、石原が国会議員であった時代、同じ選挙区から立候補していた新井将敬候補の選挙ポスターに、石原の公設秘書が指揮して「北朝鮮から帰化」というシールを貼って回るという事件がありました。この公設秘書は公職選挙法違反で送検されています。新井将敬は、当時の石原と同じ自民党の所属でした。しかも、新井議員が帰化したことは事実ですが、「北朝鮮から」というのはデマです。秘書にこういうことをやらせて平然としているような人間であれば、「(帰化した人が)与党を形成しているいくつかの政党の党首とか、大幹部は多い」などと平然と言ってのけるのは当たり前のことでしょう。だいたい、帰化帰化って、日本人はみんな、遡れば必ず大陸からの渡来人にたどり着きます。人類は日本で誕生したわけではないので、我々の祖先は一人の例外もなく、全員大陸から渡ってきたのです。石原の祖先も私の祖先もみんな同じです。人間は自分の生まれを選べません。石原は、別に日本に生まれたくて生まれてきた訳じゃない。たまたま日本に生まれたってだけのことです。外国籍の子どもだって、外国籍の子に生まれたくて生まれてきたわけではない。100代前の祖先から日本に住んでいると、親の代から日本に住んでいる人よりそんなに偉いのか、と言いたいです。そんなことしか自慢できることがないのか、と思う。本当に精神の貧困な人間です。私の東京都民です。こんな人物を都知事にいただいていることは、(ただの一度も投票したことはないとはいえ)都民として、本当に恥ずかしい。
2010.04.19
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http://mainichi.jp/select/today/news/20100211k0000m010071000c.html外国人地方選挙権:自民、都道府県連に「反対採決」を指示自民党の石破茂政調会長は10日、党本部で開かれた全国政調会長会議で、永住外国人への地方選挙権付与などに反対する意見書の採択を地方議会に促すよう各都道府県連に指示した。自民系が多数を占める地方議会を足場に鳩山政権を揺さぶる狙いがある。石破氏は「多数で何でもできるという民主党政権を一日も長く続けさせてはいけない。怒りの声を地方からも上げてもらうのが肝要だ」と強調した。反対意見書の例として、外国人地方選挙権のほか、陳情窓口の民主党幹事長室への一本化▽子ども手当の地方負担▽農家の戸別所得補償制度--なども示した。------------まあ、法案への賛否は各党の自由であり、反対となれば意見書採択でも何でも、自由にやればよい、それが民主主義のルールではあります。ただし、世論調査の結果を見る限り、外国人地方参政権には基本的に賛成が多数であり、しかも、以前の日記でも取り上げたように、自民党自身が、かつては外国人地方参政権推進の意見書に賛成していた例もかなりあります。それにも関わらず反対というのは、党利党略のために主張をコロコロ変えるということであり、また極右派の主張に賛同しているということでもあります。ネット右翼の支持ばかり多くても、現実社会ではあまり意味がありませんから、自民党は着々と自滅への道を歩んでいるように思えます。それにしても、石破茂の「多数で何でもできるという民主党政権を一日も長く続けさせてはいけない。」という発言は笑えます。自民党のあなたがそれを言うか、と。自民党こそ、多数の横暴で何でもやってきた政権ではないですか。とりわけ酷かったのが安倍内閣。ちょうど1年間の間に、18回もの強行採決を繰り返しました。まさに数の力でやりたい放題でした。そういう首相を党首にいただいていた政党の閣僚経験者が、よくこんなことを言えるなあと思います。
2010.02.10
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実は、mixiにて、あるマイミクさんの日記へのコメントから、外国人参政権反対派の間で、面白い物語が流布していることを知りました。その内容は、以下のとおりです。---------------外国人参政権のある重大な問題点は、もうどこかで誰かが言っているだろうとか、そろそろ知れ渡るだろうと、昨年から高をくくっていたのですが、いっこうにネットで見当たらず(ということはマスメディアではもちろん見当たらず)、タイムリミットが近づいてきてしまい、危機感を強めたため書き込みします。私の妻は永住許可を持つカンボジア人ですが(私は外国人参政権に反対です。妻は関心がありません。)、現在の外国人登録制度がどうなっているかと申しますと、まず、日本人の場合には、旧住所から新住所に住民票を移すと、役場から役場へ通知連絡がいくわけです。ところが永住者といえども外国人の場合は、「外国人登録」という言葉通りに登録制なのです。結論から先に申しますと、いくつの自治体にも登録できます(利用できる住所があれば)。パスポート側にもどこの自治体で登録したなどの記載は残りません。住民票にあたる「外国人登録原票記載事項証明書」にも過去の住所録は載っていません、届けませんから。外国人ですから住所を生まれた時まで辿る必要がないという建前はわかりますが、昨年、自民党や法務省が登録法を変えようとしたときに民団、総連が反対した理由がわかる気がします。いくつでも現住所が持てるのです。対馬に在日韓国人が住所をみんなで移したらどうするだという意見がありますが、移す必要すらありません。新たに加えるだけです。これHもちろん、本当に住んでいる場所以外は収入がありませんから、生活保護の不法受給にも悪用可能です。住民基本台帳に入っていませんので自治体が変わると検索の仕様もありません。横浜で暮らし、川崎で生活保護を受けて、両方で選挙権を行使する。 現在の制度では可能です。もし既知の事項でしたら長文の失礼お詫び申し上げます。最近も区役所に行きましたが、単にパスポート上の、入国管理局が発効した滞在許可の種類、期間を確認するだけで、外国人登録証が貰えます。そして登録されます。引っ越し前の住所など書く必要がありません。入国管理局で一括管理しようとしたら、民主、公明が反対して、潰したと記憶してます。なぜ反対だったか国民はわからなかったんじゃあないでしょうか?これは 大変だ!!-----------------えー、そりゃ大変だ(笑)この文面、検索してみると、あちこちに転載されまくっていることが分かりますが、なかなか巧妙なデマであります。単にご本人が知らないで勘違いしているだけかも知れませんが。「住民票にあたる『外国人登録原票記載事項証明書』にも過去の住所録は載っていません」とありますが、日本人の住民票にだって、過去の住所録なんて載っていません。それが載っているのは戸籍の附票です。外国人の場合も「外国人登録原票記載事項証明書」には過去の住所録は載っていませんが、その原簿である「外国人登録原票」には過去の住所録が載っています。そして、この外国人登録原票は、住居地変更の手続きをとると、前住地の役所から現住地の役所に送付されることになっています。役所から役所に、ちゃんと通知が行くのです。外国人登録法には、このことが以下のように規定されています。(居住地変更登録)第八条 外国人は、居住地を変更した場合(同一の市町村の区域内で居住地を変更した場合を除く。)には、新居住地に移転した日から十四日以内に、新居住地の市町村の長に対し、変更登録申請書を提出して、居住地変更の登録を申請しなければならない。2 略3 略4 市町村の長は、第一項の申請があつたときは、旧居住地の市町村の長に対し、すみやかに当該外国人に係る登録原票の送付を請求しなければならない。5 前項の規定による請求を受けた市町村の長は、請求をした市町村の長に対し、すみやかに当該外国人に係る登録原票を送付しなければならない。6 市町村の長は、第二項の申請があつたとき、又は前項の規定による登録原票の送付を受けたときは、当該外国人に係る登録原票に居住地変更の登録をしなければならない。7 略-----------では、外国人登録の二重登録は絶対不可能かというと、来日したばかりの新規外国人登録なら、ひょっとすると不可能ではないかも知れません。実際のところ、本当に可能かどうかは分かりません、不可能と断定できるだけの知識と根拠をわたしは持っていないというだけです。外国人登録の窓口の現場で、そういう二重登録を防ぐ何らかのチェックをかけているのかどうかは、知りません。ただし、そんなことをしても、本人に何かメリットがあるとは思えません。よほど変な物好きでもない限り、そんなこと馬鹿馬鹿しいことはやらないんじゃないかな。外国人地方参政権との絡みで考えるなら、二重登録など問題になりません。なぜなら、今議論されている外国人地方参政権の対象は、永住者に限られるからです。特別永住者は、1945年以前から引き続き日本に住んでいる人と、その子孫(生まれたときから日本在住)に限られますし、一般永住者も、ビザが取れるのは日本居住歴が10年以上というのが原則であるようです(日本に対して特別な貢献があった人は、居住歴5年で永住ビザが取れるようですが)。いずれにしても、日本に長期居住していなければ、永住者の資格は得られません。つまり、来日したばかりの外国人が永住資格をもっているはずがないので、永住者の資格を持つ外国人がどこかの自治体に「新規の」外国人登録を行うということも、あり得ないわけです。そんなことをやろうとしたら、その瞬間にウソがばれる。ちなみに、検索したら外国人登録の変更届の様式も見つかりました。ちゃんと、居住地の変更前変更後の記入欄があります。
2010.01.13
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20100112-00000037-mai-pol<外国人地方参政権>通常国会に法案提出方針…平野官房長官平野博文官房長官は12日午前の記者会見で、永住外国人に地方参政権を付与する法案について「(通常国会に)提出すべき検討法案の一つに政府として考えている」と述べ、18日召集の通常国会に政府として提出する方針を明らかにした。外国人参政権を巡っては、小沢一郎幹事長が11日の政府・民主党首脳会議で「日韓関係を考えても、政府が姿勢をみせるためにも閣法(政府提出法案)で出した方がいい」と通常国会に法案を提出するよう強く促した。鳩山由紀夫首相は12日午前、首相公邸前で記者団に「(今年が)日韓併合100年というタイミングでもあるということをもって、いろいろと検討している最中だ」と述べた。民主党はマニフェスト(政権公約)の原案である「09年政策集」に永住外国人への地方参政権付与を盛り込んでいる。ただ、与党内には異論もあり、提出までには曲折も予想される。------------------法案提出と表明した以上は、是非提出して欲しいですね。このブログでも過去何度もこの問題を取り上げていますが、わたしは外国人地方参政権付与に大賛成です。民主党内と国民新党には反対派も多少いるようですが、社民党と、野党の共産党、それにおそらく公明党の賛成も期待できるので、提案されれば可決する可能性が高いと思われます。賛成の理由、反対派の主張の間違いについては、以前書いたとおりです。ところで、少し前の記事ですがhttp://www.asahi.com/politics/update/0108/TKY201001070489.html外国人参政権、14県議会が反対 「保守」掲げ自民主導47都道府県のうち14県議会で、昨年の政権交代以降、永住外国人の地方参政権の法制化に反対する意見書を可決したことが、朝日新聞の調べでわかった。このうち7県はかつて、賛成の意見書を可決している。いずれの可決も自民県議が中心になった。夏の参院選や来春の統一地方選に向けて、民主との違いを際だたせようとする狙いがある。(中略)自民党石川県連幹事長の福村章県議は「政権交代で状況が変わった」と話す。「かつて賛成したのは、法制化が現実的ではなかったから。賛成を要望した人の顔を立てておけと安易に考えていた」 衆院選の大敗後、自民の谷垣禎一総裁は「保守」を掲げて党再生を目指す。党本部は「問いあわせがあった県連には可決された意見書を送っている」と話す。反対の意見書を提出した埼玉県の自民県議は、党本部から意見書案を入手したという。「民主は中がバラバラだから」と、民主を揺さぶる狙いがあったとも話す。(以下略)--------------「賛成を要望した人の顔を立てておけと安易に考えて」外国人参政権推進の意見書可決、その同じ党が「政権交代で状況が変わった」から今度は反対の意見書だという、これほどみっともない話はありません。政策に対する賛否は人それぞれ、各党それぞれだから、自民党が反対だというならそれはそれで一つの意見ではありますが、こういう安直な打算で主張をコロコロ変えるのはどうなのか。それにしても、先の総選挙で、敗色濃厚の自民党に最後のトドメを指したのは、「保守」色を丸出しにした民主党に対する醜悪なネガティブキャンペーンだったと私は思うのですが、自民党自身はそうは思っていない様子ですね。谷垣禎一も、安倍晋三と総裁選を争ったときには、ちょっとリベラルっぽい風を装っていたけれど、化けの皮が剥がれてみれば、本性はこんなものか、という感じです。自民党は是非極右路線まっしぐらに突き進んで、せいぜいネットウヨクの篤い篤い支持だけを獲得し、世間一般には見放されて消え去っていってください、って感じです。健全な民主政治には、強力な野党の存在は不可欠ですが、それが別に自民党でなければならない必然性などありませんから。以前の日記にも書きましたが、これだけ連日民主党政権がマスコミにたたかれ続けて、鳩山内閣の支持率も下がってきているけれど、民主党の政党支持率は自民党のほぼ倍です。民主党にも問題はあるかも知れないけれど、自民党は問題の外だ、ということです。
2010.01.12
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毎日新聞が11月21・22日に実施した世論調査では、外国人地方参政権付与への賛否は賛成59%、反対31%となっています。------------------永住外国人に地方参政権を与えることについて、毎日新聞が21、22日実施した全国世論調査で賛否を尋ねたところ、59%が賛成と答え、反対の31%の倍近くに上った。鳩山内閣を支持する層では64%、支持しない層でも54%が賛成だった。民主党や公明党は永住外国人に地方参政権を与える法案の国会提出を検討しており、調査では民主党支持層の61%、公明党支持層の84%が賛成と回答した。公明党は政府・与党が法案を出せば協力する構えを見せており、民主党政権の誕生によって法制化の機運は高まっている。ただ、野党第1党の自民党内には外国人参政権への反対が強く、自民党支持層は賛成49%、反対42%と回答が二分した。民主党支持層も33%が反対と答え、こうした意見が同党内の根強い慎重論につながっているようだ。年代別にみると、30~50代の6割以上が賛成する一方、70代以上では賛成が46%と半数を割り、世代間の温度差も示した。------------------自民党支持層ですらも、回答は二分といいながら、賛成が反対を上回っています。フジテレビ系のFNN世論調査でも永住外国人に地方参政権を与えること実現すべきと思う53.9%思わない34.4%わからない・どちらともいえない11.7%となっています。日本人の過半数は、概ね外国人地方参政権付与に賛成しているようです。わたしも、外国人地方参政権付与には大賛成です。反対派の言い分は、まったく賛同できません。(以前の日記も参照)だいたい、地方参政権を得るであろう永住外国人の総数は、2008年現在で91万人あまりに過ぎません。(一般永住者49万人、特別永住者42万人)日本の総人口約1億2000万人に対して、その0.76%を占めるに過ぎません。もちろん、地域的には、外国人多住地域ではもっと人口比の高いところもあるでしょう。それでも、人口の過半数を永住外国人が占めているなんて自治体はありません。日本でもっとも外国人比率が高いのは大阪市生野区とされますが、wikipediaの記事によると、区の総人口134,994人、外国人登録者数は31,562人(いずれも2008年9月現在)で、比率は21.72%に過ぎません。しかも、これは全外国人総数であって、地方参政権の対象となる永住外国人は、それより更に少ない。その上、大阪の区というのは行政区であって、独立した自治体ではありませんから、区議会もないし公選の区長もいません。大阪市議会89議席のうち、生野区の定数は5、大阪府議会112議席のうち、生野区の定数は2です。仮に、全外国人が一致団結して同じ候補者を支援したとしても、「外国人代表議員」は1議席生まれるかどうかというところです。しかも、現実には全ての外国人が一致団結して、なんて、あり得ないもいいところです。日本人だって自民党支持者もいれば民主党支持者もいる、ネットウヨクもいれば左翼もいるというのに。外国人地方参政権を認めれば日本が外国人に乗っ取られる、なんて話は、まったくあり得ない妄想でしかない、ということです。
2009.11.28
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091106-00000062-jij-pol外国人参政権法案の提出検討=会期延長も-山岡民主国対委員長民主党の山岡賢次国対委員長は6日午前、自民党の川崎二郎国対委員長と国会内で会談し、永住外国人に地方参政権を付与するための法案について、議員立法での今国会提出を検討する考えを伝え、協力を求めた。川崎氏は、持ち帰って党内で協議した上で回答するとした。山岡氏はこの後、記者団に対し、30日までの今国会会期の延長を検討する意向も示した。------------------外国人地方参政権は、民主党内と国民新党にも反対派が存在する反面、野党の公明党・共産党も賛成(法案の内容次第でしょうが)、自民党内にも賛成派が皆無ではない状況から考えて、法案が提出されれば、成立する可能性が高いと思われます。過去の日記にも書いたことがありますが、私は外国人地方参政権付与に大賛成です(あくまでも地方参政権です。国政については、また話は別)。なぜなら、外国籍と言えども定住資格を持つ方は、その地域の住民の1人であり、その地域の政治に対して発言権があってしかるべきと思うからです。特に、日本生まれの「外国人」は、日本の国籍制度が血統主義(その国の国籍をもっている親の子どもに限り国籍が与えられる)をとっているために制度上「外国人」にされているだけで、実質的には日本人とほとんど変わりません。国籍制度が生地主義(その国で生まれた人は一律に国籍が与えられる)であれば、彼らは日本人なのです。本来であれば国籍制度に生地主義の要素を取り入れて、日本に正規の在住資格を持つ両親から生まれた子どもには、自動的に日本国籍を付与すべきと私は思いますが、そのような国籍制度改正の動きは目下のところありません。であれば、せめて個別の課題について、日本人と同等の権利を認めていくしかないと私は思うのです。ところで、外国人参政権反対派の主張を見ると、外国人地方参政権は憲法違反だとあります。しかし、これは間違いです。「公務員を選定罷免する権利を保障した憲法15条1項の規定は、権利の性質上日本国民のみをその対象とし、右規定による権利の保障は、我が国に在留する外国人には及ばないものと解するのが相当である」「憲法93条2項にいう「住民」とは、地方公共団体の区域内に住所を有する日本国民を意味するものと解するのが相当であり、右規定は、我が国に在留する外国人に対して、地方公共団体の長、その議会の議員等の選挙の権利を保障したものということはできない」というのが最高裁の判決(平成7年2月28日)です。権利の保障は~外国人には及ばない外国人に対して~権利を保障したものということはできないというのが判決です。言い換えれば国は外国人に対して地方参政権を認める必要はない、ということです。どこをどう読んでも、外国人に対して地方参政権を認めてはいけない、とは書いていません。「認める必要はない」と「認めてはならない」は違います。それを混同してはなりません。最高裁の判決は外国人に地方参政権を与えてはならない、などとはまったく言っておらず、従って外国人地方参政権付与は、憲法違反ではありません。
2009.11.07
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http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091010-00000004-maip-soci在留特別許可 奈良市在住の中国人姉妹に 敗訴確定後残留孤児の子孫として両親と来日後に在留資格を取り消され、国外退去を命じられていた奈良市在住の中国人姉妹に、千葉景子法相は9日、在留特別許可を出した。最高裁で退去命令の取り消し請求訴訟の敗訴が確定しており、支援団体によると、敗訴確定後に在留を認められたのは埼玉県蕨市のフィリピン人、カルデロンのり子さん(14)ぐらいで、極めて異例。姉妹は、帝塚山大1年、北浦加奈(本名・焦春柳)さん(21)と、大阪経済法科大1年、陽子(同・焦春陽)さん(19)。退去命令は取り消され、定住者資格で1年間の在留が認められた。在留は独立して生計を営むなどの条件を満たせば更新できる。大阪入国管理局や支援団体によると、日本での就労が可能になり、再出入国許可を得れば中国などへの出国も認められる。姉妹は97年、母親(47)が「長崎県出身の中国残留孤児(故人)の四女」として、家族で中国・黒竜江省から正規に入国。その後、大阪入国管理局が「残留孤児とは血縁がないことが判明した」として一家の上陸許可を取り消し、03年9月に国外退去を命じられた。父親(43)が強制収容され、一家は同年12月、退去処分取り消しを求めて大阪地裁に提訴したが、1、2審で敗訴し、最高裁も上告を棄却。父親は大阪府内の高校に通う姉妹を残し、妻と来日後に生まれた三女の3人で中国に強制送還された。加奈さんは「紙一枚だが、(退去命令を受けてから)6年間の重みを感じる」。陽子さんは「家族に早く伝えたい」と話した。----------------------------このニュースを巡って、例によってごく一部のネット「世論」が沸騰しているようです。それも、例によって勘違いの事実認識に基づいて、民主党政権批判と結びつけて悲憤慷慨している人が少なくないようです。そもそも、在留特別許可という制度は、正規の在留資格を持たない外国人(オーバーステイとか密入国とか、いわゆる「不法滞在者」)に対して「特別」に在留を許可する制度です。従って、まさしくこの姉妹のような人に在留許可を出すためにこそ、このような制度があるのです。出入国管理及び難民認定法第50条(法務大臣の裁決の特例)第五十条 法務大臣は、前条第三項の裁決に当たつて、異議の申出が理由がないと認める場合でも、当該容疑者が次の各号のいずれかに該当するときは、その者の在留を特別に許可することができる。一 永住許可を受けているとき。二 かつて日本国民として本邦に本籍を有したことがあるとき。三 人身取引等により他人の支配下に置かれて本邦に在留するものであるとき。四 その他法務大臣が特別に在留を許可すべき事情があると認めるとき。この、四が今回の事例にあたることは、言うまでもありません。この制度は別に民主党が作ったわけではありません。自民党政権が作った法律に基づいて運用されています。記事にもありますが、著名な前例として、カルデロンのり子さんの例があります。あのときの法務大臣は誰でしたか?自民党の鳩山邦夫です。カルデロンのり子さんの例は、たまたま大々的に報じられたので多くの人が知るところとなりましたが、実は法務省のサイトに在留特別許可が認められた事例、認められなかった事例が掲示されています。これを見れば、カルデロンのり子さんばかりではなく、同様に在留特別許可が認められた例が他にもたくさんあることが分かります。なお、条文中に明示されているように、「異議の申出が理由がないと認める場合でも」認めることができるのが特別在留許可です。従って、今回の事例のように(カルデロンのり子さんの例も同様)異議申し立てが裁判にまで及んで、敗訴したけれど在留特別許可を認める、というのは、この制度の主旨に則った決定といえます。それ以前に、ネット上で悲憤慷慨している人たちは、最高裁が出した判決の中身も知りはしないようです。最高裁は、「2人の姉妹は国外退去すべし」などという判決は出していません。不法入国者を強制退去させるのは刑事罰ではなく行政処分ですから、裁判所が「強制退去させる、させない」などと判断することはありません。最高裁の判決は、「法務省の決定は間違っていない(裁量権を濫用していない)」ということです。もっとかみ砕いて言えば「法務省の裁量で処分していいですよ」というのが判決の主旨です。だから、法務省の裁量で在留許可を認めることも、この判決と何ら矛盾しません。問題の姉妹は、現在21歳と19歳。つまり来日(12年前)の時点では9歳と7歳です。当然、本人の意志などではなく親に連れられて来日したことは明らかです。すでに中国での生活より日本での生活の方が長く、日本の学校に通っており、おそらく言葉も日本語が母語になってしまっているであろうことは想像に難くありません。この状況から考えても、在留特別許可を出すのは当然であろうと私は思います。
2009.10.12
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カルデロンさんを巡る問題の更に続編になります。ご両親に関して言えば、不法入国、不法滞在を行ったという事実は(それが犯罪とまで呼ぶに値するかどうかはともかく)確かにあります。しかし、こども(のり子さん)には何の罪もありません。人間は、自分の親も生まれる境遇も選ぶことが出来ません。不法滞在者の子どもに生まれるという選択を、彼女自らが行ったわけではありません。にもかかわらず、子どもの学校までデモ隊が押し掛けるとは、どういう了見かと思います。さて、私はできることなら3人に在留許可が出ればいいと思っていたわけですが、しかし結果としては、のり子さんだけに特別在留許可が出て、両親は出国命令によって帰国しました。この件についてはモトケンブログのエントリに詳しい説明が出ています。特別在留許可とは、そもそも「密入国や不法滞在などで入管法に違反して日本に滞在している人」を対象に在留の許可を与える制度なのだそうです。従って、のり子さんに特別在留許可を出すことは、まさしく制度の主旨に則った運用なのです。もちろん、不法滞在者の誰にも特別在留許可が認められるわけではありません。実際にどのような事例に特別在留許可が出るかについては、法務省のサイトに出ています。いずれもやむを得ない事例であり、カルデロンのり子さんの場合も同様です。日本で生まれて日本で育ち、一度も日本を離れたことがない、彼女の「国籍」はフィリピンかも知れないけれど、「母国」はどう考えても日本でしょう。しかも、不法滞在者の子どもに生まれたというのは本人の選択でもなんでもない。それらの点を考慮して、法務省は彼女に特別在留許可を出したわけです。一方、両親の方は、残念ながら在留許可は出ませんでした。ただ彼らも強制送還されたわけではありません。入管法第25条の3に、出国命令という制度が規定されています。強制送還だと、入管の収容所に何日間か放り込み(維持費がかかる)、送還のための飛行機代も法務省が立て替え払いします。あとで本人に請求は行くのですが、本人に支払い能力がないなどの事情で結局は踏み倒しになってしまう可能性が高い。そこで、「悪質度」の低い不法滞在者については、所定の手続きによって身柄を拘束しないので、自分のお金で帰国の航空券を買って帰って下さい、という制度です。カルデロンさんの両親は、この出国命令によって、身柄を拘束されることなく(いったんは入管に出頭して拘束されたのですが、自費で帰国することを確約して、その日のうちに釈放されている)みずから帰国したわけです。ちなみに一連の問題については、カルデロンさんをよく知るであろう地元の人は、一家に好意的で、在留許可を求める嘆願書が6000通集まった上に、彼らの住む蕨市議会も、特別在留許可を求める意見書を全会一致で採択しているようです。
2009.04.19
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前回の日記の続きになりますが、不法入国、不法滞在は犯罪か?という問題を考えてみたいと思います。もちろん、不法入国や不法滞在は法には触れますから「違法」ではあります。しかし、法に触れる行為は全て「犯罪」でしょうか。例えば自動車のスピード違反や駐車違反は道路交通法違反です。しかし、スピード違反を犯すものは犯罪者でしょうか。未成年者の飲酒喫煙も違法です。では、19歳の大学生が飲酒喫煙を行ったら犯罪者でしょうか。(だとしたら、私自身も含めて日本国民の大半が「犯罪者」になります。社会的な合意としては、高校生までの飲酒喫煙は問題ありと見られますが、高校卒業したら、酒煙草についてはほぼ成人並でしょう)サービス残業(の強要)は労基法違反ですし、是正されなければならないと強く思いますが、しかしサービス残業が横行する企業や指示する経営者は「犯罪企業」「犯罪者」でしょうか。法に触れる行為の全てについて「犯罪者」とレッテルを貼られるいわれはないのです。では、不法入国・不法滞在はどうでしょう。堀江謙一という冒険家がいます。多分多くの方がご存じでしょう。初めて、ヨットで単独太平洋横断を成し遂げた方です。その後も数々の冒険に乗り出していますが、最初の太平洋横断の時(1962年)、彼は日本を密出国したのです。当時、日本は海外渡航を自由化しておらず、ヨットで太平洋横断という彼の冒険計画には、パスポートが発給されなかったのです。パスポートがないんだから、日本を密出国しただけでなく、米国への到着も密入国です。日本側では、当初、そのことを非難する論調が多かったようで、海上保安庁は、彼が日本に「送還」され次第逮捕する方針と、当時のマスコミには報じられていました。ところが、海上保安庁や大半のマスコミの論調とは裏腹に、堀江謙一は米国で「密入国」容疑で逮捕されることも送還されることもありませんでした。大冒険を成し遂げた人物として賞賛され、「英雄」として帰国の途に付いたのです。その結果、日本国内でも、彼の「犯罪」を非難する論調は消し飛び、海上保安庁も彼を逮捕はしませんでした。海上保安庁が、当初は本気で堀江謙一を逮捕するつもりだったことは確実です。事実、その3ヶ月前、金子健太郎という無名の冒険家が、やはりパスポートのないままドラム缶で作った筏で太平洋横断に乗り出したのですが、出発するとすぐに、海上保安庁の巡視船に拿捕されて、密出国の容疑で彼は逮捕されています。成功と失敗は紙一重です。堀江謙一も、もし日本の領海近辺で巡視船に発見されていれば、同様に拿捕されたことは確実です。逆に金子健太郎が成功していれば、ドラム缶筏ならヨット以上に歴史的快挙となったでしょう。不法入国を行う者が「犯罪者」だというなら、偉業を成し遂げた堀江謙一も、実際に逮捕された金子健太郎も犯罪者ということになるでしょう。もちろん、私は彼らを犯罪者とはまったく思わないわけですが。追記冒険家と不法入国と言えば、植村直己を忘れるわけには行きません。彼は単なる不法入国ではなく、米国で不法就労して捕まった経験があります。ただし、米国の入管職員の温情で強制送還は免れたようですが。
2009.04.18
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かつて、私の知り合いに、あるペルー人がいました。多分、私の音楽関係の知り合いは彼のことを覚えている人が多いと思うのですが、とてもまじめな青年で、日本で何年くらいだろう、多分5年か6年働いたのかな。チャランゴとギターを弾く人ではありましたが、仕事は他に定職を持っており、音楽はあくまでも趣味でした。一度、グルーポ・インカコーラの助っ人を頼んだこともありますし、フォルクローレ関係の集まりにもちょくちょく参加していました。確か9年前のことだったと思いますが、関東フォルクローレ連盟の主催するコンサート「アンデスのこだま」に、彼があるグループのメンバーとして出演する予定になっていました。ところが、本番の2~3週間前になって、そのグループのリーダーから電話がかかってきました。私に、助っ人として出演してくれないかというのです。そりゃいったいどうしたことかと思ったら、その彼が捕まったというのです。そのときはじめて知ったのは、彼、実は不法滞在だったのです。どこからか密告されたのか、入管に捕まって収容所に入れられてしまったのでした。で、コンサートに出られなくなってしまったので、私に助っ人の依頼が来たわけです。不法滞在は、法に触れることは事実です。強制退去処分はこの場合、仕方がなかったのかも知れません。でも、私はこの彼が「犯罪者」であるとか「悪人」であるとかは、まったく思わないのです。多分、彼を知る多くの人がそうだったでしょう。帰国後も、そのグループのリーダーはペルーまで彼を訪ねていったこともあったし、多分今でも手紙の交流くらいは続いているんじゃないかな。さて、話は変わりますが、最近、埼玉県蕨市のフィリピン人、カルデロンさん一家の不法滞在問題がマスコミやインターネットを賑わせました。結局、両親は帰国、娘の中学生のり子さんは特別在留許可で日本に残留ということで決着を見て、この13日にご両親はフィリピンに帰国しました。この決着が良いか悪いかは、いろいろな意見があるでしょうが、ともかくも当人と法務省の合意の上での決着ですから、まあ仕方がない。ところが、いよいよこの両親が帰国するその2日前の11日に、「在日特権を許さない市民の会」と称する極右団体が、この一家の地元で「犯罪外国人・犯罪助長メディアを許さない国民大行進 in 蕨市」なるデモ行進を行ない、のり子さんの通う中学校にまで押し掛けたというのです。いくら何でも、自宅周辺や子どもの通う学校にまで押し掛けるか??こんなの脅迫ではないですか。ほとんど反吐が出そうなくらい醜悪な連中です。「在日特権を許さない市民の会」というのは、会長が桜井誠という人物だそうで、あとは西村修平、村田春樹、瀬戸弘幸といった、お決まりの右翼連中です。彼らに良心とか良識とかの持ち合わせがないのは今に始まった話ではないですけどね。私も何度か、彼らの醜悪さをこの目で見ています。しかも、「犯罪外国人・犯罪助長メディアを許さない」と言っている西村修平自身が犯罪者だし。(威力業務妨害と暴行罪で懲役1年6ヶ月、執行猶予5年の判決を受けています。不法滞在よりはよほど重い犯罪と思います)こういう連中をのさばらせてはいけない、それだけは強く思います。YouTubeに彼らのデモの様子がアップされているけれど、再生回数を増やすこと自体がしゃくだからアクセスしませんし、リンクも貼りません。
2009.04.16
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高校生のとき、同級生から、突然「俺、実は外国籍なんだよ」と言われたことがあります。それほど親しかったわけではなく、何で突然そんなことを私に言ったのかは分かりませんけれど、それで原付の免許証を見せてくれたのです。詳細な表現は忘れましたが、本籍地の欄だったでしょうか、確かに外国籍であることを示す表示がありました。名前(本名)はごく普通の日本人の名前でした。どういうことかというと、彼の母親は日本人、父親は外国人だったらしいのです。(確かフィリピン国籍と言っていたように記憶しています)当時国籍法の規定は父系血統主義で、父親が日本人なら日本国籍が取れましたが、母親だけが日本人では日本国籍が取れなかったのです。(父親が日本人でも、母親が外国人で婚外子の場合は現在と同様の制約がありました)それで、彼は日本国籍にならなかった。調べると、国籍法が父母両血統主義に改められ、母親だけが日本人でも日本国籍が取れるように改正されたのが、1984年5月のことでした。私が高校2年生の時です。おそらく、その時彼も日本国籍が取れるようになったのだろうと思います。私は当時そんなことは知りもしませんでしたが、彼にとってはおそらく重大な関心事だったに違いありません。父親が日本人なら日本国籍を与えるけど母親が日本人でも日本国籍は与えません、というのは、実にあからさまな男女差別ですが、それが戦後39年も経った1984年まで放置され続けてきたのです。しかし、その後も婚外子に対する差別は部分的に残っていました。今回やっとそれが改められたわけです。小さな一歩とは言え、一つの前進には違いない。今回の国籍法改正については、反対派がネット上でずいぶん騒いでいましたが、国会が(自民党の大部分も含めて)正しい判断を下したことに、まずはほっとしています。しかし、今回の件で驚いたのは新党日本の田中康夫議員と、無所属の川田龍平議員が反対票を投じたこと。田中議員は、長野県知事時代には大いに支持していた(長野県民ではないから投票したことはないけれど)し、川田議員には、前回の参議院選で投票しようかなと思っていた(結局別の人に投票したけれど)のです。何というか、ちょっとがっかり。訂正・追記旧国籍法について(父親が日本人でも、母親が外国人で婚外子の場合は現在と同様の制約がありました)と書きましたが、これ不正確でした。制約は現在と同様ではなく、現在以上。旧国籍法には現在の第3条1項の規定がなかった。つまり胎児認知とか、生後認知+父母の結婚では国籍が取れなかった。父親が日本人でも婚外子には一切国籍が付与されなかったようです。
2008.12.07
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というわけで、昨日の続きなのですが、このサイトに、国籍法改正反対の論理がある意味分かりやすく掲載されています。引用すると、1 DNA鑑定等の科学的根拠が不要(DNA鑑定を設けていないの)で、日本国籍の取得が容易かつ無制限に可能。2 出生後に認知された「子供」にも国籍を付与される = 満19歳で認知 → 国籍取得も可能3 罰則が20万円以下の罰金、懲役1年以下とかなり緩やかで、抑止効果は無きに等しい4 科学的根拠に基づく証明手段がなく、自己申告である認知と聞き取り調査のみなので虚偽の申請を見抜く確実な方法が無いだそうです。(番号は私が便宜上付加しました)1どう考えても日本国籍の取得が容易かつ無制限に可能ではありません。今までより多少容易であることは確かですが、依然として敷居はそれほど低くはない。まして、無制限ではないことはいうまでもありません。2はそのとおりです。20歳未満で国籍取得が可能という法案ですから、19歳なら当然国籍が取れます。そのことの何が問題なのか、私には理解できません。3については、偽装認知という行為は他にも様々な法律に反することになります。従って、実際には併合罪でこれより遙かに重い処罰が待っていることになります。http://anond.hatelabo.jp/keyword/%E5%81%BD%E8%A3%85%E8%AA%8D%E7%9F%A5における法務省倉吉民事局長の答弁によると、国籍取得にあたって、三つの手続きが必要となる。1. 認知届(父親が認知したことが戸籍にのる)2. 国籍法上の国籍取得届3. 戸籍法上の国籍取得届(日本国籍となった子供を戸籍にのせるための手続き)1. と3. が偽装であった場合、公正証書原本不実記載罪が成立となる。いわゆる偽装認知、1.から3.までが偽装であった場合、1. 5年以下の懲役、または50万円以下の罰金2. 1年以下の懲役、または20万円以下の罰金3. 5年以下の懲役、または50万円以下の罰金みっつのが併合罪となるので、妥当な罰則であると考えている。(偽装認知を行った場合、併合罪で最大7年6ヶ月以下の懲役、120万円以下の罰金)とのことです。4科学的根拠に基づく証明手段がない、というのも、それがどう問題なのか私には分かりません。母と子(実子)の関係というのは、非常に明確で分かりやすいですが、父と子の関係というのは、それほど明確で分かりやすいわけではありません。結婚している男女の間に産まれた子どもの父親は、当然に母親の夫であるとみなされますが、科学的根拠を振り回してDNA鑑定をやれば、おそらく全体の1%や2%程度は、「実は本当の父親は・・・・・・・・」という例が出てきたとしても、不思議はありません。父と子の関係は、実は科学的根拠としての「血筋」に基づいているのではなく、ある種の「信用」に基づいています。さて、上記のサイトには国籍法改正案の「悪用パターン」なるものも掲載されています。なかなか面白いです。国籍売買目当ての虚偽だった場合 ・父親(当然故意) ・母親(当然故意) ・子供(幼児か当然故意の成人) 認知届の場合、役所はプライバシーの観点からそのまま受理する つまり告発者がいない すなわち偽装認知だと分からない →法務省はそのまま受理などしません。それは現状でもそうですし、国籍法が改正されても同様です。------------------------893(ヤクザ)が海外から子供大量に輸入して 少女売春宿を作る。 なんなら買い上げの交渉にも応じると。 ロリコン天国ニッポンの到来。→そういう種類の犯罪は現在でも存在すると思うのですが、売春防止法、児童福祉法その他の法律に反するれっきとした犯罪であり、それは被害者の日本国籍があろうがなかろうが同じです。犯罪が取り締まられないとすれば、警察の意志または能力の問題であって、国籍法の規定がどうなっているかは無関係です。------------------------悪用例 ロリ趣味ショタ趣味の人が海外渡航 ↓ 借金の形や身よりのない子供を買う ↓ 認知して日本に輸入 ↓ 合法的に遊び道具として自宅監禁 →自宅監禁は非合法です。合法的に自宅監禁なんてあり得ません。------------------------父親、海外の子供を認知(DNA鑑定不要)種付け不要の認知ビジネスが横行する ↓母親と子供入国。日本国籍を取得した子供を盾に居座る ↓親族一同も日本へやってくる ↓国内のあちこちに外国人スラム街誕生 ↓スラム街に大量の税金投入→昨日紹介したサイトによれば、子が認知されたからと言って母親に自動的に在留許可が下りるわけではないとのことです。まして、子どもが国籍をもっているからと言って親戚一同に在留許可が下りるはずなどないことは言うまでもありません。------------------------父親、海外の子供を認知(DNA鑑定不要) ↓入国させた子供に不法商売を強要 ↓警察は不法滞在での取り締まりができずに手出し不可(「俺の子供だ」と言えば民事不介入となるため) ↓子供、地獄から脱出不可能 →子どもは「不法滞在」ではないとしても、「不法商売」(具体的にどのようなものかは分かりませんが)は取り締まりの対象になるでしょう。「俺の子ども」だろうが誰の子どもだろうが、「不法商売」の取り締まりに民事不介入も何もありません。そんなことを言えば、日本人が自分の子どもを使って「不法商売」をやっても取り締まり不可能ということになってしまいます。------------------------日本国籍を取得した子供がまた外国人の女性と結婚ループ増殖 ↓国内のあちこちに外国人スラム街誕生 ↓モスクなど宗教施設が立ち上がり宗教対立底辺層での労働問題多発・パイの取り合い→増殖などと、人間をモノ扱いする表現はいかにも差別的です。このような事態は、現行の法制度の元でも論理的には起こり得ます。最初の「日本国籍を取得した子供がまた外国人の女性と結婚」という部分を「日本人と偽装結婚した外国人女性の子どもがまた外国人女性と結婚」と置き換えればいいだけですから。------------------------外国勢力が問題ある人間を新・日本人に金を渡して認知犯罪が横行してもアメリカのように拳銃所持もないので自衛ができない国は国民の安全保障・保護をしなかった謝罪と賠償を(ry国政議員OO系日本人誕生利権で同系の人々を優先 →「外国勢力が問題ある人間を新・日本人に金を渡して認知」というのは、本当にそんなことをやろうとする国があるとすれば、これも偽装結婚という手段を使えば、現行法制度の元でも可能です。それ以下は、論考にも値しない、まさにネットウヨクの差別意識丸出しの論理。------------------------というわけで、やはり国籍法改正反対派の言っていることは、合理的根拠に基づく反対ではなく、排外主義のための反対であるという感を強くしました。
2008.11.21
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実は、国籍法の改正案が問題になっているという事実そのものを、最近まで知りませんでした。で、改めて問題の経緯をざっくり調べてみて、やっぱりなにが問題なのか私には分かりません。具体的にどこをどのように改正するのかというと、現状の国籍法は(準正による国籍の取得)第三条 父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。 と規定していますが、改正案は、第三条の見出し中「準正による」を「認知された子の」に改め、同条第一項中「父母の婚姻及びその認知により嫡出子たる身分を取得した」を「父又は母が認知した」に改める。となっています。(他に第二十条として罰則が追加、更に附則がいろいろ付いているけれど、ここでは省きます。現行国籍法の全文はこちら、改正案の全文はこちらを参照)つまり、第三条はどういう条文になるかというと、(認知による国籍の取得)第三条 父又は母が認知した子で二十歳未満のもの(日本国民であつた者を除く。)は、認知をした父又は母が子の出生の時に日本国民であつた場合において、その父又は母が現に日本国民であるとき、又はその死亡の時に日本国民であつたときは、法務大臣に届け出ることによつて、日本の国籍を取得することができる。2 前項の規定による届出をした者は、その届出の時に日本の国籍を取得する。 となるわけです。これまでの法制度では、父親が日本人で母親が外国人の婚外子は、1出生前に父親が認知する2出生後に父親が認知して、かつ父母が結婚するのいずれかを条件に日本国籍が取得できました。この改正によって、出生前後に関わらず、父親が認知すれば父母の結婚の有無に関わらず日本国籍を取得できるようになるわけです。ただし、現行の法制度の場合、上記2のケースでは自動的に日本国籍が与えられるわけではなく、法務局(外国では在外公館)で「準正」の手続きを行わなくてはなりません。改正後も「法務大臣に届け出ること」が必要であることには変わりがありません。現行の国籍法が最高裁で違憲判決を受けているので、それによって改正を余儀なくされたというのが基本的な流れです。(最高裁の判決要旨)国籍法3条1項が,日本国民である父と日本国民でない母との間に出生した後に父から認知された子につき,父母の婚姻により嫡出子たる身分を取得した場合に限り日本国籍の取得を認めていることにより国籍の取得に関する区別を生じさせていることは,遅くとも平成17年当時において,憲法14条1項に違反するで、反対派は何を根拠に反対しているかというと、まあ論拠は色々と並べていますが、いずれもあまり説得力があるとは思えません。お金を払って日本人の誰かに認知してもらって不正に日本国籍を入手できる、というのが最大の反対理由であるようですが、それは現在でも「認知」を「結婚」に入れ替えれば十分に可能なことです。つまり、偽装結婚です。ただし、偽装結婚してから子どもを作った場合はともかく、子どもが出来てから偽装認知+偽装結婚というケースは、実際にはかなり困難なようです。前述のとおり、その場合は「準正」の手続きが必要だからです。結婚はともかく、認知の方はかなり詳しく調べ上げられるため、偽装結婚は簡単でも、偽装認知はかなり困難とのことです。http://blogs.yahoo.co.jp/isikeriasobi/55815187.htmlを参照どうも、本質的には外国人に対して日本国籍取得の敷居を少しでも低くすることは嫌だという、排外主義の一変形としてこの法案に対する反対運動が(ネット上でのみ)盛り上がっているに過ぎないようにしか私には思えないのです。
2008.11.20
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