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今日のまとめ 1. ロシアは市場閉鎖などで失った投資家の信頼を回復するのに時間がかかる 2. インド、ブラジルは堅実な経済運営がされているが、不安を残す 3. 通貨の安定性の面では中国が抜きん出ている ■ロシアの資本市場はかなりギクシャクした 米国のサブプライム問題に端を発する今回の世界の金融不安で、一番対応を誤った国はロシアだと思います。ロシア株式市場はザラ場20%近く乱高下する日が相次いだのみならず、9月17日、18日、19日の3日間にわたって部分的ないし終日市場が閉鎖されるなど、世界の株式市場の中でも最も大きな混乱を見せました。鉄鋼会社メチェルに対するあからさまな政府の介入、原油価格の下落、グルシア侵攻など、世界の投資家を幻滅させる材料が次々に出てきたことがその原因です。また財務大臣が石油会社に対する減税に反対すると発言し、これが石油株の急落を招いたことも指数下落に寄与しました。投資家は今回の市場閉鎖のように「売りたいときに売らせてくれない」マーケットをとても嫌います。その意味ではロシアの今回の措置は後々まで投資家の記憶に残るでしょう。 ロシアの外貨準備はつい今年の夏までは6000億ドルにも迫る勢いで、中国、日本についで世界で三番目に大きかったです。しかし今回のロシアからの資金引き上げで外貨準備は急速なペースで減少しました。 ロシアの金利は上昇気味です。宅建業者の資金調達コストはこれまでの8%から25%に跳ね上がりました。モスクワのアパートの価格は過去3年で3倍になりましたが、今、バブルが弾けつつあります。資本市場に貸し付けの原資を依存しているロシアの銀行や証券は瞬間的に資金繰り困難に陥りました。いわば、「ミニ・リーマン・ブラザーズ」的な状況になったわけです。政府は金融機関に対する緊急融資でこの急場をしのぎました。 幸いロシアの失業率は歴史的に低いし、小売売上高は堅調に推移しています。輸出のペースもまだ落ちていません。だから全てが失われてしまったわけではありません。しかし原油価格の低迷が長引くと石油や天然ガスの輸出から来る収入のクッションがなくなります。 ロシア市場の株価収益率(PER)は約7倍で、来年にかけてのEPS成長率は10%程度が予想されますが、原油価格、素材価格によってこれは大きく左右されると思います。 ■優等生ブラジルも試される ブラジルは現在の世界的に厳しいマクロ経済の環境の中で比較的手堅い経済政策を敷き、苦境を乗り切ろうとしています。こういう局面での対応という点では世界のどの新興国よりブラジル中央銀行は経験があります。ブラジル中銀の処方は政策金利を高目に引き上げ、インフレを押さえ込むとともにブラジル・レアルの魅力を維持することで海外資金をつなぎとめておくという手法です。この方法が功を奏して消費者物価指数は明らかに沈静化しつつあります。ブラジル中銀の高金利政策は株式にとっては悪いことですけど、若しこれでブラジルが金融不安を乗り切ることができれば、内需を中心に再び投資チャンスが出てくると思われます。さらにこのところのブラジル・レアルの下落で輸出業者は少し楽になっていると思われます。 ブラジル市場の株価収益率(PER)は約10倍で、来年のEPS成長率は12%程度が見込まれますが、これは素材価格に大きく左右されます。 ■インドは通貨不安局面には弱い インドは貿易赤字の上、財政赤字でもあり、さらに外貨準備も中国やロシアほどは厚くないということから足の速い投機資金が逃げやすいマーケットです。ただ、そういう比較的恵まれていない条件の中で、インドの政府はできることはちゃんとやっていると思います。卸売物価指数も沈静化してきている印象を与えます。また、インドは石油を輸入に頼っているので最近の原油価格の下落はプラスです。そういう好材料にもかかわらず通貨危機の状況では圧倒的な世界のお金の流れに押し流される危険もあると思うのです。BRICsの中ではこれまでインドが一番好きな市場でしたが、このところの新興国からのリパトリエーションの状況の中ではより用心深い投資態度に変更した方がよいと考えています。 インド市場の株価収益率(PER)は約15倍で、来年のEPS成長率は17%程度が見込まれます。 ■際立つ中国の通貨の安定性 最後に中国ですがオリンピックが終わったあと、経済には成長鈍化の兆候が見えています。まず工業生産にモメンタムの衰えが見られます。これは五輪開催期間中という特殊要因も働いているのかも知れません。小売売上高も少し頭打ちの様相を呈しています。消費者物価指数はかなりザックリと下がりました。こうしたマクロ経済指標の低下を受けて中国の貸付金利は27bp引き下げられ、7.2%となりました。中国の金利政策が緩和基調へと転ずるのは実に6年ぶりのことです。BRICs各国中、中国だけが利下げ局面に入れているということは中国経済の強さの表れです。なぜなら、中国は通貨防衛を心配しなくてよいからです。今回の利下げが株式市場に効いて来るのは未だ先の話かもしれません。でも基本的にインフレが収まり、金利が下がり、しかも通貨に心配が無い状態では、株は「買い」なのです。このことから現在の新興国の中では中国が抜きん出て魅力的だと言えます。 中国市場の株価収益率(PER)は約13倍で、来年のEPS成長率は約19%が見込まれます。
2008年09月29日

今日のまとめ1. 投資家が望んでいたマクロ経済面での改善の多くは実現した2. ボラティリティーは次第に収まってゆく3. 内容の良い順ではインド、中国、ブラジル ■投資家の望んだシナリオ このところの世界の株式市場の調整で投資家のセンチメントはたいへん悲観的な方向へ傾いています。しかし冷静に考えてみると年初から夏頃まで世界の投資家が望んできた「こうなって欲しい」という経済の改善は、ここへきて次々に実現しています。 こうしたマクロ経済面での変化を受けて、BRICsのそれぞれの国の経済のファンダメンタルズにもかなり大きな変化が見られはじめました。 ■インド 今回の一連の環境変化で一番恩恵を蒙ったのはインドです。インドは石油を輸入に依存しており、また石油価格を抑えるため政府が補助金を出しています。このため原油安はインドにとってダブルで助かるわけです。インドの卸売り物価指数はようやく下落に転じ始めています。 また、インドはこのところの外人投資家の資金引き揚げで外貨準備の悪化を招きましたが、ひところのルピー高が沈静化したことはITアウトソーシングなどの輸出型企業にとってはプラスに働きます。 また、インド株式市場における、石油、素材株の比率は新興国の中では低い部類に入ります。これらのことから、今後、新興国への投資が再開された場合、インドが真っ先に買われる可能性が強いです。 ■中国 中国も穀物価格や原油価格の下落の恩恵を受けます。既に消費者物価指数はかなりくっきりとした下落トレンドに入っています。 ただ、世界経済の減速は中国の工業部門にとってはマイナスだろうと考えられています。実際、工業セクターには勢いの衰えが顕著に見られます。 一方、中国の内需は相変わらず好調です。中国は貯蓄率が高いこと、さらに中国政府は最近、社会福祉制度の充実に力を入れ始めており、病気になった際、思わぬ出費に苦しむリスクを国民が心配しなくて良くなりつつあります。これは長期では貯蓄のより多くの部分が消費に回されることを意味しますから、消費、内需関連のセクターにとっては好ましいと言えるでしょう。 ■ブラジル ブラジル中央銀行はこのところ断固としたインフレ退治の姿勢を取ってきました。「ちょっとやりすぎじゃないの?」と思うくらい、大胆に政策金利を引き上げてきています。これが功を奏してインフレの進行は鈍化が見られ始めました。つまり中央銀行の処方は荒削りながら効果的なものだったと評価できると思います。 ■ロシア ロシアだけはつい最近まで実質金利をマイナスに放置するなど政策面で後手に回ったこと、さらに経済が原油や天然ガスや素材などの地下資源に大きく依存していることから明らかに不利な展開になっています。ロシアの市場からは外国の投資家が資金を引き揚げており、外貨準備は減少に転じています。ただ、まだまだ過去に積み上げた巨額の外貨準備がありますので、クッションは十分にあると思います。また内需は引き続き堅調です。 ■ボラティリティーは次第に収まる 今日見てきたようにここ数ヶ月で世界経済を巡る環境は穀物・原油高からインフレ沈静化へ、さらにドル安からドル高へと大きく変化しました。このことは世界の投資家の投資戦略にも大幅な変更の必要が生じた事を意味します。それはボラティリティーの増加を招き、世界の株式市場のパフォーマンスに悪影響を及ぼしました。しかしポートフォリオの組み換えが終わり、ボラティリティーが収まれば、次にはいずれくる世界的な金利低下に呼応する形で株式のPEマルチプルはこれまでの縮小トレンドを脱し、逆に拡大しはじめると考えられるのです。これは株式にとっては好ましい投資環境と言えるでしょう。BRICs各国間での魅力度という点ではコモディティー価格の下落に足を引っ張られない国ほど安心な気がします。順位としてはインド、中国、ブラジルという順番になります。
2008年09月16日

今日のまとめ 1. 新興国の携帯電話株は軒並み売られた 2. この結果、携帯電話株は市場平均とほぼ変わらない水準になった 3. 中国の携帯電話のストーリーはまだまだ終わっていない ■冴えない新興国の携帯電話株 新興国の携帯電話株が下落しています。これらの銘柄の多くは去年の11月から年末頃にかけて高値をつけた後、ダラダラ安の展開が続いています。(出典:ウォール・ストリート・ジャーナル) これらの株価が下げているのにはそれぞれ個々の事情があります。しかし全体に共通することもあります。新興国へ投資する際、携帯電話株に投資するというのは誰もが真っ先に考えることです。なぜならその国の経済の発展や可処分所得の上昇を買う場合、携帯電話は格好のプロクシー(=代理手段)を提供するからです。 そのことは逆に言えば投資資金が引き揚げられる際には携帯電話株からも資金が逃げることを意味します。比較的流動性の高い事があだとなって利食いの対象とされているわけです。 ■もはや割高ではない携帯電話セクター この結果、携帯電話セクターは新興国の株式市場の中で特に割高ではなくなりました。別の言い方をすれば携帯電話セクターに付与されてきた成長プレミアムや流動性プレミアムがきれいに剥げたわけです。 EPS成長率PER2008年2009年2008年2009年携帯電話セレクター23%17%12.510.5新興国平均25%15%10.59 ■国によって大きく異なる事情 さて、どの新興国の携帯電話の株も一様に下げているので、皆、状況が同じか?と言えば、それはそうではありません。例えばロシアの場合、既にモスクワなど都市部の携帯電話の普及率は数年前に100%に達しています。ロシアの場合、ひとりの個人が複数のSIMカードを所有しているため、統計が歪曲されている面があるのですが、それでも「市場は既に飽和している」と考えて間違いないでしょう。 一方、中国を例にとると、今年、ちょうど携帯電話普及率が50%に達すると見られています。投資家心理からすれば「まだ50%に達していない」が急に「もう50%を超えてしまった」に変わる場面であり、将来の成長余地に関して悲観論が出やすいひとつの通過点だと思います。しかしロシアのモバイル・テレシステムズ(ティッカー:MBT)やヴィンペル(ティッカー:VIP)の例に見られるように普及率が8割くらいに達した後からでも株価がズンズン伸びたケースもあります。それらはキャッシュフローの伸びなどの財務的な面を市場が評価した結果ですが、要するに株価の「切り口」は幾らでもあるということです。 ■中国の携帯電話市場の近況 さて、中国では携帯電話の通話量の成長率が夏場にかけて減少し、これが投資家の不安を招いています。しかし年々、母数が大きくなっているわけですからこの程度の減速はむしろ避けられないと考えるべきでしょう。 中国の携帯加入者の会社別シェアを見ると中国移動(チャイナ・モバイル)が圧倒的に強いです。下のパイ・チャートは最近発表された中国の通信業者の再編成を加味した後の各社の去年の市場占有率です。 今後、各社は3Gのサービスを開始するので中国移動の「ひとり勝ち」の構図が崩れるとする見方もありますが、本格的に3Gが加入者獲得争いを展開するのは2年近く先の話だと思いますから、当分は地方での加入者の増加が市場占有率に最も重要な影響を与える要因だと考えられます。最近発表された中国移動の決算でも新規加入者のトレンドは安定していました。 ユーザー単価が下がったのは地方への展開を繰り広げていることで、単価の低いユーザーの比率が上がっていることが原因だと思います。 今後はロシアなどの「携帯普及先進国」が経験したシナリオ同様、中国でも通話時間の伸張や財務効率の改善などが株価を刺激する材料となるでしょう。実際、中国移動の営業キャッシュフローはたいへんきれいな形で伸びてきています。
2008年09月01日
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