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2007年03月07日
第76回 中国のオンライン・ゲーム業界(その1)
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今日のまとめ
1.中国のオンライン・ゲーム市場は高度に発達している
2.オンライン・ゲームは中国の実情に適合した商品である
3.市場規模は7.5億ドルで年率30%成長している
4.ハリウッド映画のように当たり外れが大きい
5.開発業者と運営会社に2分できる
6.自社開発かライセンス導入かでマージンに差が出る
中国は世界で最もオンライン・ゲームのユーザー数が多い市場です。ユーザー数は2300万人とも言われており、これは世界の他の国々のオンライン・ゲームのユーザーを全部足した合計より多いです。このように中国でオンライン・ゲームが発展した理由は幾つか指摘できます。先ず海賊版(パイラシー)の問題が挙げられます。中国では映画のDVDや音楽のCDが違法にコピーされて出回る事例は皆さんも聞いたことがあるかと思いますが、これはゲームも同様です。このためコンパクト・ディスクを介在せずサーバーによりゲームをホストするという方法が考え出されました。また中国の場合、個人のパソコン普及はまだまだ端緒についたばかりで、多くのユーザーはネット・カフェを利用しています。これだとパソコンやブロードバンドのサービスを購入するお金が無くてもネット・カフェを訪れれば気軽にオンライン・ゲームが楽しめるわけです。これが中国独特の市場を形成する原因となりました。
MMORPG(多人数オンライン・ロール・プレイング・ゲーム)と呼ばれるオンライン・ゲームでは同時に何万人ものユーザーが好きな時間に好きな場所からゲームにアクセスし他のプレーヤーとゲームを楽しむことが出来ます。ユーザー同士がゲーム上で協同するなど、型にはまったパッケージ・ソフトでは味わえないオンラインならではの魅力もあります。ゲームを提供する会社の側からするとコンパクト・ディスクを製造、販売する手間が省けるし在庫の問題もありません。ゲームを連続的にアップグレードしたりリリースしたり出来ます。さらにゲームを通じてユーザーと長期的な関係を作ることも可能です。オンライン・ゲームの市場規模は2006年の時点で約7.5億ドル程度です。市場のパイは年率約30%で成長しています。オンライン・ゲームを提供している企業には:
シャンダ(SNDA)
ザナイン(NCTY)
テンセント
ソーフー(SOHU)
CDC(CHINA)
などがありますが、実質的にはネットイーズ、シャンダ、ザナインの上位3社の間での争いとなっています。
オンライン・ゲームの業者は開発(デベロッパー)と運営(パブリッシャー)に大別できると思います。これまでのところ有名なオンライン・ゲームは韓国など中国から見た外国で開発されたものが多かったです。運営業者はそれらのゲームの運営権を獲得し、中国での運営に際しローカライゼーションと言って言語を翻訳したり現地の好みに合わせてゲームを調整したりします。運営業者としてオンライン・ゲームの業界に参入することは過去においては比較的容易でした。
しかしオンライン・ゲームは大ヒットしたタイトルにユーザーが集中するためそれらのヒットを抱えている業者はどんどん太るけれどヒットが出ないと事業継続がむずかしくなるという二極分化が見られます。大きい業者は高い契約料を支払って海外の前評判の高い新しいゲームを次々に囲い込むことができるし、或いは社内に大きな自社開発部隊を持ち、ゲームの自社開発を目指すことができます。或る意味で大作主義のハリウッド映画業界のメンタリティーと同じような傾向が現れつつあるという風に言ってもあながち的外れでは無いでしょう。
開発業者には例えば韓国のウエブゼン(WZEN)のように上場された企業もあります。そこで開発業者の株を買った方が良いか、或いは運営業者の株を買ったほうが良いか?という議論が何年か前にありました。現在の時点では軍配は運営業者のほうに上がっています。その理由として運営業者はひとつのタイトルを軌道に乗せると2年から3年近くもそのタイトルから継続的な売上高を毎月上げることができるのに対し、開発業者は開発したゲームの版権を売った対価のかなりの部分が前払いの支払いであり、継続的ロイヤリティーの収入は比較的少ないからです。するとどうしても業績が新製品の開発サイクルに連動して激しくブレやすくなり、投資家は一般にそういう収益形態を敬遠する傾向にあります。
最近の傾向としてザナインのようなヒット作を抱えている業者がその潤沢な手許資金をもとにどんどん前評判の高い新作タイトルを青田買いするという現象が見られます。この結果、有望なタイトルの契約料はぐんぐんインフレを起しています。運営業者の立場から見れば高い契約料を支払っても大ヒットしたタイトルから得られるキャッシュ・フローは魅力です。なぜならオンライン・ゲームは契約料を除けば製造原価(COGS)は無いに等しいし、売り上げ増に伴うコストの増加、具体的にはサーバーの追加の必要やゲーム・マスターと呼ばれる監視員の増員などは比較的負担にならないからです。
従って経営者の考え方として「兎に角、大枚をはたいてでもヒットする可能性のある新タイトルをどんどん買占め、将来の売上高を維持することに全力を挙げる。そのためにはマージンを犠牲にしても構わない。」という売上成長重視の会社と「高い契約料を払って導入したタイトルが必ずしも成功するとは限らない。だから自社でゲームを開発し、コストを抑え、ロイヤリティーの支払いを回避することで高収益を目指す。」という利益重視の会社に2分されてきている観があります。前者の代表はザナイン(NCTY)であり、後者の代表はネットイーズ(NTES)です。
成功する業者とそうでない業者が出てくる分かれ目というのは勿論、ヒット作に恵まれるということが一番重要になってきますが、それに加えてゲームをサポートする体制をきっちり作るということが重要です。サーバーのトラブルなどがあると売上高に響くのみならずユーザーの離反を招きます。さらにゲームのプレーヤーの中に違反行為をするユーザーが多いとまじめなユーザーがしらけてしまい、ゲームに嫌気がさしたりするわけです。従ってまじめなユーザーが安定的な接続環境で気持ちよくゲームを続けられるような保全体制を構築しないといけません。このようなゲームの真正性を英語ではインテグリティーと呼びます。大ヒットしたタイトルは運営会社にとって財産であるわけですからインテグリティーを保つことは自分の経営資産を守ることを意味するのです。
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最終更新日 2007年03月08日 10時52分21秒
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