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昨年の秋口あたりから、再び「ご当地ファンド」を新規設定する動きが広まってきました。 ご当地ファンドとは、特定の都道府県、あるいは地域に本社を置いていたり、あるいは工場設立などで進出していたりする企業の株式に投資するファンドのことです。2002年から2003年にかけてこの手のファンドが複数設定され、話題を呼びました。ちなみに昨年から今年にかけて、9本のご当地ファンドが新規設定されました。 ただ、ご当地ファンドにはいくつかの落とし穴があります。その落とし穴を総合的に考えると、「投資するには価しない」という結論が出てきます。まず投資対象に縛りがあること。投資信託という金融商品は、受益者(ファンドを購入した人たちのこと)の利益を最大化する目的で運用されるものであり、何を組み入れて運用するかについては、ルールの範囲内で出来るだけ多くのフリーハンドを与えられている方が良いと考えられます。 しかし、ご当地ファンドの場合は、最初から投資対象が限定されています。たとえば、茨城県に投資するファンドであれば、茨城県に本社を置くか、もしくは茨城県に工場進出などをしている会社の株式にしか、投資できないのです。仮に、静岡県下の企業が将来的に高いパフォーマンスが期待できるとしても、静岡県下の企業には投資できません。もちろん、茨城県下の企業が、他の県下の企業に較べて、高いパフォーマンスが得られる可能性が高いというのであれば、まだ話はわかります。 ところが、ご当地ファンドとして新規設定されるファンドの投資対象地域を見る限りにおいては、将来的に高いパフォーマンスが得られることを期待して新規設定しているようには、とても見えないというのが正直なところです。 考えようによっては、ファンドを通じて地方企業の株式が買われ、株価が上昇することによって何らかの経済効果が得られる。その結果、ファンドのパフォーマンスも上がると、考えられるかも知れません。しかし、株高による経済効果が企業活動の実態面に影響を与え、それがさらなる株高につながっていくためには、かなりの時間を要します。 さらに言えば、最近のご当地ファンドは「○○応援ファンド」(○○には県名などが入ります)といった名称が付いているものの、実態は外債ファンドであるということです。隔月で分配金を受け取れるという仕組みになっていますが、その仕組みを維持するために、金利の高い外国債券を組み入れ、そこから得られる金利収入を分配金の原資にしているのです。どのくらいの配分で外債に投資するかはファンドによって異なりますが、大体50~70%程度の範囲で、外債に投資しているケースが多いようです。 これではまるで、「○○県応援ファンド」というよりも、「世界財政赤字救済ファンド」と称した方が相応しいのではないかと思います。何よりも、外債を多く組み入れることによって、為替リスクにさらされます。ある都道府県を応援する気持ちでこの手のファンドを買ったとしても、そこで得られるリスクとリターンの大部分は、為替レートの動きに左右される恐れがあるのです。「名が体を現していない」といわざるを得ません。 こうした点から、ご当地ファンドは積極的に投資するに価しないと言い切ることができるのです。(金融ジャーナリスト 鈴木雅光)
2006年01月26日
最近、金価格が高騰しています。ロンドン市場の金価格は先ごろ1オンス500ドルの大台を超え、1981年以来24年ぶりの高値をつけました。世界の景気が拡大し、産業用、宝飾用の金需要が増大していることに加えて、米国のインフレ懸念から投機的な資金が金市場に流れ込んできているようです。 昔から金はインフレヘッジになると言われています。金は印刷されたお金と違い、金それ自体に価値のある実物資産ですからインフレになってもその価値が目減りする心配がありません。しかし、金への投資は、保管が大変であることや、金を保有していても利子も配当もつかないといった難点もあります。そこで、金の実物に投資するのではなく、金を採掘している会社の株式に投資する金鉱株ファンドが、金投資の簡便な代替手段として関心を集めています。 現在、日本の投信会社で金鉱株ファンドを提供しているのは、メリルリンチ・インベストメント、大和投信、インベスコ投信の3社で、為替ヘッジつき2本、ヘッジなし4本、合計6本のファンドが販売されています。いずれも、最近の金価格の高騰を反映して過去6ヶ月の基準価額は30%~50%も値上がりしています。 ただ、これらの金鉱株ファンドは、金価格以上に値動きが激しく、また短期的にはかならずしも金価格の動きにスライドしない点に注意が必要です。過去5年間の金価格と金鉱株ファンド(ヘッジなし)の値動きを調べてみると、2000年は金価格が6%値下がりしたのに対しファンドは9~15%下落、01年は金価格が1%の値上がりにとどまったのに対しファンドは30~60%と大きく上昇、02年も金の24%に対し、ファンドは47~99%の値上がりと金価格上昇率の2~3倍の上昇率となりました。03年も22%対24~28%とファンドの値上がりが金価格の値上がりを上回りましたが、04年は金価格が5%値上がりしたにもかかわらずファンドは逆に10%~12%の下落となりました。そして2005年は金価格が年間17%値上がりしたのに対しファンドは46-55%の上昇と、再び金価格の値上がり率を大きく上回っています。 金鉱株ファンドが金価格と異なった値動きをするのは、ファンドが金そのものではなく金を採掘する金鉱山会社の株式に投資しているからです。金鉱山会社が金を採掘するコストは金の価格いかんにかかわらずほぼ一定しています。このため、金の価格がその会社の採掘コスト以上になると値上がり分はそっくり金鉱山会社の利益になるのです。これをギヤリング(梃作用)効果といっていますが、この収益構造を反映して株価は金価格の上昇以上に値上がりする傾向があるのです。もちろん、金価格がコスト以下に値下がりするときはギヤリングが逆に働き、株価の値下がりが増幅されます。また、金鉱山会社は将来金価格が値下がりしそうだと予想するときは金の先物を売って収益の安定化を図ろうとすることもあります。こうした要因によって、金鉱山会社の株価は金価格の変動より大きく変動するのです。さらに、金鉱山会社はほとんどが南ア、オーストラリア、カナダ、アメリカの会社ですから、金鉱株への投資は外貨で行うことになり、金鉱株ファンドは為替変動の影響も受けます。これも基準価額の変動率を大きくしたり、金価格と異なった動きをさせたりする要因です。 投資信託だから、分散投資だから、金価格の変動をスムーズにして金投資のリスクを少なくしてくれるだろう、と思うのは大間違い。金への直接投資以上にハイリスクの投資であることをよく認識した上で金鉱株ファンドへの投資を考えるべきでしょう。(金融アナリスト 新藤正悟)
2006年01月19日
象徴? トヨタ VS GM トヨタが今年世界一の自動車メーカーになることが確実視されています。トヨタが主たる収益源としている北米市場において、利益を上げられないどころか大赤字に陥っているGMとの差は歴然であり、そのGMは格付け機関からの格付けで“B”まで低下、倒産が噂されるほどです。長きにわたって、豊かな国アメリカの象徴であったGMの凋落が意味するところは小さくないと思われます。いまやトヨタの時価総額(発行済み株式数×株価)はGMとFORDの合計額の7倍以上になっています。アメリカの大学教授が著した『アメリカ時代の終わり』*の一つの象徴的な出来事なのかもしれません。NYよりは東京? 意外と知られていないことですが、東証株価指数(TOPIX)が指数としての産声を上げた当時(1968年1月年初に100.00ポイントとしてスタート)、S&P500総合指数の株価(1967年末、96.47)とほぼ同水準でした。その後、両指数がたどったコースは大きく異なります。TOPIXは70年代、80年代と順調に上昇し、89年末の高値2,884ポイントまで22年で約29倍になりました。一方、SP500は低迷した70年代の安値62ポイントから、2000年始めの高値1,527ポイントまで25年強で25倍に上昇しました。株価のパフォーマンスという面での両市場の比較では、70~80年代は圧倒的に東京優位でしたが、90年代は全く逆方向の動きになり、NYの株価が10年で5倍に値上がりしたのに対し、東京の株価は3分の1にまで下落しました。 両市場ともに2000年の第1四半期にIT相場時の高値をつけ、その後3年前後の調整期間を経て、2002年秋にNYが、翌年春に東京が底入れをしました。このITバブル崩壊後の底入れ時に、偶然といってもいいほどにS&P500が776.76ポイント(2002年10月9日)、TOPIXが770.62ポイント(2003年3月11日)と再び株価水準が並びました。ITバブルの崩壊で2000年高値から大幅に株価が調整した結果として並んだわけですが、昨年の株価の動きには明らかに差違が認められます。利上げ局面にあったSP500が年間を通じてほぼ横ばい圏の推移であったのに対し、TOPIXは2003年安値からの対比で2倍強の水準まで値上がりしています(2005年末、TOPIX1,649.76、SP500 1,248.29)。資源高への対応力 黄金の60年代の後に低迷の70年代を経験したアメリカ。低迷の理由はいろいろな要素が複雑に絡み合ってのものと思われますが、最大の理由は過剰消費体質のアメリカを第一次石油危機が襲ったことにあると思われます。途上国経済の高成長により、再び世界経済は資源価格高に見舞われています。資源価格が容易に下落するとは思われないだけに過剰消費体質が変わらないアメリカのアキレス腱であることも事実です。今後アメリカは苦手な省エネ・環境保全等に取り組んでいかなければなりません。一方、わが国は人口減少下での経済停滞が懸念されていますが、年率0.5%で減る人口に対し、資本による労働の代替化等により、2~3%の生産性向上は十分に可能であると思われます。与えられた制約下で効率の向上を目指すことは得意とするところでもあります。 『アメリカ時代の終わり』とともに喧伝されている「日はまた昇る」に短絡的に乗るつもりはありませんが、2003年をスタート点とする10年単位(2000年代)での株価パフォーマンスということでは1970、80年代と同様に東京に分があると思われます。(マーケットアナリスト 貴 浩志)*『アメリカ時代の終わり(上・下)』(チャールズ・A. カプチャン著/坪内淳訳、NHKブックス)
2006年01月12日
このブログサイトにたどりついた方々も、インターネット証券でデイトレードを楽しまれている個人投資家の方が多いのではないかと想像します。このブログで、12月8日に貴さんも書いていらっしゃいますが、今回の相場上昇の主役は紛れもなく個人投資家です。個人投資家の本格的な参戦で出来高が急上昇し、あっと言う間に日経平均株価は16,000円を超えました。これだけ急上昇すると、もっと上昇するかもしれないという期待も高まりますが、「これはバブル」かもしれないという懸念も湧いてくるものです。バブルの発生と消滅は予想がかなり難しく、あとから振り返ってあれはバブルであったのだと嘆くのが常ですが、個人投資家も過去のバブルついて勉強しておくと良いかもしれません。バブルについては様々な本が出ていて、それだけで経済関連書籍の一つの分野を形成するような感がありますが、株式市場に参戦する個人投資家の方もどれか一冊を、是非お読みになることをお勧めしたいと思います。最近の相場の経験を扱ったものでは、1999年ごろのITバブルの絶頂期を描いた『投機バブル 根拠なき熱狂―アメリカ株式市場、暴落の必然』ロバート・J. シラー(著)、植草一秀(監訳)、沢崎冬日(訳)があります。その後のバブル崩壊を正しく予想した本として有名で、現在の日本の状況と比較する上でとても参考になります。 個人投資家にとってあまり面白くないことかもしれませんが、その中で個人の参戦そのものがバブルの予兆であることが述べられています。アメリカでは、取引手数料がインターネット証券のオンライン取引で急激に低下することにより、取引スピード、手数料もほとんどプロと同レベルで行うことが可能となり、「デイトレーダー」と言われるアマチュアが急増したことが記述されています。オンライン口座数は97年は370万口座だったのですが、99年には970万口座にまで達し、NY市場の回転率は78%、ハイテク銘柄の多いNASDAQ市場に至っては220%に達しました。これに対して、日本の今年11月末の大手オンライン証券の口座は約200万口座、売買回転率は100%程度ですので米国と比べてたいしたことありませんが、既存証券のオンライン口座もかなりの数があることや市場規模を考えると、そろそろ日本も警戒が必要な時期に入ったかもしれません。日本のオンライン証券だけの回転率は200%を遥かに超えていますので、今後このルートで個人の参戦が進むとますます回転率が上昇することになります。 その他の面でも類似は明らかです。当時のNY市場では、通信技術の進歩で価格情報が個人にもまんべんなく行渡り、四六時中価格変動を知ることが可能になり、個人取引の増加につながったと言われます。現在、日本ではパソコンに加えて携帯電話からも、企業情報、株価情報が押し寄せます。個人投資家の方も派手な値動きに釣られて、つい取引をしてしまいがちです。 面白いことに、アメリカではバブルの前にカジノや、電子的なギャンブルが盛んになり投機的雰囲気が高まっていたようです。日本では、規制緩和が追いつかず、ギャンブルが伸びているとはいえませんが、バブルとギャンブルの類似性の指摘には、なかなか納得性があります。そう思ってみれば、株式市場は手数料(テラ銭)も低い上質なギャンブルと考えることが出来るかもしれません。逆にいえば、バブルかもしれない株式市場への資金投入の際には、ギャンブルをする時と同じ注意と自制が必要だということになります。(株式アナリスト 杉岡秋美)
2006年01月05日
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