≪卓上四季≫
2011年夏、ごみが散らかるベルリンの空き地で、一人の男が目を覚ます。
砲声も防空サイレンの音も総統官邸も総統地下壕も、何もない。持病の手の震えも
治まっているようだ。が、着ている軍服からは強いガソリン臭が漂っていた。
ドイツの作家ティムール・ヴェルメッシュ著「帰って来たヒトラー」(森内薫訳、
河出書房新社)は刺激的な本だ。
自殺し、遺体はガソリンで焼かれたはずのヒトラーが、現代ドイツによみがえるという
設定自体、危険なにおいがする。
生き残った総統は、物まね芸人としてテレビやネットで引っ張りだこ。
時代錯誤のジョークと冷笑されながらも、<硬直した構造をぶちこわす>という
主張に共感も広がって・・・
過去との決別に厳しく取り組んでいるとされる国においても、「全体主義の誘惑は
深く潜んでいる」との警鐘か。ドイツ国内では発売から1年2カ月で電子版を含め130万部の
ベストセラーになったそう。
芸能プロに所属した総統の秘書をしている、と自慢する孫娘を叱るおばあさんの言葉が
胸を突く。<あの男がやっているのは笑いごとですまない。(中略)人々がそれを聞いて
笑っているのも、昔とおんなじだ>
どこの国でも、「滅びへの熱狂」の予兆を感知するのはガソリン臭を嗅ぎ取るより難しいの
かもしれない。痛恨の「過去」を自ら体験した方々から絞り出される声に耳を澄ます。
2014.3.18 道新より
忘れてしまうのかな。戦争を体験した人たちが少なくなっていくし、
100年、200年経つうちに 悲惨なことが繰り返されてしまうのかもしれない。
などと 思ってしまった。
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majyoちゃんさん