2004年01月17日
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前の晩だったろうか?

それを見て、そろそろ関東に大地震が起きそうだ、気の毒にと思って床についたのだった。

遠くで地鳴りのような音を聞いた気がした。
ひゅん、ひゅんと電線が不気味なうなり声をあげる。
その直後、家全体が上下に揺すぶられる。
ガシャ、ガシャと聞いたことのない音を立てて家が揺れ続ける。

来た!
関東だと思ったのに、なぜ!


やがて揺れが収まった。

電気をつけたがすぐに停電。
暗闇のなか着替えようとするが、靴下が見つからない。
焦って、辺りを探るがわからない。

なぜ靴下にこだわったのか。
それはガラスの破片が散乱しているだろうから、怪我をしないように厚手の靴下をはいておこうと思ったからなのだ。

余震が来るはずだ。
これだけの大きな揺れなら余震も大きいだろう。
「気をつけろ!」と家族に向かって叫ぶ。

近所の家々からうめき声などが聞こえてくる。
かなり大きな余震のあと、ラジオから信じられないニュースが飛び込んできた。



高速を走っていたドライバーが転落した直後にラジオ局に知らせてきたのだという。

この時点ではまだ全国には状況が伝わっていなかったようだ。
大阪でも揺れは激しかったものの大きな被害はあまりなかった。

我が家でも幸いにして皿が割れた程度。
1ヶ月前に買ったばかりのテレビが落下していたが、9年経った今でも部屋で元気にしている。


前に勤めていた学校も神戸にあったのだが、3棟あった校舎のうち2棟が潰れたそうだ。
結局それ以降経営不振に陥って未だに立ち直れていない。

学生の就職活動も神戸ではかなり厳しい状況が続いていた。
これも震災の影響から企業の業績が悪く新卒を採用するだけの体力がないのだ。
ただでさえ不景気なのに震災がそれに輪をかける格好になっている。

それは今も変わっていない。

町の様子は復興しているようにも見える。
震災直後のように青いビニールシートも見かけなくなった。
道路のひび割れも見なくなった。

だがそれは表向きのことにすぎない。
本当の意味での復興はまだだと言わざるをえないのだ。

震災から2,3年はこの日になると各テレビ局とも大きな特集を組んでいたものだが、今年はわずかしかなかった。
大阪ですらそうなのだから、全国的にはほとんど取り上げられていないのだろう。

ニュースで印象的だったのが、被災者が「今まで怖くてここに戻って来ることが出来なかった」と、涙ながらにインタヴューに答えていたことだった。
見ていた人は奇異に感じた人もいたのではないだろうか。

9年という時間が長いのか、短いのか、自分でもよくわからない。
ただ、未だに家の前をトラックが通ると、その振動で身体が硬直する。
トラックだとわかると安心して硬直が解ける。
ほとんど毎日のことだ。
たぶんこれからも続くのだろう。

だから被災者が未だに心に傷を負っているのはよく理解できるのだ。
そしてその傷は何年経っても癒えることはないのかもしれない。





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最終更新日  2004年01月19日 04時50分59秒
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