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ホームレスの方が事故に遭った場合、損害賠償はどうなるのか?保険調査員時代に数回経験しました。少々特異なケースで対応の方法も様々ですが、一つのことは言えます。それは、保険会社は支払うことに努力しないということです。軽傷事故であれば、若干の賠償金で解決する事になります。しかし、ホームレスですので家がありません。話し合いをするところは公園、駅前のベンチとなります。また、殆どの方が銀行に口座を持っていませんので、支払い方法が難しくなります。保険会社は金融機関ですから、賠償金の支払いに関しても銀行間の取引となります。こういった場合、加害者が身銭を切って支払った領収書を基に返金するという方法や、被害者に直接取りに来てもらう方法です。面倒なので会社へ引き取りに来るのが大半です。骨折等を伴う事故の場合、搬送先病院で1~2ヶ月の入院が必要です。自宅療養と言っても、帰る自宅がないので仕方なく入院を許可します。この場合は、病院の医事課が積極的に自由診療で治療することに専念します。自賠責保険は無過失責任保険とも呼ばれており、被害者に70%以上の過失がなければ減額はありません。そして、人身の賠償額は120万円が上限ですので、目一杯の治療費を自由診療で自賠責保険へ請求し、120万円を超えない範囲で退院させて、ハイ終わりです。保険会社も、病院のやり方に知らん顔をして手出しもしません。つまり、払えるはずであっても、被害者が請求しない限り対応しないという方法を取ります。被害者が立場の弱い人間とわかると、手のひらを返したように払い渋るということです。こういった場合、大抵が病院・保険会社が得をすることになります。この方法で傾いた経営を立て直した病院を知っています。名称は出せませんが、病院ロビーをよく見ると、入院患者らしからぬ方達が群がっています。わずかな、慰謝料を求めに医事課を訪ねるのですが、自賠責保険枠内を治療費で使い果たしているので、被害者に渡る金額はほんのわずかです。しかし、被害者も事態の認識さえもできない状態ですので太刀打ちできません。結果、泣き寝入りです。ナニワ金融道でありがちですが、実際にある話です。弁護士事務所の専属調査員の頃には、無料法律相談に来たホームレスの相談を受けたことがあります。話によると自賠責保険請求した金額をかすめている輩が存在していると言うのです。なんでも、病院医事課職員と輩(ヤカラ)はつながっているらしく、バックマージンを病院のプール金にしているということも判明しました。これを基に訴訟提起する準備を勧めていましたが、ある日突然、肝心の被害者本人がいなくなってしまいました。理由がわかりません。しかし、おおよその見当はついています。ホント恐い世界です。
2007.04.06
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