じゃくの音楽日記帳

じゃくの音楽日記帳

2009.05.04
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カテゴリ: 演奏会(2009年)
ショスタコーヴィチのオペラ「ムツェンスク郡のマクベス夫人」を聴きました。5月1日、新国立劇場。新制作4回公演の初日でした。指揮する予定だった若杉弘が体調不良のため、代わってシンケヴィチというロシアの指揮者による指揮でした。

僕はオペラ初心者で、細かなことはわかりません。新国立劇場も、最近足を運び始めたところです。それにしても新国立劇場の響きは実にオペラ向きに工夫され作られていると思います。デッドすぎず、響きすぎず、歌とオケがほどよいバランスで聴け、すばらしいです。

さて「ムツェンスク郡のマクベス夫人」。この曲は、大分以前にチョンミュンフンのCDを買いましたが、ケチって輸入盤を買ってしまったため言葉の意味がさっぱりわからず、ちょっと聴いただけでお蔵入りしていたので、実質聴くのは今日が初めてでした。とんがった難解な音楽だったらやだなー、と心配しながら聴きはじめました。物語は集団暴行場面、性交渉の場面、殺人の場面と、淫乱・陰惨な場面が続きますが、音楽は思ったよりわかりやすく、劇的な展開にひきこまれ、全4幕、30分の休憩をいれて3時間半、充分に楽しめました。主人公カテリーナ役の、ステファニー・フリーデさん(ソプラノ)が、ほとんどでずっぱりでの大活躍、見事でした。

なにしろこちらはオペラ入門したてですので、演出がどうのとか、演奏がどうかとかは良くわかりません。ともかくショスタコーヴィチの音楽に圧倒されました。劇的な迫力あり、絶妙な心理描写あり、皮肉っぽい浅薄なところあり、おもしろいです。

とりわけ凄かったのが金管バンダの大活躍でした。2階左袖の客席に陣取ったバンダ軍団が、ときどき場所を変え、舞台上にも舞台衣装をまとって登場し、音響的に変化をつけたりして楽しめましたが、なんといってもところどころで鋭く強烈な叫びをあげ、登場人物の不安、絶望などを痛烈に表現するのにぞくぞくさせられました。特に最後近く、カテリーナが恋人に裏切られ絶望したところの叫びは、スポットライトで白く浮き上がった頭を抱える主人公の姿とマッチして、このうえないインパクトがありました。

このオペラ、プラウダに批判されるまで、かなり人気が高く、繰り返し上演されていたということです。それもいかにも、と納得しました。ショスタコはエンターティナーとしての才能もすごいな、と思いました。もしプラウダの批判がなかったら、ショスタコはきっと、おもしろいオペラをいっぱい書いて、人気オペラ作家になっていたことだろう、と思います。

芸術監督 若杉弘、指揮 ミハイル・シンケヴィチ、演出 リチャード・ジョーンズ、ボリス役 ワレリー・アレクセイエフ、ジノーヴィー役 内山信吾、カテリーナ役 ステファニー・フリーデ、セルゲイ役 ヴィクトール・ルトシュク、管弦楽 東京交響楽団。








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Last updated  2009.05.05 02:33:04
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