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やんちゃテディ

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らぐ@ (ノД`) 近くにいたらギュッと抱きしめて、いくら…
2010.10.15
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カテゴリ: カテゴリ未分類
「言葉は無力だよ」

「傷ついた」
首を振る。
「哀しい?」
立ち止まる。
音が止まる。
世界が止まる。
待っている間は、世界の全てが停止して、彼の言葉を待つために止まる。

「圧迫」
一言。
一言だけ言って、世界は動きを取り戻した。
「じゃあ帰るね」
私は涙を流したまま、床にひれ伏すように、後ろ手でふすまを閉めながら、うん、と返事をした。
じゃあね、と言ってふすまを閉じた。
涙の奥から、おやすみと聞こえた。
重たい重たい、彼の声が。



彼が階段を降りたのを確認もしないで泣いた。
声をだしてぼろぼろに泣いた。
叫んだ。


「生まれたくなかった」
「産まれたくなかった」
「うまれたくなかった」


人を傷つけることしかできない私なんか、うまれたくなかった。
人を絶望させることしかできない私なら、うまれたくなかった。

幸せな未来をもう夢見ることもできないなら、生きていたくなんかないのに。
悲しみと絶望と、楽園だった思い出と、必死に今を生きようと汚れる自分とがごちゃごちゃと混ざって、まるで魔女の鍋。
今の私はただの毒薬。

愛がほしかった。
哀じゃなくて。
逢だってよかった。

ただ、ほしかった。
私が生きていてもいい理由が、ほしかった。
産まれたことを、生きていることを、喜んでくれる人が、
欲しかっただけ。




あなたはきっと私のことを静かに心の箪笥に閉まっていくのでしょう。
物理的な距離を置いて、心穏やかに、少しずつ思い出を消していくのでしょう。
消化していくのでしょう。
そうしていつか、泣いていたこの私も、
あなたは忘れて幸せになるのでしょう。


ねえ、どうしたらいい?
ねえ、自分のために生きられない。
幸せってなに?
あなたといた時間以上に幸せなことなんて想像できない。
私の初めてで、私の傷にキスをくれて、抱きしめてくれたあなた以上に私を楽園に連れて行ってくれる人なんて、
いるだなんて思えない。
たくさん喧嘩しても仲直りできる相手がいるだなんて思えない。
あなたに抱かれた時、涙がでた。快感ではなくて。
ひとりではないことに。
終わった後に抱きしめられている間、あなたの腕の中はまるで母胎のようで、子宮の中にいるみたいに安心できた。
木漏れ日が優しくて、世界が終わってもいいと本気で思えた。
幸せっていうものを、その時初めて知ったの。


なのに、ねえ。
私は、私が愛する人を、壊してしまうから。
私が欠損品だから。
「どこで間違ったんだろう」
母の言葉は忘れない。
間違えた、失敗作な私。
正面から私を見ようとすれば、みんな私の異常さに耐え切れなくて、理解しようとがんばって、がんばりすぎて、壊れてしまうから。
大切にしてくれる人はそうやって、私を捨てていくしか生きていけなくなってしまうから。


ねえ、幼かった頃の私。
あの頃は左腕と刃物があったね。
でも、私はもう切れない。
守るべき存在がいるから。
これ以上傷を作ってはいけないから。
これ以上、罪を重ねてはいけない。
一番罪のない天使を、傷つけるようなことは、これ以上は。


でもだって、お母さんが怖いのよ。
愛してくれない。相手をしてくれない。
産んだ私のことなんてどうでもいい、でも体裁は繕わなくちゃいけないそんな貴女だから、愛しているように自分をだましてる。
でも気づいちゃうんだもの。わかっちゃうんだもの。
お父さんは愛してくれるから、わかってしまうんだもの。

「これ、愛情じゃないや」
って。
義務感だって。

わかって、しまうの。




ねえ、自分の幸せを夢見ることもできないのに、どうやってがんばればいい?
小説家なんて、どうせなれない。知っているの、妊娠した時にわかった。
「あ、吸収されている。私のものが、おなかの子に、いっている」
って。
私から色々なものが消えて、世界は色あせて、でも家族三人で暮らせるなら、
そのためならってがんばった。がんばったよ。
家族が、私のコミュニティが作れるのなら、それを守るためにがんばりたいって、それだけあればいいって思ってたよ。
でももうそれもむりなのでしょう。
がむしゃらに小説家を夢見ることも無理なのでしょう。許されない。
感受性を開いたら、まともな人付き合いができないよきっと。
感受性を閉じて。色あせた世界で。
何も美しくない世界で。


ねえ、幸せなんて、どうやって見つけるのよ。
涙なんか、止まらないよ。





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Last updated  2010.10.16 02:58:10
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