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2007.12.06
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カテゴリ: lovesick
次の日は、早朝からロケだった。

主役の探偵役の好司が、もう立ち位置の確認をはじめていた。
こちらに気づいて手を上げてくれたので、こちらも同じように応える。
彼とは、もう3作目の共演で、プライベートでも仲がよく、よく帰りに食事に行く。
スマートなルックスと抜群の演技力、人懐っこく性格もいい。
が、詮索好きでちょっと困る。

撮影は順調すぎるくらい順調に進んだ。
お昼に弁当を食べていると、隣に好司が来た。

いきなりこの調子である。
「で?って?」
好司は弁当のふたを取りながら、ニヤニヤと、
「またまた~、何かいいことあったでしょう?」
天才と称されるほどの演技力だけでなく、勘の鋭さも天下一品。
「何かって、、、ちょっと、おい、なんでだよ?」
どぎまぎあせっている時点で、こちらの完敗である。
「カメラには隠せても、僕には隠せないことっていうのがあるんだよ」
「怖いやつだな~」
「ていうかさ、朝からずっとなんかしっくりこなかったんだよね。やってても」
俺は、お茶を飲みながら、話の続きを待つ。

斉藤というのがそのドラマでの俺の役名だった。
「だけどさ、サユリちゃんなんかに聞いても、ぜ~んぜん、気づいてないみたいなんだよね。監督も普通にオッケー出してるし。」
サユリちゃんというのはヘアメイクの子である。
「で、気づいたわけ。僕しか気づかないってことは、悠斗自身に何かいいことがあったということかって」
俺は呆れ気味にため息をついて、

「何々?でも何かはあったわけでしょう?」
「ん、まあ」
好奇心丸出しの目でこちらを見てくる。
「昨日、ちょっと好みの女の子と知り合っただけだよ。」
「昨日?昨日って、宗太郎さんちに行くっていってたじゃん。僕との食事断っといて、ナンパか合コンにでもいったわけ??」
「違うよ。宗太郎んちの先客だったんだよ、その子が」
「へ~、そうなんだ。なるほどなるほど。で、どんな子?」
「お前、ほんと根堀り葉堀り。」
「当たり前でしょ?」
何が当たり前なんだか。
「まだよく知らないんだよ。ちょっと話しただけだから」
好司は疑り深そうにこちらを見て、
「え~、その程度でそんなに目の奥がきらきらするかなあ?少なくとも、悠斗は、相当惚れちゃってるよね。」
「さあな」
やっても無駄だがとぼけてみる。
「で、次はいつ会えそうなの?その子と」
「明日だよ」
「明日?!」
周りがこちらを見る。
「声がでかいって」
「ごめんごめん。何それ、デート誘ったの?悠斗とは思えない早業じゃん」
「うるさいよ。」
「ふ~ん、なるほどなるほど。進展状況聞かせてよね」
「断る」
こちらの断固たる言い方にもまったく構わず、
「またまた~、あ~、なんだかこっちまでウキウキしてきちゃったなあ。カメラに映らないように注意しなくちゃ」
もう、こっちは声も出ない感じだよ。
「いつか紹介してよね。うまくいったら」
「断る」
今度は聞こえたみたいで、
「え~、なんで?」
「お前に取られたくないからだよ」
好司は一瞬ぽかんとしたが、直後に笑い出し、
「はは、かわいいな、悠斗」

好司を適当にあしらって、俺は、バッグから、携帯を出し、楓にメールした。

悠斗→楓:打ち合わせ順調?こっちは撮影順調。明日、ミルスの丘に行こうかと思うんだけど行ったことある?芝生と川があって、動物も植物もいっぱいのところなんだ。のんびりできると思うんだけど。

すぐに返事が返ってきた。

楓→悠斗:今打ち合わせ中です。ミルスの丘、知ってるよ。久々だから嬉しいです。また後でゆっくりメールします。

メールを見ている俺を見て、
「ニヤついてないで真面目にやってくれよ、斉藤君」
好司がふざけて役名でどなってくる。すっかり名探偵・滝田の顔つきである。
俺は少し目を閉じてから、斉藤になり、顔を近づけて、
「あんたにいわれたくないな」
と言ってやった。好司は、しばらく睨みあった後、好司に戻り、
「今のいいじゃん。目の奥の光も隠せてたよ。やればできるんじゃん」
天才に言われるから、許せる言動である。素直に嬉しい。





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最終更新日  2007.12.07 01:20:37
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